初の一時帰国を前にして ~子育て中の私のカリフォルニア生活2年半の感想~

待ちに待った日本への一時帰国まで、とうとう残り一ヶ月を切った。渡米してきてから気づけばもう2年半、米国を出ることなく過ごしてきた。

今こうしてカリフォルニア生活を続けてきて痛感している肌感覚は、日本に一時帰国したら薄れそうな気がするので、記録として残しておこうと思う。




価値観の変化

価値観の変化は大小多々あれど、一番の変化は、語学とスポーツが、こんなにも人生を豊かに彩るのかと心底実感したこと。

語学は言うまでもなく。
スポーツは、観戦も自分がするのも楽しいと初めて知った。カリフォルニアに来ていなかったら、トレッキングなんて一生しなかったかもしれない。

ちょうど今日、長男自身も「僕はスポーツするのが好き」とはっきり言っていた。今はバスケにハマりまくっていて、家にいて少し空いた時間があると次男とともに熱心にシュートの練習をしている。

そう、今書いてて気づいた。
私は、我が子たちの体当たりの奮闘から学んだのだ。
語学力とスポーツが、世界を広げてくれるということを。


語学とスポーツと、基礎学力と

私自身は恥ずかしながら、これまで両方とも熱心に取り組んでこなかった。
一方で、日本の受験システムに素直に従うことで基礎学力は身に付けることができ、そのおかげで、身の丈以上の広い世界を見せてもらえていると思う。

だから、子ども達にも基礎学力はしっかり身につけてほしいと思っていた。(今もなんだけど)


が、渡米してきて子ども達を現地校に通わせてみると、どうもノリが違う。カリキュラム自体がゆっくりで、日本と比べるとのんびりしている感じ。その分、スポーツや楽器などの課外活動に割くエネルギーがすごい。


スポーツ、とりわけ集団競技では、人種や言語の壁を越えて、チームメイトが一丸となって戦う。チーム内ではお互い英語で話しているけれど、休憩中に交わされる親子の会話では、何種類もの言語が飛び交う。家庭言語は英語ではないが、それぞれの子どもが英語も母語も話せるという環境。
こんな体験を、さも当然といった感じで子どもの頃から日々味わえるなんて、何て貴重なことなんだろうと思っている

…..と、ここだけ取り出して書くと綺麗なストーリーなのだけど、現実の世界は一筋縄ではいかない。何事にも悩みはつきもの。今の我が家にとっての問題は、スポーツに割く労力が結果的に大きくなりすぎていて、基礎学力養成に割くべき時間的、体力的余裕がなくなっていること…。


親自身の体力の問題も

日本と違って、この国では子どもが何をするにも親の送迎が必須だ。小学校の登下校、課外活動の送迎、友達とのプレイデート。
課外活動に関しては、送迎だけではなく、活動そのものを見学することも多い。

それだけで、親としても体力と時間を割かれることになり、しかも子どもが複数いると、日々それだけで結構なイベントとなる。

コロナ禍でスポーツ系の習い事を全くしていなかった時期と比較すると、勉強時間が減ってしまった。この事実にどうしても引っかかってしまっている…。


スポーツと語学は人生を彩るが、、

彩るという言葉は言いえて妙だ。
どちらも人生を充実させれくれるものだとは思うけど、それだけでは十分ではなく、やっぱり根幹を成すのは基礎学力なんじゃないかと思う。

そして、その基礎学力は、母語である日本語での理解が必須なのではないかと薄々感じている。

身につけてほしいのは思考力

学生時代の教科書に、『思考』が次のように定義されていたのを、ずっと心に留めている。
『思考とは、言語を媒介として行われ、目標に向かい概念が次々に想起され論理的に連結し、事実に即して判断および分析され、問題解決がなされる精神活動である』

そう。何かを考えるというとき、まっさきに書かれているのが「言語を媒介として」なのだ。

成長期の小学生時代、学年があがるにつれて精神年齢は発達し、学校での学習内容も高度になっていく。子ども達自身は、幸い英語の習得は順調だが、今後はどうなっていくのだろうか。
両親ともに日本人で、家庭内では日本語を使っているわが子たちにとって、高度な思考力を身につけるために最適な環境は日本なのではないだろうか。

私自身が今、異国の地で日々サバイバルしていく上で、色々な情報を読み解き、考えることを繰り返している。思考力は生きていく上で絶対必要なものだと身をもって感じる。

加えて、先ほど書いたような親自身の体力の問題もあり、実家という強力なサポートが得られる環境の方が、子どもが育つ環境としてより良いのではないだろうか。



最近は、そんな結論に達しつつある。
一時帰国中に、この結論について、しっかり吟味したい。

そして何より、子ども自身が日本の小学校生活を初めて体験してどんな感想をもつのか、その声に向き合いたいと思っている。



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