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100パーセントXYZではないんだけど大体/ほぼほぼ/広い意味ではXYZだ、みたいなときに何と言うか

接頭辞のSemi-, Pseudo-, Quasi-を使えるようになると微妙なニュアンスを手軽に出せるよ、という話。辞書的な意味はそれとして、実際の会話ではけっこうもともとの厳密な定義を離れたところで自由に使われている。


Semi-

semi-はセミダブルのセミだが、過去分詞を形容詞として使うときに頭につけると「軽くXだ」「実質的にはXだ」「厳密にではないんだけどまあ大体Xだ」みたいな意味になる。こういう使い方のときは「セマイ」と発音する人にしか会った記憶がないので、自分もそう発音している。例を挙げると

Sociology majors are semi-required to take intro to programming in their first year. 社会学専攻の学生は1年次のプログラミング入門の授業が事実上の必修になっている。

Raising and selling fighting cocks was a semi-prohibited but lucrative business. 闘鶏を育てて売るのは一応違法だったのだが金になるビジネスだった。

My grandma was semi-forced to marry my grandpa because they two were pretty much the only viable couple in the village. 村の中でそういう組み合わせしかなかったから、ばあちゃんはじいちゃんと無理矢理結婚させられたようなもんだった。

Tanya spent hours talking about semi-important anecdotes before getting to the point. ターニャは大して重要じゃないエピソードを並べ立ててからようやく本題に入った。


Pseudo-

「スードウ」と読む。Pは無音。疑似の、ニセの、まがいものの、という意味だが、ある単語の定義の境界を曖昧にして少し広い範囲を示す、みたいな機能もある。2つめの例を参照。ポジティブな文脈では使われたことを聞いたことは無い。

I don’t think Kenneth is silly enough to believe in such pseudo-science. ケネスはそんなエセ科学を信じるほど馬鹿じゃないでしょ。

I can assure you that there is no criminal, or pseudo-criminal activities in our town. 我々の街ではなんらの犯罪活動、あるいは反社会的行為も行われていないと確約します。

(いまネットの辞書で引いたらpseudo-criminal というのは一見犯罪だけど実はそうじゃない活動という意味になるらしい。antisocial activityという言葉も英語の表現で普通に使われているので、こっちを反社会的行為と訳すのはベストではないかもしれないが、要するに法律上グレーゾーンな行為、ということ)

Quasi-

「クォザイ」がカタカナで書くと一番近いかな。「クァズィ」と最後の音を[i]にして読む人もある。前者がアメリカ英語、後者がイギリス英語らしい(セマイとセミも同様)が、どっちでもどっちも聞く気がする。

Settlers created a quasi-European society in the colony. 植民者たちは擬似的ヨーロッパ社会を植民地で形成した。

The Ryukyu Kingdom retained a quasi-independent position within the political structure during the Tokugawa era. 琉球王国は徳川時代、準独立的な立場を維持した。

こうやって書くとsemi-と交換可能な例もあるかもな。思いついたらまた追記しよう。

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