見出し画像

音色、ひかる レポート 2023.10.22

演劇ユニット『赤キノコ山と蒸したお酢』主催
2023年10月22日に開催された
オガワジョージ × 石田ユキコラボパフォーマンス企画
「音色、ひかる」レポートになります。


【概要】

意外と、社会と表現は近いところにある。
銀座を行きかう人のなかに、俳優もピアニストもいる。
誰かが表現できないことを代わりに表現する仕事。
色んな想いを込めて、人生のうちのほんの1時間、
MCなしで歌い抜きます。

日時:2023年10月22日(日)
場所:月光荘サロン月のはなれ
内容:歌唱、ピアノ演奏
料金:1,500円(ワンドリンク・軽食)+投げ銭制
定員:20名
主催:演劇ユニット『赤キノコ山と蒸したお酢』
協力:一般社団社団法人銀座舞台芸術祭、創作広場「けい」、
   月光荘サロン月のはなれ、kinon
企画・制作:演劇ユニット『赤キノコ山と蒸したお酢』


【DM】


表面。


裏面。


SNS宣伝用1.


SNS宣伝用2.



【当日パンフレット】



【スタッフ、協力】

協力:一般社団社団法人銀座舞台芸術祭
   創作広場「けい」
   月光荘サロン月のはなれ

撮影:kinon


以下、イベントについてまとめていきます。






コラボ開始、制作打ち合わせ

僕が月光荘サロン「月のはなれ」に入社したのは2023年2月のこと。
1月に銀座舞台芸術祭のための会場下見をしたのがきっかけでした。
「月のはなれ」は僕が将来やりたいことに近いことをしていると感じ、
学ぶために正社員として働き始めました。


2023年12月で10周年を迎えた銀座のカフェ&バー。
毎日生演奏を行い、2週間ごとに変わる壁面展示も。
食×音楽×美術の空間。


僕の制作スタイルはその土地や関わる人”ならでは”のパフォーマンスをすること。このお店”ならでは”のことはなんだろうと考えていました。
何となく1月当初にあったイメージにあったのは…

1.カフェバーの場所性を取り入れたお芝居。
2.お店で毎日行っている生演奏のような弾き語り。
3.お店で飾っている美術展示のようなドローイング。

の3つでした。


店内でBGMのように演奏し、空間を彩っています。
壁面にはフランス・パリの写真展示。


どれも構想がかたまらず悩んでいたところに、
「月のはなれ」で演奏するピアニストの石田ユキさんと出会いました。

4月頃に初めて演奏を聴き、
5月にもう一度聴いてコラボのオファーをしました。
僕は歌をうたい、伴奏をお願いするという2番目の案にかたまりました。


月のはなれのキーボード。
ユキさんの演奏はクラシックから現代曲まで幅広くカバーしつつ、
繊細なタッチで空間に音を満たすようです。


7月3日に初打合せ。
それぞれの活動についてや今後の稽古スケジュール、
ざっくりとどんなパフォーマンスを目指すかのすり合わせをしました。
ユキさんはご自身のyoutubeチャンネルをもっていて、
数多くのカバー曲、オリジナル曲を投稿しています。



打合せによって、
僕が作詞・ユキさんが作曲のオリジナル曲を1曲つくることが決まり、

・演奏のときに大切にしていることの共有
・どんな曲に惹かれるか
・どんなときに曲を制作するか

をお話しました。

「内省的な、自分と向き合う音楽、自分のためにつくった曲に惹かれる」
「自分が音楽を聴いて感動した経験、同じ気持ちを伝えたい」

という言葉がとても印象的でした。

「音色、ひかる」というタイトルもここで決まりました。

個人的に、
頑張って一生懸命前に進んでいる、
誰かや何かを想っている瞬間の人がいて、
その人が周りと互いに影響し合っている空間は輝いて見える
気がします。
その中心になる人を演じながら歌えたら、
曲に込められた想いを表現できたら、

というようなイメージでユキさんにタイトルを提案しました。

お互いのスケジュールの都合で月曜日のお昼しか稽古ができない状況になりつつ、制作期間に入りました。


「魂で歌っているようだ」と
ビョークさんをオススメしてもらいました。
他にもさまざまなアーティストを紹介してもらい、
とても参考になりました。



制作期間

8月21日、初回稽古。
「音色、ひかる」というタイトルから、具体的にどんなパフォーマンスをするかを深めていきました。
先述のイメージから人や空間が”光る”ように見えるためには、
自身が発して周りに広げていく”音色”の部分が大切な気がしました。

二人で”歌声やピアノの旋律”をお客様にどう届けるか考えました。
最終的に「ひとつの物語を想定」してみて、
銀座の土地性を絡められたらより良いとなりました。


9月4日、稽古2日目。
”音色”になる物語を想定するために、
今度は”光る”の部分をイメージする時間をつくりました。

「明るいことだけじゃなくて汚い・暗いものもないまぜになってるのがキラキラに感じる」
「光に生まれながら憧れている」
「自分が輝いているという感覚がなく、追いかけるイメージ」
「人間味がイヤな時期がある」
「憧れの人が多い。そういった人たちに近づきたいしなりたいけどなれない」
「”ありのまま”だったら変わらずイヤな部分が残る。変えなきゃってなる」

