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その38)CBDCと生体認証

ベーシックインカムを現在の社会で配った場合、たくさんの問題が発生する可能性があります。例えば、なりすましで受給する人がいたり、たくさんの事務費がかかったり、弱者をだましてせっかくのベーシックインカムを搾取したり…といったことが可能になってしまうからです。

生活に必要なお金を必要な人に確かに届ける技術が必要です。また、そのお金を生活費以外の用途に使わせにくくするような工夫も加えられることでしょう。これらを実現する技術がCBDC(中央銀行デジタル通貨)と生体認証です。

CBDCは政府の中央銀行が発行する暗号通貨です。暗号通貨はいろいろな種類がありますが、数年前からNFT(Non Fungible Token=ノンファンジブルトークンの略)のようにプログラムを付加して、取引履歴が全て記録されるものになると考えられます。物理的に複製が不可能な通貨ですので、これで不正な取引を追跡できます。個人情報が・・・と心配する人もいますが、むしろ弱者は守られますし、管理もAIに任せることで人為的な干渉を受けにくくできるでしょう。悪いことを考えるのは常に人ですから。

デジタル通貨でベーシックインカムを配ることで、隅々まで速やかに通貨がいきわたるようになります。ベーシックインカム以外に収益がある人は自動的に是正されるでしょう。取引履歴が明らかになるということは税務も申告もいらない通貨であるということです。生活費には使いやすいと思います。

問題点としては、専用のプログラムや国民がデジタルキャッシュの口座を開設する必要があること、現金から徐々に移行していく必要があること、デジタル通貨は大量の電気を消費することなどです。特に電力の問題は大きいようです。

なりすましの防止には生体認証が利用されるようになるでしょう。インターネットを利用するときにパスワードが必要で困った人は多いと思います。生体認証はパスワードから開放される技術です。ポピュラーな生体認証といえば指紋や顔認証です。本人を特定できますが、偽造が可能なものもあります。

最近は3Dスキャナとか瞳の虹彩、静脈スキャンなど、本人特定と相手が生きていることを同時に認証できれば、間違いなく生きている間はベーシックインカムを受け取れるようになるはずです。認証用の端末は市町村の身近なところにできるでしょう。衛生面を考えたら非接触方式がいいですね。認証されたら、自分の口座にお金が送金されます。認証は定期的なものになるでしょう。

病気や怪我、老化、死亡などで本人の生体認証ができなくなった場合はどうするかというところもルールが決められていくでしょう。これらの技術が一般化してくるのは恐らく2030年代のはじめと予測しています。ベーシックインカムが可能な社会が少しずつ近づいている感じがします。


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