見出し画像

【音MAD】midiで音合わせをする方法について調べてみた

こんにちは。laと申します。

先日DMにて、
「reaperでピッチベンドするにはどうすればいいか?」
という質問を受けました。
自分なりに答えてはみたものの、自分の知識もイマイチ不十分であることを認識したので、「midiを使って音程を付ける方法」「それらにピッチベンドやうねりをつける方法」について改めて調べたものを共有したいと思います。

今回調べた内容を簡単に表に纏めました

①sampler

音MADでmidiを鳴らす最も基本的な方法です。
シンセ化」した素材をサウンドの速度変更やピッチ調整が可能な「サンプラー」という類のVSTに取り込み、音を鳴らします。

先ず素材をシンセ化していきます。やり方は以下の記事で説明しているので省略。

reaperに戻り、"ReaSamplOmatic5000(以下RS5K)",もしくは"Grace"というVSTをmidiのあるトラックに挿します。前者はreaper標準搭載です。
先程のシンセ素材をD&Dし、(RS5Kの場合)"Obey note-offs"にチェックを入れ、"Mode"を"Note"に変更。"Pitch@start"のツマミを回して、正しい音に調整してください。

Attack, Sustain, Release, Decay(以下ASDR)はお好きに

【利点】
reaper標準搭載のVSTで音合わせができる
・ASDR(→音の強さや響き具合等)を自由に調整可能

【欠点】
・原型(→元素材の声質)が残りにくい
シンセ素材を長めに作らないと、途中で切れてしまう(→高音を倍速で作っている為、高い音ほど短くなってしまうと考えられる)
・低音がディレイする
・ピッチベンド(→音程にうねりをつける)が難しい
(ModeをFreely configurable shiftedにするとmidiのピッチベンド情報を読み込めるが、Pitch@endの設定が難しい他、設定できたとして違和感ある音声になる)
・モノラルサウンドになる

2本の緑棒は、それぞれLRの音量を表す。
サンプラーを使うと2本の長さが同じ(=モノラルサウンドになっている)ことが確認できる

以上のように、手軽な分欠点が目立つ方法です。

(参考にしたサイト)


②midi2item

ePi氏が作成したスクリプトを使用して「音程と長さの情報がついた空のオブジェクト」を大量生成し、そこに素材を挿入する方法です。

導入は上のサイトを参照すれば迷うことはないでしょう。

reaper上部のアクションリスト→midi2itemを選び、midiを選択した状態で実行。
作成されたメディアアイテムを範囲選択→F2キーを押し、「テイクのメディアソースファイル」内の「新規ファイル選択」でシンセ化した素材を選択。内容を一気に置換できます。

右上のフェードイン・アウトも設定した方がいい

【利点】
・(メディアアイテムを直置きしているだけなので)ステレオサウンドになる
・原型が残りやすい
・(Soloistで引き伸ばしているので)高音も違和感ない
・drumモードを使うと複数音程を別のトラックで処理してくれる

【欠点】
・Sustain, Delayが設定し難い
・ピッチベンドも難しい

使用人口も多く、音声もステレオでペーペー感を防げますが、工夫なしに使うとチープな印象があります。


③vital

多分今回試した中で一番優れた方法です。
"vital"というフリーのシンセVSTiで音声を加工します。

midiの入ったトラックのFx→vitalを挿入し、左上の"Init"と書かれた部分に"Pitch Splice"モードでシンセ化した素材をD&Dします。

右上でASDRを設定。中央上のUNISONはvの数を増やし、%の数を減らすとコーラスのような綺麗な音になります。

左下にFilterなんかもある

次に上の記事のようにLFOを一直線にしてモジュレーションホイールに割り当てるのですが…

方正「LFO(えるえふおー)?LFO(えるえふおー)ってなんや?」

という状況だったので、LFOについてもいろいろ調べました。

サイトによると、LFOとは「シンセサイザーの様々な値をグラフに則って周期的に変更させるやつ」みたいです。
MODEをEnvelopeに変更してモジュレーションホイールに割り当てることで、「一定期間進むとその時点で波形が停止する」という仕組が作れる…っぽい。多分。

【利点】
・(波形が止まる為)シンセ素材を長めに作る必要がない
・FilterやEffectsがVSTi側についているので、音作りの幅が広い
・ASDRも変更し易い
・ステレオサウンドになる
midi側に設定されたピッチベンドを拾ってくれる

【欠点】
・(アルペジオ等)極端に高音になると音作りが難しい
・原型がほぼ残らない

現在DTM界隈で幅を利かせているソフトなだけあり、かなり高性能です。


④Kerovee

"Kerovee"というピッチ補正プラグインを使った音合わせ。主に歌わせに使用されるようですが、シンセにも使えなくはないということで。

上で紹介されていた方法です。

空のトラックにKeroveeを挿し、子トラックにmidiを持ってきます。
Keroveeを以下のように設定し、midiのノーツの部分にシンセ化した音声をペタペタ貼ります。

【利点】
・原型が残りやすい
・(オブジェクトを直置きしているだけなので)シンセ素材をあまり長めに取る必要がない

【欠点】
・(歌わせには向いているが)わざわざシンセサイザーを作るには向いていない
・モノラルサウンドになる


ピッチベンドを追加する方法

先程midi2itemなどの項目で「ピッチベンドは難しい」と綴りましたが、実はreaperの「テイクピッチエンベロープ」を使ったり、VocalShifterなどの別ツールを活用すればピッチのうねりなどは作れます。

ただmidi自体に設定されたピッチベンド情報をmidi2itemで読み込む方法は(調べた限りでは)存在しなかったので、うねりのあるシンセを作りたい場合は上のようにチマチマピッチエンベロープを描くか、vital等ピッチベンド情報を読み込める方法を使うかの二択になってきそうです。
(かなり調べたうえdiscordで協力を求めましたが、もし間違っていた場合は指摘して頂けると幸いです)


最後にもう一度まとめ表を。YTPMVにおいては総合的にvitalが優れていそうですが、それぞれの方法の長所と短所を理解したうえで使い分けていくのが重要そうですね。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?