グランマ・モーゼス展70代から始める素敵な画家人生
田舎のおばあちゃんが描いた絵が驚きの実績!?
トルーマン大統領から表彰を受けたり、ドキュメンタリー映画がアカデミー賞ノミネート、TIME誌の表紙を飾るなど、大活躍のおばあちゃんです。
今回のnoteは実際に行った感想&ぶらぶら美術博物館の備忘録です。
アメリカの田舎で暮らす農場の主婦でした。妹の勧めで絵を描き始め、80・90歳と徐々に上達、101歳で亡くなるまでには既に国民画家として活躍するまでになりました。
人気画家になっても暮らしぶりは変わらず、展示では子供服やパッチワークの大きなマットのようなものも展示されており「はおばあちゃん」って感じの展覧会でした。
作品にはその暮らしぶりが浮かび上がるような素朴で丁寧な田舎の風景が並びます。
作品の変遷 始まりはおばあちゃんの刺繍から!?
海辺のコテージ1941個人蔵
展示の最初で目を引くのは、油絵じゃなくて刺繍!?
ぶら美でもご紹介していましたが、実物を見ると本当に暖かな印象を与えてくれました。
ああ、ゆっくりのんびり、鑑賞していいんだと。おばあちゃんが教えてくれるようでした。
元々は病弱だった娘の所に出入りしていた折、娘から「刺繍が流行ってるらしいからやってみたら?」と誘われたことがきっかけだったそうです。
やってみたら評判も良く、孫にあげたり人にあげたりしました。
段々手のリウマチが悪化して刺繍を断念。
それだったらと妹の勧めで油絵を始めました。
田舎のおばあちゃんがNYで初個展?そのきっかけは
グリニッジへの道1940
農家で育てたものも、作ったジャムも、刺繍も、絵も、近所のドラッグストア(なんでも屋)にもって行ったそうです。
そこに置いてもらい、主婦たちが好きなものと交換する仕組みだったようでした。
その田舎の何でも屋に、たまたまNYから来たのが、アマチュアコレクターのルイス・カルロア。絵を気に入り、モーゼスの元へ、家に訪問し、全部購入しました。
NYに戻ったルイスはモーゼスをNYで紹介、個展を開くことになり、多くの人の目に止まるまでになりました。
透視図法を自らあみ出す?
アップル・バター作り1947
そこから段々と上達し、モーゼスらしい表現へ変化しました。
色彩遠近法(遠いものは青っぽく)はなされていますが、線的遠近法、空気遠近法がない世界。少し歪で、でもそこが味として上手く落ち着いてくるようです。
この空気遠近法も、教育で習った訳ではなく、彼女が生活する上で自然と出てきたものなのでしょう。また、近くのものと遠くのものを描き分ける手段としてレイヤーのように重ねていくように描いています。自分から編み出した手法が板につき、独特の世界観を作り上げました。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
podcastやSpotify、YouTubeを通し、美術史解説をしています。
この度、書籍を出版することとなりました。ぜひご一読ください。
__________________
ランキング
いつもたくさんのご支援・ご声援、ありがとうございます。