という言葉が出てきました。

「自分らしさに葛藤しながら、誰かに憧れを抱く」
ような物語を形づくり、
自身が発することができれば、
周りと影響しあう空間をつくれる気がしました。
オリジナル楽曲制作の参考になりました。


9月18日、稽古3回目。
パフォーマンスの大枠がかたまりました。

テーマは「誰かが表現できないことを代わりに表現する」
内容は「内面を表現する曲を演じるように歌う」

となりました。
選曲もかたまり、稽古とオリジナル楽曲の制作に入ります。
作詞の方向性がかたまったのは、
銀座の土地性や「月のはなれ」の場所性に気づいてからでした。

僕が6ヶ月働いて感じた銀座の土地性は、
”大人の社交場であり、人の才能や人生がひしめく社会的な土地”
というイメージです。

しかし「月のはなれ」は銀座の土地性とは関係なく、
”音楽や美術や飲食によって内面が見えるプライベートな場所”
としてあると感じます。

パフォーマンスでは、
「月のはなれ」で働いている社会的な姿と、
俳優としてステージにいる内面的な姿を同時に見せたいと思いました。

プライベートな「月のはなれ」の空間に近づけるため、
座席を舞台仕様に整えずに、
いつもと変わらない営業形式でお迎えすることも決めました。


ここでの気づきが当日パンフレットのテキストにつながりました。



9月26日、オリジナル曲の作詞が完成。


10月9日~10月21日。稽古4日~6日目。
残り2週間となり、作曲の打合せとカバー曲の稽古をしました。
ユキさんに拍数やメロディーを調整してもらいながら、
本番前に完成。リハーサルを重ねます。


パフォーマンス

入口から入ると手前にオープンなテラス席、
奥側に店内席があります。
ジャズの店内BGMが流れており、気候も程よく青空が広がっていました。

客席にご案内してご挨拶も適度に行いながら、
流れているBGMのボリュームをしぼっていきます。
開演5分前、ユキさんのソロピアノ演奏が始まりました。

しばらくして合計9曲を歌いました。

Op.Another reflection
1.時には昔の話を
2.君は天然色
3.ひこうき雲
4.The Rose
5.悲しみのラッキースター
6.Take On Me
7.夢のなかへ
8.glass
9.サヨナラCOLOR
Ed.Reflection eternal

ジャズ、ポップス、バラードを交互に入れ込むような構成にしました。


お客様に歌詞カードを配布しました。
英語の曲は和訳をしました。


パフォーマンス中。


パフォーマンスが終了したあとに
歓談する時間をもうけました。


簡単な選曲理由

・時には昔の話を、ひこうき雲、Take on me、サヨナラCOLOR
1月の構想段階でもし歌うとしたら歌いたいと考えていたお気に入りの曲。
情景描写や、気持ちを込めやすい余白のある歌詞が好きです。
Take on meは原曲のポップな感じではなく、バラードアレンジに寄せました。

・The Rose
月のはなれでも多く歌われる曲。
元々歌ってみたかった曲でもあったのでこの機会にと選曲。
詩的で温かみのある歌詞を「目の前の相手を励ます」ように歌いました。

・悲しみのラッキースター
ユキさん選曲。
掛け合いがある曲を歌えたら面白いのではと提案してくださいました。
細野晴臣さんと青葉市子さんの掛け合いを参考にしました。

・夢のなかへ
ユキさん選曲。
お気に入りの曲だそうで、ユキさんの解釈を参考に歌いました。
どんな背景があって曲をつくり、歌詞を書いたかに想いを馳せました。

・君は天然色
曲順を考えるとき、比較的アップテンポな有名曲を前半に入れたいと選曲。
ノリもありつつ描写のある歌詞。
歌うのは初めてだったので一番多く自主稽古しました。



感想、来場者アンケート

今後の企画の進め方・パフォーマンス向上のために、お客様の情報をデータにしてまとめてみようと思います。


感想

「今日何しようかな~とぼんやりしていたけど、ふらっと来て、とてもいやされました。最近は仕事とか日常のことが心を占めていたけど、こんなやわらかな時間もそういえばあったなぁ~と思い出しました。何より久しぶりに友人に会えてとてもhappy~♪ ありがとうございました」

「秘密基地のようなお店でドキドキしたけど、いつもどおりのゆる~い雰囲気でなんだか安心。笑 やさしい声、音、にとても癒されました。選曲もすてき! 正直ちょっと泣きそうでした。よくって。日常の中に表現があるって言葉が体現されていて、いいなぁ~、としみじみ思う空間でした。声をかけてくれてありがとう! 本当におつかれさまでした。オリジナル曲もすてきだった」

