川原依子

小説*エッセイ*ポエム ことばの奥にあるものを探すのが好きです。

川原依子

小説*エッセイ*ポエム ことばの奥にあるものを探すのが好きです。

最近の記事

緑のリズム (短編小説)

小説の書き方は、100人いれば100通りある。つまり、書けない理由も100通り。ということだ。書けないとは、書くことができないと思っていることである。それは、書くことを思って生きていることだ。白鳥(しらとり)緑( みどり)は、多分こういうことを言っていた。 なぜ今ここで、彼女のことを思い出しているかというと、まさに、書けないからだ。いや、書いてはいる。ただ、物語が始まると、また別の物語が始まっていく。物語は、未完成なのだ。 小説を書こうと決めたとき、私は、自分の中の情熱に

    • 【140字小説】黎明

      昨夜のたき火の跡を見ながら静けさを吸い込むと、湿った草の匂いがした。 空のグラデーションを体で感じ、あの日のことと、あの日からの私におはようと言う。人生は美しい、それが私の真実だから。 耳を澄まさなくとも胸の音が聞こえていて、目の前の景色は、目を閉じても続いていた。

      • 【140字小説】冬の星々3作品

        星々さんの【季節の星々(冬)】応募作品です。 ① 怒りで電話を切った。 母の死を忘れられたことに腹が立ったのだ。親友だと思っていたから。 私は、彼女のことを大体は知ってる。なのに。 寒空を見上げていると「大体知っている」が、何なのか分からなくなった。誰かのことを知ってると思った時点でおしまいね。さっきの広美の言葉が頭をコダマする。 ② 瞼がゆらゆらした何かを察知した。 目をひらくと、見たことのない黄金の光が部屋に差し込んでいた。 そのあまりの神々しさに、天に召すことを覚悟

        • 【詩】夢の中で

          とんだり跳ねたり 思いきり走ったり 派手にこけて大笑い 泣くことも笑うことも どれだけやっても大丈夫 だってここは夢の中 どんなことが起きてる? どうして此処にいるのかな? わからないけどそうなっていたみたい 目に映る景色 それはどんな色 それはどんな匂い 窓の外で雲が流れてく 形を変えながら ゆっくりと速く 儚さと美しさ ぼんやりときらきら それは世界 それは宇宙 それはどんな味 それはどんな声 深呼吸をして 思いっきり表現しよう この世界の愛しき登場人物たち 今

        緑のリズム (短編小説)

          はじまりはデリシャス (短編小説)

           名前を呼ばれた気がして目を開けると、父がいた。父の周りには知らない顔が、10……20はある気がする。ぼんやりした視界が、徐々にクリアになっていくのを追いかけるように、胸の音が大きくなっていく。私は、ハンモックの上にいた。 「具合悪い?」父の声。 「いや全然」 「疲れた? 眠たい?」  視線の先にはやはり父の顔があった。覗き込むことばに私は答えた。 「いや元気だけど。どういうこと?」 「こっちが聞きたいんだけど」  父はそう言うと、続けて「皆さん、お騒がせしました。何でもあ

          はじまりはデリシャス (短編小説)

          愛と感謝に生きる

          “ 今日も~明日も~愛と感謝に生きよう~~~♫ ” 知れば知るほど、やっぱりあなたって私だと思う。全部わたし。 愛しい~人よ~最高の笑顔をありがとう~大地を踏みしめてともに歩こう(^^♪ ってわたしが私に言ってる。 2023.3.21 今日から投稿はじめます。 

          愛と感謝に生きる