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スポーツ復帰に向けたアキレス腱障害のアプローチ


アキレス腱障害はランニングやジャンプ動作を繰り返すことによりアキレス腱の変性、パラテノンやアキレス腱付着部などの炎症によりアキレス腱周囲の痛みが生じる障害です。

アキレス腱症のように一度変性したアキレス腱は治癒能力が乏しいため、疼痛を消失させる安静だけでは、スポーツ復帰を目指すアプローチとして不十分であり、再発を繰り返してしまう可能性があります。

そのためアキレス腱障害のアプローチでは、原因となる足関節マルアライメント・底屈筋群の機能不全などを改善し、アキレス腱に対するストレスを軽減し、スポーツ動作における負荷に適応できるアキレス腱の強化が求められます。

このnoteではアキレス腱障害に対するスポーツ復帰に向けた段階的なアプローチ方法を動画を中心に解説していたいと思います。

このnoteではアキレス腱障害に対するアプローチを評価からCKCトレーニングまでアプローチをスライドと動画を中心に紹介しています。

スポーツや臨床の現場でアキレス腱障害のアプローチを詳しく知りたいアスレティックトレーナーやトレーナー(アスレティックトレーナー・理学療法士・柔道整復師・鍼灸あん摩マッサージ指圧師など)の方にはオススメの内容となっています。


≪note概要≫|2022.2.17 更新
・機能解剖
・病態
・アキレス腱障害へのアプローチ
1.評価

・足関節背屈可動域の評価
・底屈筋群の機能評価
2.関節可動域改善
・足関節背屈可動域改善
・足関節底屈筋群ストレッチ
3.運動療法
・後脛骨筋ex
・長腓骨筋ex
・ヒラメ筋ex
・下腿三頭筋遠心性収縮ex
4.CKCトレーニング
・スクワットカーフレイズ
・カーフレイズ
・カーフレイズ+ジャンプ
・シングルレッグデッドリフト
5.アスレティックリハビリテーション(2022.2.17追加)
・カーフレイズジャンプ
・アンクルホップ
・リバウンドジャンプ
・ドロップジャンプ


【ダイジェスト動画】


機能解剖

アキレス腱は下腿三頭筋である表層にある腓腹筋と深層に位置するヒラメ筋の二つの筋から構成されます。

この二つの筋が最終的に踵骨の付着部から5~6cmほど近位から合流して腱となり踵骨隆起に停止します。

また腱の構造により負荷耐性も異なり、腱実質部は伸張ストレスに対して最も強いことの対して、筋腱接合部は脆弱である特徴があります。

またアキレス腱障害付着部には滑液包が存在し、伸長ストレスだけではなく圧迫ストレスも障害発生に関与していると指摘されています。

アキレス腱

腱の構造


病態

アキレス腱障害は下腿遠位後方に発生する疼痛を主症状とした疾患で、踵骨のアキレス腱付着部に生じるアキレス腱付着部症や、アキレス腱実質部などに発生するアキレス腱症など疼痛の部位によって分類されます。

アキレス腱障害の分類
①アキレス腱付着部症|踵骨のアキレス腱付着部・滑液包の炎症
②アキレス腱症|アキレス腱実質部の微細損傷、退行性変化
➂アキレス腱周囲炎|アキレス腱周囲のパラテノンの炎症

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アキレス腱障害は、ランニングやジャンプなどにおいて足関節可動域制限によるマルアライメント、底屈筋群の機能不全によりアキレス腱への牽引ストレスが増加することが主な発症の原因として挙げられています。


アキレス腱障害の原因
・可動域制限|背屈制限
・足関節マルアライメント|距骨外旋、扁平足、ハイアーチ
・底屈筋群の機能低下|下腿三頭筋、後脛骨筋、長腓骨筋など


アキレス腱障害へのアプローチ

1.評価

➊背屈可動域制限

アキレス腱炎の発生因子としてアキレス腱に対する牽引(伸長)ストレスが繰り返されることが考えられ、下腿三頭筋の柔軟性低下などによる足関節背屈の制限が挙げられています。

伸長ストレス

また足関節の背屈制限因子として距骨の可動性の低下が挙げられます。

足関節背屈時、距骨は後方内側に移動することによって脛腓間に嵌りこみ、背屈可動域が確保され構造的な安定性が高まります。

しかし、距骨後方の軟部組織の滑走性が低下し、距骨の移動制限を有する場合には背屈制限を招きます。

そのため距骨の内側後方移動制限に伴う背屈制限が生じているか評価を行っていきます。


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➋底屈筋群の機能評価

足関節において腓腹筋とヒラメ筋で構成される、下腿三頭筋の遠心性収縮機能の低下がアキレス腱に対する牽引ストレスを増加すると指摘されてます。

下腿三頭筋のほかの底屈筋群では後脛骨筋長腓骨筋なども底屈時の回内・回外の安定性に関わるため合わせて評価も行う必要があります。

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➊ 足関節背屈制限評価
➋ 底屈筋群の機能評価
・カーフレイズ|下腿三頭筋
・長腓骨筋
・後脛骨筋

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