「オガワジョージさんと石田ユキさんのコラボは見る(観る、聴く)しかないでしょう! 演技ではなく『歌』というところも挑戦を感じて。しいて言えば、少し間にコメントがあったらうれしかったです。選曲のことなど」

「声に透明感があってよかった。オリジナルの曲(glass)が良かった。あと最初と最後の曲、普段目を逸らしているものを突きつけられた気がした」

「Liveの作り方が、新鮮に感じた。お店の空間、Liveの始まり方、MC無し、ジョージさんがエプロン着けたまま歌うことなど、こういうやり方もあるんだと驚きながら楽しく拝聴しました。始まる前のピアノと、作詞作曲された曲とが、月光荘の雰囲気にマッチしているから余計に、スッとダイレクトに胸の中に入ってきて心地よかったです」

「素敵な空間にまったりした音楽が心地よかったです」

「とても素敵な時間でした。優しい歌声、音色にいやされました。曲も知っているものが多く、楽しませていただきました。お食事もスパイスが効いていておいしかったです! ありがとうございました」

「とっても良かったです!」

「心がふるえた。ただ歌っているだけでない。ジョージ君の身体表現を歌にしたのだと思った」

「休日の昼をゆうがにすごすことができました。とても気持ちよく聞かせて頂きました」

「午前中と透明感あるピアノの音、ジョージ君の歌声と青い空がぴったりでした! 銀座についたらパレードやってて、吹奏楽が迎えてくれました。よい時間でした」


アンケート結果

動員
16名(うち1名欠席)
アンケート回答者数 12名

年齢層
10代  0名
20代  7名
30代  0名
40代  1名
50代  4名
60代~ 0名

お住いの地域
東京都 7名
神奈川 2名
埼玉  1名
島根  1名
未回答 1名

オガワジョージ主催企画の参加は…
初めて参加する   9名
何度か参加している 3名

どうして参加しようと思ったか
「面白そうだなとピンときたから。ジョージくんの表現を見たいなと思って!」
「月のはなれさんによく飲みに来ているので」
「ナイスなタイミングだったので」
「おさそいいただいたので…!」
「銀座『月のはなれ』に昔ふらっとcafeに来た事があり。企画にひかれて」
「どういう風に歌うのか聴いてみたいと思ったから」
「ジョーさんがステージにどのように立たれるのか見たかったので」
「ジョージさんの表現する世界を体感してみたかったから」
「家族に誘われたので」
「1度、知り合いを介して会いました。ただの直感ですが、合うかものなと思ったので、もう少し彼のことを知ってみたくなったので参加させて頂きました」
「月のはなれ」

「劇場以外で行う演劇・パフォーマンス」を観るのは…
・演劇自体が初めて/久しぶり 5名
・劇場以外では初めて     2名
・何度か観ている       5名

次回のイベントに
参加したい     10名
参加したくない   0名
どちらとも言えない 2名


オガワジョージ主催企画に初めて参加して…
演劇自体を初めて/久しぶりに観る 4名
劇場以外では初めて観る      2名

オガワジョージ主催企画に何度か参加して…
演劇自体を初めて/久しぶりに観る  1名
劇場以外では初めて観る       0名

「月のはなれ」がきっかけでいらした方と、
僕やユキさんがきっかけでいらした方と、
お客様が分かれている印象でした。
それぞれのきっかけでいらした方々が「同じ空間にいる」ことで開かれている感覚がしました。
「演劇自体を初めて/久しぶりに観る」方や「劇場以外では初めて観る」方がいたこともとても嬉しかったです。



まとめ

学生の頃の文化祭で歌をうたっていたのですが、
しっかりパフォーマンスとして歌ったのは初めてでした。

「歌をうたう」という選択ができたのも、
月のはなれや石田ユキさんとの出会いがあったからこそです。

自分一人ではたどり着けないところに、
今回もたどり着けたように感じます。

さまざまなきっかけでいらしたお客様が同じ空間にいる。
まさに創作広場「けい」で目指す、色んな分野のクリエイターや表現になじみのある人/ない人が集まる場のようでした。

また前回の「行きかう記憶」同様、そのときの自分たちの状況を少しでもパフォーマンスに反映させられたのではないかと感じています。
オリジナル楽曲「glass」は僕自身を受け入れる大切な一曲となりました。
素敵な作曲をしてくださったユキさんには感謝が尽きません。

ご来場くださった皆様、ご協力いただいた関係者の皆さん、気にかけてくださった方々、何より石田ユキさん、本当にありがとうございました!!



リンク集


月のはなれHP

銀座舞台芸術祭

kinon_illustration

石田ユキ


いただいたものはすべて創作活動にあて、全国各地を回って作品をつくったり、地域に向けた演劇活動の資金にします。「たった一人でもいいから、人生を動かす」活動をより大きく、豊かに頑張ります。恩返しはいつになるか分かりませんが、必ず、させてください。よろしくお願いします。