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神話がアートを魅力的にみせる【ゴーギャン】

Podcastアフタートーク
第117回ポール・ゴーギャン配信完了しまいた。
やー今回もめちゃくちゃ面白かった。かなり我の強いアーティストではあるので、おそらくこれで後世に残るまでの人物になってなかったら、単にめんどくさいじいさんって印象だったのかもしれない。
でも特にこの時代では我の強さ、強烈に個性的な感性を持っている人物のほうが歴史に残っているように思う。
当たり前が当たり前でなくなる時代。無常を強制的に突きつけられる時代。

あと、ゴーギャン目線だと南フランスのアルルに行ったエピソードは、あまり特筆してこないなあという印象がありました。相方のゴッホ目線だと、ゴッホの画家人生の大きな分岐点となるのでビックイベントなんですけどね。
パリを離れるところから始まり、耳切て帰るまで、全てがドラマ的だった。

ゴーギャン的には、アルル以前。ブルターニュ地方での地元芸術家との出会い、そして言わずもがな、タヒチに行ったときの原始的な生活スタイルとの出会いが、ハイライトとなる。

マガジン@2x

印象派からも反発したアート

ゴーギャンは印象派として分類されますが、その思想や好みは印象派(初期印象派)とは相容れない部分が多い。

初期印象派の特徴といえば「光」
モネが光、水(水面)、日本庭園を描いたように。ルノワールが女性の肌に落ちた木漏れ日を描くように。カイユボットがしんしんとだが穏やかに流れる光を描くように。
ゴーギャンが乖離したのはそういった新しいムーブメントをした若手作家の動きも含めての都会的な文明的な改革だった。
かといって古典的な表現に戻ったよりもさらに遡ってたどりついたのが神話の世界。

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創造主を信じるひたむきな姿

タヒチでテハナという少女を現地妻に迎えるわけだが、彼女らが信仰していたのがオセアニア神話。
そこに魅了されるわけですが、とはいえオセアニア神話の信者になったわけ

でもなく、文化の混じり合いを楽しんでいたという印象です。

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『アベ・マリア』では、現地妻のテハナを聖母マリアに見立て、子供をキリストにみたてた作品を残しています。自分が元々馴染みのあった宗教の考えと、現地の雰囲気とを融合させたのでしょうか。

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ゴーギャンの作品には印象派の移ろいゆく色幅がなく、むしろ後のフォービズムにつながる色面構成を思わせます。
ゴーギャンが都会にはもう描くものがないと旅した先は、それほどに、今までの世界観とは逸脱した輝かしさがあったのかもしれません。


(おまけ)メールより

いただいたメールの内容に、たくさんの人物名を書いていただきました。番組内で一人一人をご紹介するとごちゃごちゃしてしまいそうだったので、ここで簡単にさらいたいとおもいます。

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レオノール・フィニ
20世紀アルゼンチンの女性アーティスト。じっとりとした幻想世界。華やかさがいい意味で際立つ世界。

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レメディオス・バロ
20世紀シュルレアリストの女性画家。画面に世界をぎゅっと収めるような描き方をするイメージ。世界観とスケール感のちぐはぐを作る。

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フリーダ・カーロ
20世紀メキシコ、シュルレアリスト。ミクロ視点を散りばめたような世界形成。セルフポートレート絵画の人。

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アルテミジア・ジェンティレスキ
17世紀カラヴァッジョ派の女性画家。才とは裏腹に、男性社会で生きていく女性画家の苦悩のほうが後世では特筆されがち。

ペギー・グッゲンハイム
今から半世紀ほど前のアートコレクター。ご令嬢からの女性ならではの苦悩、そしてパトロネスへの転身。

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