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ゲゲッ・下校

なんだかふと思い出した中学の下校時間の話

中学の頃は部活に入っていて、剣道をしていた。
運動も好きじゃないし剣道なんかしたこともなかったのになんで入ったの?とよく聞かれたし、今でも言われる。私も理由なんか分からない。
剣道場を卓球部と一緒に使っていたので、火曜と金曜が部活が休みで早く帰れる日だった。他の部活は平日の休みが1日なのに対し、2日も休みがあるなんてずるいとよく言われていた。でも平日に2日も休むせいで、土曜は午後練、日曜は午前練という最悪な練習時間になるのでひとっつもずるくないけどな!と心底思っていた。土曜の午後練ってさすがに嫌じゃないですか?ちなみに卓球部は日曜休み。悔しい。

中2になって、友達が入っていた部活をやめてから、私の部活が休みの日は一緒に帰っていた。
友達と私は帰る方向が違ったけど、徒歩通学で反対方向に帰る友達を家に送ってから、自分が乗るバス停へ行くのがお決まりになっていた。
私の家はThe田舎だったので、家に帰るためのバスはそうそう来ない。来ても大量の中学生が一気に乗るためとても辛い。バス通学をしている人=同じ小学校だったはずだけど、誰一人仲がいい人なんていなかった。真面目な中学生だったから校則を破ってまでイヤホンをすることは自分が許さなかったので、バスの中で騒ぐ声を聞くのがしんどくて、わざと1本逃すようになった。
坂の上にあるキレイなマンションの上の方の階にある友達の家を目指して、帰り道ちゃんと戻れるか不安になりながら(生粋の方向音痴なので 通ったところとか覚えていられない)、知らない道を歩くのが楽しかった。なんてこともない、新興住宅地の間を縫って歩くだけなのにすごく楽しかった。
家では箱の中、家から1歩外へ出ても超ド級の閉鎖的な集落の中で育った私にとって、”知識として知ってはいたがほんとにあるんだこんな世界”みたいな気持ちで歩いていた。し、その世界に馴染んで溶け込んでいる友達が眩しく見えた。私が知らない、知ることもない経験をたくさんしているんだろうなと思った。

何がきっかけだったか忘れたけど、その友達のおばあちゃんの家にも寄ったことがある。友達の家に着くより学校から近くて、一軒家に1人で住んでいた。友達によく似た(まあこの場合は友達がおばあちゃんによく似たんだろうけど)、明るくて朗らかな、笑顔が可愛いおばあちゃんだった。幼なじみの多い友達だとはいえ、どう考えても見知らぬ顔なのに何一つ咎めることも質問することもなく当たり前のように家にあげてくれたことにとっても驚いた。それは私の知っている”おばあちゃん”では無かったから。14年間蓄えたつもりの知識の中にも無かったから。
孫である友達と同じようにアイスキャンディーを渡され、友達の小学校時代に撮られた演奏会の映像を見て、その頃私たちが好きだった芸人さんの話をして3人で盛り上がった。今振り返っても意味が分からない。いやおばあちゃんすごすぎない?14歳たちが繰り広げるミーハーオタク語りについてきてたよ?「おばあちゃんもお笑い好きだから!」とは聞いてたけど、話してた内容なんてほぼTwitterに仲間内でやりとりするようなことだったよ?すごいなほんとに。
その日はバスを2本逃したので、3本目には乗れるようにおいとました。ちょっと後ろ髪が引かれる思いだったのでおいとまなんて都合のいい語り口じゃダメかも!
結局、何度も家の前まで送ったことのあるその友達だが、ご両親にもご兄弟にも一度も会ったことないけど、おばあちゃんにだけは会ったことがあるという謎の現象を起こしてしまった。
私は自分の家に友達を呼ぶより、友達の家に上がりこませていただく方が多かったけど、たった1,2回だったのにここまで記憶に残ってる時点でかなりすごい。(記憶力が皆無なので覚えているだけで私の中ではめちゃくちゃすごい)初めて行ったお家とは思えないくらい、居心地がよかった。3年生になってその友達とはクラスが離れたけど、度々「おばあちゃん元気ー?」の会話はしていた気がする。おばあちゃん元気かなあ。元気でいて欲しいなあ。


