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偶さか日記7(暗夜迷宮日記)

イラストは全て嘉又夢了氏
文中の凌司君は氏のキャラクター。
事前に関係を組んでいます。


4月2日

昨日の記念写真をなりちかチャンが持って来た。


凌司君は今回自分の女装顔をタレ目に作り込んだから俺の下半身は直撃されなかったが、この顔の土台をどうやら俺は好きらしい疑惑が浮上した。
いやいやいやいや、タマ有りは無ぇだろ。しかもオッサンだ。
漢は五十路からとか言ってる男性愛者の子もいるらしいが、その子等の気持ちを否定する気は毛頭無ぇが、俺は、せめて工事済が良い。
ひんぬーは良いんだよ。真っ平らでも全然構わん。
だがタマ、手前ェと胸毛は駄目だ。
不安になってきたから医者に相談した。
凌司君の担当医は俺の担当医でもある。
俺「お疲れさん。ちょっと聞きたいんだが直系は惹かれるものか?」
担当医「万禮さん、おつあり様。
御免、徹夜明けで頭が回らないから、もう一言かそこら足してくれる?」
俺「すまん。直系になると始祖と係累は惹かれるか?」
担当医「ああ、なるほどね。誰にせよニンゲンの頃の感情記録はコチラには無いから、直系になったからかどうかは不明だけれど、直系始祖と係累が惹かれ合っているデータは多いよ。そもそも、我々バンパイアは本来、惹かれる者を生命ごと貪り求めてしまうという呪いを受けた生き物だからね。あなたみたいに風俗以外は敵対者を滅する為の吸血しかしないタイプは少ないよね。全然美味しくないでしょ。圭さん、とても美味しかったんじゃない?何ならあなたの始祖だったあの方よりも。」
俺「アー、そういう…。ありがとう。」
俺の担当医はその昔、俺の始祖の担当医でもあった。俺達の関係もよく知っていた。
担当医「どういたしまして。万禮さんだから言える言葉なんだけど、無理しないようにね。」
俺「押忍。」
まじか。
とりま泳ぐ事にする。数キロ泳げば落ち着くだろ。

4月3日

義係累マー坊が訪ねてきた。
伴侶の浮気癖がエスカレートして、どうにも我慢できねぇから盲目術を手解きしてくれと。
盲目術というのは自分以外のヤツを強制的にアウトオブ眼中にさせる、バンパイアがちょいと訓練すれば使えるようになる催眠術みてぇなモンの一つだが、俺には必要なくて使えなかったからター坊の女房に相談したら、先々も他人に教えるのは怠いからお前が今覚えろと言われて渋々マー坊と一緒に習った。
この大先輩は今でこそター坊が嫌がりそうな事は全て我慢して大人しく生きているが、その昔は俺より凶暴だった時代があって、その凶暴さは武闘派バンパイアの中で語り継がれてるくらいだから、余程理不尽じゃなければ俺は従うようにしてるんだ。
4時間ちょいで盲目術を使えるようになった帰り際、凌司君の大ファンでもある大先輩が宣った。
「遊び半分で圭さんに使ったら殺すからね!」
使うかよ!!

4月4日

朝飯で20時間振りに会ったら凌司君がエロい声になってた。
昨日息子とのカラオケで歌いすぎたらしい。
その顔でやめろよな!
ハスキーボイスに俺は弱いんだよ!!
今日も3キロ泳ぐ羽目になった。

4月5日

ファッキン。知覚反映遮断は成功してる筈なんだが、寝坊した頭に鬱っ気が忍び込んでやがる。
俺には無い種類の思考癖と感情だ。
最悪の答しか導き出さない質問をわざわざ選って空想相手に投げ、幻影から最悪の答を受け取って、当然のように奈落に墜ちるという存在意義不明の鬱堕ちの為だけの空想回路。
他人の答は当人に出させてやるべきモンだ。
他人の感情は当人が持つまで待ってやるべきモンだ。
誰だろうと決めつけて押しつけちゃならねぇ。
ベッドでうだうだしてるだろう凌司君の為に消化の良さ優先の朝食を作ってやろうと地上階へ上がる。
ああ、天気が悪いのか。こりゃ仕方無ぇな。
雨の日ソングメドレーと洒落込むとすっか。


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