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内容をよく理解していればデザインに合わせてスライドの内容を変えることもできる

プレゼンスライドの内容を自分で考えて自分でデザインもできると、望みのデザインに合うよう内容に手を加えられます。テキストの長さを揃えたい、4項目を3項目に減らせればバランスがいい、図を横長にすればテキストを追加できる等のデザイン的な要求に対し、文言や図を適切な範囲で改変できます。

プレゼンスライドの中身を自分で作って、そのデザインも自分でできることのメリットの一つに、自分の望むデザインに合うよう内容を変えられる、というのがあります。もちろん、デザイン偏重になりすぎて、主旨が変わってしまうほど改変してしまうのはいただけません。しかし、その内容を考えたのが自分自身で、このスライドで伝えたいことが何なのかをもっとも理解しているのが自分自身という状況では、あくまで許容される適切な範囲内で、デザインに合わせた内容の改変や微調整が可能になります。

図1 プレゼン内容をデザインに合わせて変える

内容の作成と見た目のデザインを分業してプレゼンスライドを作成するやり方ではそうはいきません。例えば、プレゼンスライドのデザインをデザイナーに外注することもあるかもしれませんが、そうやってしまうと、仮に、デザイナーがデザイン的にはこう変えた方がいいと考えても、デザイナーが勝手に改変はできません。変更を加えるにはデザイナーとスライド作成者の間で綿密なすり合わせが必要になってしまって、手間も時間も余計にかかってしまいます。この点において、プレゼンスライドを自分で作って自分でささっとデザインまでできるのは非常に大きなアドバンテージになります。

プレゼンスライドをデザインしているときに、例えば、こういった状況に出くわすことがあります。図2を見てください。項目が4つあって、それぞれ見出し(特長1~4)と説明が書かれています。4項目を並列に見せたいので、こういった見せ方にしたものの、どうにもしっくりこない感じがします。

図2 4項目のテキスト長さが異なっている

それは、2番目の項目の説明文が他の項目に比べて短くなっていて、3番目の項目はさらに短くなっているせいです。このテキストの長さのアンバランス具合が妙に目立ってしまい、見る人に違和感を感じさせてしまいます。デザインをわかっている人であれば、これを見たとき、いくつか言葉を足して2番目と3番目の項目も他の項目と同じぐらいの文量にならないだろうか?その方がバランスがとれて美しくなるのだけれど・・・と考えるはずです。

このスライドの作成者であれば、文章を少し工夫するだけで4項目をすべて同じぐらいの長さのテキストに書き換えることができます。それはそんなに難しくないはずです。そこで次に、図3のように改変してみました。このように、4項目の説明文の長さが同じぐらいに揃っていると、先ほどとは違って、全体としてより調和がとれた見た目になります。

図3 4項目のテキストの長さを揃えてみた

さらにデザインに手を加えてみましょう。図4を見てください。ここに書かれている内容を理解していて、何を伝えたいのか要点がわかっていれば、このように、特長を表す一言とその説明文に分けて書き記すこともできます。このように見せ方を工夫できれば、調和がとれて見た目がよくなるだけではありません。本当に伝えたい重要なポイントを、より的確に伝えることができるようになります。

図4 内容の改変で見た目がよくなるだけでなく、わかりやすくもなる

これを、単純な見た目の問題としてとらえていてはいけません。4項目を並列に配置するということは、本来、それら4項目には同じだけの重みがあるはずです。もしそうでなければ、4つを同列に並べて語るべきではありません。なので、図2におけるそれぞれの説明文も、重みが同じなら同じぐらいの文量になって然るべきですが、そうなっていないということは、2番目や3番目が説明不足、あるいは1番目や4番目が説明しすぎ、となります。つまり、論理的に考えても、これら4項目は同じぐらいのテキスト長さにするべきだと言えます。

デザインの素養があれば、こういったちょっとした気付きと工夫によってレイアウトに調和を生み出し、そのスライドから受ける印象を格段に改善することができるようになります。

この調和というものに関して、じつは、図3図4のようにしっかりと調和がとれているとき、それを見る人は、意外とそのことに気付かないものです。むしろ図2の場合のように、調和がとれていないとき、調和を乱す箇所に人は敏感に反応してしまって、特別な違和感を感じるものです。したがって、「良いデザイン」にする目的は、見る人に良い印象を与えるためというより、見る人に悪い印象を与えないため、と言った方が的を射ているかもしれません。デザインにしっかりと気を配らなければならない理由はそこにあると、筆者は考えます。



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