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水樹奈々を目の前で見たことがあるか? ~奈々さんのライブを最前列で観た時の話~

2017年3月4日。
僕の目の前には、まぎれもなく水樹奈々さんがそこにいた…


僕が奈々さんのライブを初めて生で観たのは2011年の夏ツアー、『NANA MIZUKI LIVE JOURNEY 2011』の名古屋公演。それ以後はほぼほぼ毎ツアー観に行っている。

2016年の終わり頃、年明けから開催予定の『LIVE ZIPANGU 2017』のFC先行予約の案内が届く。

これまでは地元の名古屋公演はマストで、残りは千秋楽の関東での公演・単発ならなるべく両日で…という形でチケットを押さえて観てきた。

ただ、この時は何故だかいつもと考えが違った。

「行ったことのない街でライブが観たい。観光もしたい。」

そうして、初日・2日目の名古屋・日本ガイシホールと、沖縄・ぎのわん海浜公園野外劇場での公演を申し込んだのだった。

程なくして抽選結果が届く。無事に申し込んだチケットを確保。ここからが忙しい。宿泊先・交通機関の手配…名古屋公演に関してはチケットが届くのを待つだけで何もしなくても良い。だが今回は沖縄行きがあり、生まれて初めて自分で飛行機の予約をした。観光のために、レンタカーも初めて予約した。


時は経ち、街がクリスマスで華やいでいた頃、とあるアイドルのライブを一緒に観た友人をセントレアに送り届け、家路へと急ぐ。
「いつもは飛行機を観に行くだけだけど、3月は乗るんだよな。」なんて考えているうちに自宅に辿り着く。実家暮らしの食卓の上には、見慣れた黄色い封筒では無かったが、見ただけで中身が想像付く封筒が届いていた。

自室へと持ち出し、封を開ける。
この瞬間がいつも楽しみだったりもする。どこの座席でライブを観れるのか?という瞬間。

ガイシホール公演は1日目はアリーナ席、2日目はスタンド席だった。アリーナ席でもピンキリだが、おそらくトロッコ演出はあるだろうしなぁ…2日目は連番予定だけど、遠すぎなくって観やすい位置だし連番相手にも喜んでもらえるかなぁ…なんて考えていた。

最後に出てきたチケットを見て手が止まった。

『S1列』

すぐさまGoogleに『ぎのわん海浜公園屋外劇場 座席表』と検索する。いくつもの画像を、サイトを、確認していく…

「最前列、だ…」

しばらく手の震えが止まらなかった。
当時はファン歴8年になろうとしていたくらいの自分、これまで一度も叶うことがなかった奈々さんのライブを最前列で観ることが出来る機会…目の前にあるプラチナチケットに、ただただうろたえるしかなかった。いつかは欲しいと思っていたチケットが、目の前にあるのだから…。


2017年3月4日。

朝から浮かれた気分で車を走らせてセントレアへ。下調べに下調べを重ねた上で手慣れた感じを仕上げて、飛行機のチェックインを済ませる。保安検査は握手会で鍛えた手際の良さを見せてスムーズに通過する。一生オタクしてそうな奴のテンプレートをかましたところで搭乗。隣に座った人は如何にもライブに行きますよという感じでライブTシャツを着ている。「ワクワクする旅」が始まると思った。

名古屋との気温差も、昼食で食べたソーキそばの美味しさも、初めての沖縄にずっと浮かれた感じはあったが、ホテルに荷物を預けて会場へ向かう。ここまではいつものライブ遠征と何ら変わりないものだった。

ぎのわん海浜公園着。
沖縄のキラキラした海をバックにして、客席がステージに向かって扇型に並んでいる。どの席に座ってもステージを見渡しやすい造り。演者を観に来た誰にでも優しい造りの素敵な会場だ。決して大きな会場ではないけれど、ロケーションは抜群に良い。

半券を片手に、ステージに向かって通路を進んでいく。高鳴る鼓動と共に沸き立つ緊張感。自分の座席の前に来た頃にはすでに並みのものではなかった。席に腰掛けると目の前にあったのは青いプラ柵。その先にはさっきまで小さく見えていたステージが眼前いっぱいに待ち構えていた。

所狭しとスピーカーやアンプが並び、ドラムセットやパーカッションのセットが鎮座している。スクリーンも中央にある登場時のセットも、つい2か月前にガイシホールで観たものだったはずなのに、全てが特別なものに見えた。

時間はどんどんと速く進み、期待感と緊張感も比例するように高まっていく。ピークに達するのもつかの間で、ついにライブが始まった…!


『WILD EYES』のイントロと共に中央のセットの幕が開く。
僕の目の前には、まぎれもなく水樹奈々さんがそこにいた…


…あっという間の時間だった。
オープニングから疾走感溢れる楽曲が続き、タイマン勝負ではしっとりとまた爽やかに歌い上げる。名立たるミュージシャンを有するチェリーボーイズの重厚かつ巧みな演奏をスピーカーからダイレクトに浴びて、終始コール&レスポンスの心地よい掛け合いがあり、ラストには会場全体に包まれたグルーブ感と多幸感の中での『POP MASTER』の大合唱。

いつものライブの感想と遜色ないもののように見えるが、この時は全く違うものだった。何故なら、どの場面を切り取っても目の前に奈々さんがいるからだ。

誰かの頭越しでも、デカいモニター越しでも、サイズの大小問わず移動するための『乗り物』に乗って座席の近くに来た一瞬でもない。実物大・実寸大であって、そこに存在している『水樹奈々』を目に焼き付けている。

17・8の頃に初めて好きになった声優さんが、受験の結果に失望していた中でも観ていたテレビの中で『POWER GATE』を歌っていたあの時の本人が、初めて行ったライブで聴いた歌声に鳥肌が立つほど感動したあの時の本人が、今その目の前にいる。そして歌い、踊り、笑っている。その姿を見て、この上ない感動を覚えることがあっただろうか…

これほどまでに「ずっとこの場所に、この空間にいたい」と思ったライブは無かった。いや、ライブの度に思うことでもあるが、この日だけは何もかもが『特別』であって『格別』だった。

南国の春にまだ少し早い夜には肌寒さもあったが、この日にはちょうど良いものだった。全身で幸せを噛みしめてホテルへと戻った…。


あの日以来沖縄が好きになり、昨年も本島へ、今年は石垣島へ行ってきた。そういえば奈々さんも石垣島へ弾丸で行った話してたっけ?なんて思いながら、竹富島へ向かう船に乗ってた気がする。今でも時々思い出すあの日の記憶を締め括るのはいつもこの言葉だ。


『また、沖縄でライブやってくれないかなぁ。。。』


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