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モラトリアムの贖罪

またタイトル未定が増えてきている~…。
サクッと書けるものを消化して、それで反動付けてどんどん出していくのが目標。
ずっとちまちま書いているものがあって、まあ完全なる自己満なのだけど(私のnoteは全部自己満‼️)それを今月中になんとか出したいのでまず書くことのハードルを下げんとね…と思っています。


以前働いていたところの店長が、俳句を書いている人だった。
界隈では割と著名な方らしく、本も出していると並んでパソコンに向かっているときに軽い自己紹介を受けた。
私がそこで働いていたのは、私が1度荒んで底まで落ち切って、そこからほんの少しだけ這い上がったときだった。
だからというのもあって、「社会に振り落とされるのは苦しいから嫌だけど、できれば誰の目にも映りたくない」というわがままで面倒な気持ちが全面に出てしまい、へぇーと空返事のようなかなり失礼な応答しかできなかったことを覚えている。(ごめんなさい)
まあそれまでの人生で俳句を書く人と直接対面することなんてなかったし、そもそも俳句なんて国語の教科書で見るくらいの教養しかないわけです、アタシなんて。中学生の頃に万葉集を読んで、訳を見てやっと読み取れる自分の不甲斐なさというか、自力で趣きすら感じられないことが作者への冒涜のように感じ、申し訳なさに苛まれたことがあるくらい。
だから、本当に俳句を嗜んでいる人が世の中にはいるんだなあ、世界って広いなあと思った。なんと稚拙な感想だこと。

荒んだところから少し這い上がったといえど私はまだまだ壊れていた。でも働かなきゃ、社会に追いつかなきゃ、と躍起になっていた私に「今はモラトリアムだと思ってゆっくりしていいよ」と言ってくれたこと、今でも覚えている。
焦り散らかしている私はそんなことを言われても、「そんなことを言われても…」としか思えなかった。ぺーぺーの私から見ても、その時の私はどう考えてもゆっくりしていいような立場じゃなかったのだ。だからといってやっぱりぺーぺーな私には出来ることなんてほぼ無く、ますます焦りは募る。しなければいけないことは山積みなのに、何も出来ない。悔しくて投げやりになる気持ち。そんな私を見透かしているかのようだった。

話は脱線するが、『モラトリアム』という言葉を私が知ったのは、彼氏彼女の事情というアニメだった。私はこのアニメが大変好きで、高校時代に1本見てから登校することで、主人公たちが学校にいるつもりになって苦痛な学校生活もなんとなくかわせていた。そのアニメの第9話のタイトルが「モラトリアムの贖罪」とあり、そこで初めてその単語の存在を知ったので、そこからモラトリアム=彼氏彼女の事情のように脳内変換されるようになっている。(本当に脱線している、脱線具合ひどいかもね)
だからというのもあって、現実世界で「モラトリアム」という単語を使うなんて素敵だなあと感じたから余計記憶に残っているのかも。

その人と一緒に働いたのは1ヶ月半とか、かなり短かった。元々私が短期間しかいない予定だったので、気が重い仕事内容とは裏腹に人間関係は楽だった。期待も期待はずれもないから。仕事中に感情を揺さぶられなくて済むから。
名実ともに、あの期間が私にとってのモラトリアムだったのかもしれない。10代を終える前の最後の1ヶ月半だったし。
その人自体はかなり癖が強くて、おばさんバイトと喧嘩したりしていたし、後から異動してきた社員はやりづらそうな顔をしていた。
私もずっと一緒に働くなら思うところも何かあったかもしれないけれど、自分がいなくなることも分かっていたので、悪いところをいちいち見ずに済んで気は楽だった。
その職に就くなら多少の癖の強さも持ち合わせないと自分がやられるような謎の過酷さを持ち合わせていることも、十二分に知っていたし。
本人に言わなかったが、作った句が気になって調べたことがある。
俳句と川柳と短歌の違いもうっすらとしか分からない私でも分かるような、素敵な句だった。日常の何気ない一コマを愛おしく思えるような、そしてそれを言語化できるような、一朝一夕では身につかない感覚と才能がそこにはあった。

私が仕事を辞めた時、唯一連絡をくれたのがその人だった。
辞めたんだって?だったらうちでバイトしなよ!君が教えたバイトさんたちはみんなとても成長したよ!と。
嬉しかったなー。私が胃がギリギリしながら頑張ったあのたった1ヶ月半を、しっかり見てくれた人がいたんだと思った。伝わる人には伝わったんだと思った。
苦しいことの方が多いし、朝になるのは怖いし、まだ眠ってもいないのに勝手に昇りだす眩しい朝日を睨みつけていた日々を、なぜか今でも思い出すのです。


いいリハビリになりました~!
まあ実は、最後何行かを書き残して1週間くらい寝かせていたのですが、重い腰をあげてやっと書いたのでリハビリとは言わないかもしれないけど!
どうにか!あと何本か書きます!うるう年で助かった!

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