見出し画像

スポーツ復帰に向けたOsgood-Schlatter病のアプローチ

Osgood-Schlatter病は成長期の男子に多く発生する、脛骨粗面の疼痛を主症状とする成長期の骨端症です。

発症の原因として、力学的に脆弱な脛骨粗面に付着する大腿四頭筋の収縮による牽引ストレスが繰り返されることにより疼痛が発生するとされています。

治療においては保存療法が選択されることが一般的で、発生の原因となる大腿四頭筋による牽引ストレスを軽減することが重要になります。

しかし、一般的な大腿四頭筋のストレッチだけでは思うような改善は見られることは少なく、スポーツ復帰をしても再発を繰り返してしまうことも少なくありません。

そのため根本的な改善には発症の原因となる姿勢や、スポーツ動作での動作を改善するアプローチが求められます。

そこで今回はこのnoteではOsgood-Schlatter病に対するスポーツ復帰に向けた段階的なアプローチ方法を動画を中心に解説していたいと思います。

このnoteではOsgood-Schlatter病に対するアプローチを評価からCKCトレーニングまでアプローチをスライドと動画を中心に紹介しています。

スポーツや臨床の現場でのOsgood-Schlatter病アプローチを詳しく知りたいトレーナー(アスレティックトレーナー・理学療法士・柔道整復師・鍼灸あん摩マッサージ指圧師など)の方にはオススメの内容となっています。


ダイジェスト動画

画像5


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


note概要(2022.3.9更新)
・Osgood-Schlatter病の病態と診断
1.評価

・姿勢評価
・膝関節評価
2.可動域改善
・骨盤前方偏位の改善
・上半身後方偏位の改善
・膝関節可動域改善
3.運動療法
・上半身前方移動改善
・内側広筋機能改善
・CKCトレーニング
4.アスレティックリハビリテーション
・シングルレッグデッドリフト
・スプリットスクワット
・インバーテッドハムストリングス
・フォワードランジ
・インバーテッドハムストリングス→ランジ

ダイジェスト動画


Osgood-Schlatter病の病態

病態

Osgood-Schlatter病(Osgood-Schlatter disease|OSD)は成長期に小学校かけて発症する、脛骨粗面の疼痛を主症状とした膝関節の疾患です。

Osgood-Schlatter病(Osgood-Schlatter disease|OSD)
好発年齢|スポーツを行う小学生高学年から中学生
性差|女子より男子に多い

オスグッド①

OSD発症の原因は、脛骨の発育過程で出現する二次骨化中心が出現した脛骨粗面に対して、大腿四頭筋の収縮により部分的な剥離が生じることが原因となります。

これは脛骨粗面の二次骨化中心が出現する、Cartilaginous stage(小学校低学年)から二次骨化中心が脛骨近位と癒合するまでのApophyseal stage(小学校4年生頃)までの期間に発症が多いともされています。

脛骨粗面の発育段階
・Cartilaginous stage|脛骨粗面の二次骨化中心が出現以前
・Apophyseal stage|二次骨化中心が認められる
・Epiphyseal Stage|二次骨化中心と脛骨近位の骨化中心が癒合
・Bony stage|脛骨近位の骨端線が閉鎖


つまり、成長過程にある脛骨粗面に対して、大腿四頭筋による過剰な収縮がかかり続けることがOSDの発症の大きな原因となります。


診断

画像診断ではⅩ線超音波(エコー)MRIなどが用いられ脛骨粗面の剝離の程度や炎症の有無など異常所見を把握していきます。

OSDの診断基準
脛骨粗面に慢性的な疼痛
・単純Ⅹ線側面像において脛骨粗面の不整像や骨片などが認められる
参考|膝関節疾患のリハビリテーションの医学的基礎

しかし、画像診断による重症度と、自覚症状が必ずしも一致するわけではないため、姿勢可動域制限、筋力などの各機能の評価と合わせたアプローチが必要になります。


1.評価

①姿勢評価

OSDの発症する年代では身体の発育・発達に伴い、猫背などの不良姿勢が起きやすい時期でもあります。

そのためOSDにつながる可能性がある全身の姿勢評価を行っていきます。

姿勢の評価として上半身と下半身の位置関係から姿勢を評価していきます。

矢状面上での身体重心(第2仙骨前方)に対して、上半身重心(第7~9胸椎)と下半身重心(大腿中央1/2~1/3)の相対的な位置関係により姿勢評価を行っていきます。

姿勢評価

・身体重心|第2仙骨前方
・上半身重心|第7~9胸椎
・下半身重心|大腿中央1/2~1/3付近

OSDを始め、膝関節伸展機構に障害が起こりやすい姿勢の一つに、上半身が後方移動下半身が前方移動する姿勢がみられます。

この姿勢の特徴は下半身に対して上半身が後方に位置するため、重心の後方化を招きます。

重心の後方化に伴い膝関節には屈曲モーメントが働き、大腿四頭筋の遠心性収縮による制御が求められ、大腿四頭筋の緊張が増加する可能性があります。


姿勢2

そのため、立位での姿勢評価に合わせて、片脚立ちやForward lungeによる動的な評価を行っていきます。


②膝関節評価

大腿四頭筋の緊張増加による柔軟性低下はOSDにおいて大きな危険因子として挙げられます。

股関節伸展位での膝関節屈曲を行い、大腿四頭筋の柔軟性を評価していきます。

画像6

①姿勢評価
・Single Stance test
・Forward lunge
②膝関節評価
・大腿四頭筋柔軟性評価|HBD


ここから先は

2,795字 / 6画像
この記事のみ ¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?