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その39)電力は確保できるか

今から10〜20年後の世界がどうなっているかを考えた時にいちばん心配になるのが電力です。デジタル化が進み、わたしたちの生活の電気依存度はますます高くなっていくでしょう。ということは、新しい発電方式の割合がどれだけ増えるかで暮らしの快適さは違ってくるということになります。生産も物流も生活も全て電気に頼るようになりますし、AIやロボットを活用していくのにも電気が必要だからです。

資源エネルギー庁の2030年度の目標では、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの割合を最大38%まで確保するというのがあります。安定的な電力を供給する原子力発電は20〜22%、火力発電所は41%まで減らし、新しい発電として水素・アンモニア発電を1%程度導入することを目指すとしています。2022年度は72.7%を化石燃料が占めていますから、なかなかの目標だと思います。

再生可能エネルギーとしては太陽光が増えてきていますが、心臓部となる太陽光パネルのメーカーが出力を保証する対応年数は25年です。これは老朽化したときのリサイクルが順調に行われることで安定してくると思います。同様に風力発電は20年、水車程度の小水力発電やバイオマス発電も20年、部品交換なども含むこまめなメンテナンスで60年と言われています。自然エネルギーでの発電は出力が安定しにくいので、電力をためておく電池の開発が急がれています。

次世代電池としては燃料電池の量産が始まっており、全固体電池も2028年頃には量産が始まるだろうと言われています。自然エネルギーの活用には不可欠な存在だと思います。

大型の発電装置は20世紀の技術ですが、発電所の小型化も期待がかかっています。炉心サイズが直径1m✕長さ2mという超小型原子炉はトラックで輸送ができ、25年間ノンストップで電力を供給し続けます。大型の原子炉に比べ安全性も遥かに高いそうです。分散発電は災害にも強いので、複数の小型発電所が協力して電気の安定供給を目指すかもしれません。

思うに生活用の発電は太陽光と蓄電池の組み合わせなど、独立した発電&蓄電方式にシフトしていく可能性が高いと感じています。また、電力を使わなくてもすむところはどんどん無電力化していくことでしょう。自動運転になれば信号機もどんどん必要なくなってきます。コンピューターの回路もどんどん省電力化しています。上手に電力消費量を抑えていくこともまた未来の電力確保の一端を担う取り組みになることでしょう。

エネルギーは大きく利権と絡むので、今後どうなっていくかは全く予想がつきません。大部分を原子力が占めている可能性もあります。不安要素は少ないほど良いですが・・・

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