ファッションデザイン パリ留学科
人の感情を揺さぶる作品って、なんでしょうか。
2001年、横浜トリエンナーレに行ったときのことを思い出します。そこには大小さまざまな作品が展示されていて、ビルに抱きついているバッタや、弾痕の空いた実物大の貨物列車など、多くのインスタレーションがありました。草間彌生さん、オノ・ヨーコさん、会田誠さんといった有名なアーティストの作品も並んでいましたが、正直、どう見たらいいのか、わからないものが多かったです。
そんな中で、僕の心を鷲掴みにした作品が一つありました。エレベーターの脇にひっそりと置かれた小さなミニチュアエレベーター(高さ10cmくらい)。「チン!」と音が鳴ると、本物のエレベーターと同じように扉が開閉し、今いる階を示す電飾も点灯する。マウリツィオ・カテランさんの作品「UNTITLED」でした。その瞬間、「うわあ、なんだこれ!すごい!」と感動したんです。
それ以来、僕は難解な作品よりも、日常にあるものに少し視点を変えたアート、クスッと笑えるような作品が好きなんだな、と気づきました。
ちょっと前置きが長くなりましたが、どうも円狐(まるこ)です。
最近、サードマンゆうメイトおじさんの影響を受けて、服飾デザインに挑戦してみました。実は僕、昔からファッションが好きだったんです。それで、1カ月だけ服飾専門学校の体験入学に通い、スカートやキャミソールを作るためにデザイン画を描いたり、型紙を作ったりしました。でも、周りの学生たちがスムーズに作業を進める中、僕は全くついていけず、まるで落ちこぼれでした。
作ったスカートは不恰好で、キャミソールは斜めに歪んでしまい、試着してみたら途中で破ける始末。自分の限界を感じた瞬間でした。学生に戻る財力もなく、パリ留学なんて夢のまた夢…。フランス語すら話せませんしね。やっぱり、僕はいつも試してから現実に気づくんです。
その後、デザイン制作会社に応募してみるものの、30社以上落ち続けました。筆記テストは集中力がなく、実技テストも壊滅的。履歴書と証明写真代にいくら費やしたかわかりません。でも、奇跡的に一社だけ僕の作品を見てくれた会社があり、アルバイトとして雇ってもらえることに。そこで初めてAdobe IllustratorやPhotoshopを学びました。それまで、名刺をどうやって作ったのか不思議に思うくらい、ソフトの使い方を知らなかったんです。
さて、相変わらず話の進みが遅くて、また別の時系列に飛びそうだな、と思われましたか? 実は、この文章、あなたに話しかけてるんですよ! いつの間にか、また円狐につままれている! とお嘆きのあなた。
そうですよね。では、また次回にお会いしましょう。
円狐(まるこ)