中3になるとちらほら同級生が部活を引退し始める。
ご多分に漏れず、私も引退がかかった試合で負けたので6月の半ばにはさっさと引退していた。大体の同級生も同じ頃に引退するので、バスはそれまで以上に知ってる顔だけで混みだす。最悪だ。絶対に1本目には乗りたくない。幸い、6月の下旬に期末テストがあって、そのあとは7月の半ばまでちょっと耐えれば夏休みが来るので、居残りのテスト勉強や、最大の防御である”母に頼む迎え”を駆使しながらなんとか乗り切った。
夏休み明けて9月、の記憶は全くない。生きてたのかな?
10月からは、9月末で文化部に入っていた友達も引退したことにより、途中まで同じ方向に帰る仲間ができた。サイコー!!!
とは言ってもバスは1人なので(他の人はたくさんいる 私に友達がいないだけ)、その友達も家まで送ってから時間を潰して帰っていた。その友達の家も急な坂の途中で、みんなこんなにキツい思いしてわざわざ通学してんの?すごいな...と思いながら、歩かなくてもいい道を毎日歩いた。
余談だけど、私の家はバス停まで全速力で走れば30秒の位置にあった。ただ歩道が機能していないくらい狭いうえに急カーブがあるので、そこを通勤時間帯に全力ダッシュしたら確実に事故に遭うけど。でもあまりにも車道も狭いし急カーブだらけの路線だったので、運転手さんも固定3人くらいをローテーションしていたため顔見知りになる。走ったけど間に合わないや...となってとぼとぼ歩いていたら、バス停じゃなくてもドアを開けてくれていた。そういうところは田舎のいい所だよね。まあ実際はちゃんといつも時間前に時刻表の横に立ってたんだけど。
12月くらいまでは友達を送ってから1人で帰る~をしていたのだが、冬休み前に友達が塾に通い始めたため、友達を家に送る→玄関先でちょっと待つ(その辺にいる猫と戯れる)→塾に行く友達と来た道を戻るという謎行動を始めた。ちなみに友達は私のバスが来るのを隣で待ってから塾に行ってくれていた。こう書くとお互い何をし合っているのかよく分からない。ほんとに何してんだ?
でもすごく楽しかったなーと思ったのです。話していた内容なんて何一つ覚えていないけど、楽しかったな。そもそもこの下校の話を思い出したのはその子との下校時間を思い出したからなので。Twitterでいい路地の写真を載せるbotがあって、好きなのでよく見ているんですけど、そこに載っていた写真がとっても見覚えがあって(確かかどうかは知らない!)、それでパーッと思い出したので。

それはその子といつも通り一緒に帰っていた日。
その日は次の日が学年末テストか、恐ろしいことだけどもしくは受験か(私たちは志望校が同じだった)で、給食を食べて帰された日だった。ポカポカした陽の光がとても暖かかった印象が強いから、本当に受験の前の日かもしれない。みんなが明日受験する高校へ下見に行ったりしてるのに?ほんとに?ガチ?
私たちはその子が飼っていた犬を2時間くらい散歩させていた。2時間?散歩?早く勉強しなよ!”散歩させている”とか言ってるけど実際にはアンタたちも”散歩してる”のよ!ねえ!
白くてふわふわもふもふした可愛い小型犬だった。某アニメのキャラクターから命名されていたのだが、私がずっとそのキャラの別名で呼んでいたからか、毎日のように会っていたのに1ミリも懐かれなかった。ごめんね。
行ったこともないくらい坂を登ってみたり、入りくんだ路地を取り留めもなく歩いてみたり。ここが同級生の誰々の家だよ~とか、お互いが知ってる小学校時代の先生の家だよ~とか。なんだかずっとヘラヘラしながら2人と1匹でさまよっていた。
今思えば2人とも不安だったのかもしれない。受ける高校はレベルで言えばなんてことないところで、私も友達も家からの近さだけで考えてそこにした。(アホでしょ、まあもちろん現実的な理由もあるけど、2人とも通学時間をかなり重要視しました)最後のあがきとして勉強するのももはや怖い。この後別れて1人と1人になったら、その不安を1人ずつで持たなきゃいけないのが怖い。どちらも口には出さないけれどなんとなく通じあって、理由を犬に押し付けながら陽だまりの中を無駄にハイテンションで歩き続けたあの日。
結局、犬がさすがに帰りたそうにしててやっと帰った。犬もびっくりだったと思いますよ、こいつら放っておいたらいつまでも歩き続けるんじゃね?って。
受験は2人とも志望校に合格して晴れてJKになりました。中2から高2まで4年間同じクラスで、クソみたいに気分屋な私を見捨てずにいてくれたいい子でした。そろそろ会いたいな。元気かな。
ここでもしょうもな余談を入れます。受験の前夜、夜ご飯を食べ終えた私に母が言ったのは、「一緒に(母の)推しのYouTuber見ようよ!」でした。この親にしてこの子ありとはまさにこのこと!怖!
ちなみに1本だけ見ました。


さあて、noteってこんなに長々書いたらみんな読んでくれないらしいですね。そりゃそうだ、こんな駄文を展開され続けても困りますよね。
私が最後に言いたいことは、剣道をすると頭の形、マジで変わるよということです。剣道を始めるまではキレ~イな頭頂部の持ち主だった私が、ちょっと平らに変形しました。悲しかった。みーてーるーだーけーの方がいいものってやっぱりあるんだなと学びました。実際にすると、絶対子供にはすすめねえと誓ったので。(やりたいと言われたら要検討 子供いないけど!)


何の話?そうそう、何があっても地元に帰りたくない私が、ちょっとだけ景色見に行きたくなったってだけ、それだけ。
”髪の毛の色が変わった あの子を見るのが なんとなく少し嫌だった それだけ。”

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