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【PMP×野球】#9:調達マネジメント

「プロジェクトマネジメント」×「野球」

世の中には様々な”やるべき事”が溢れている。そのやるべき事を然るべき準備や手順(プロセス)で進めていく手法に”プロジェクトマネジメント”という概念がある。

あらゆる仕事に転用できるベースとなる概念・考え方だが、なんせとっつきにくくて分かりにくい。参考書を読んでもイメージもつきにくいし、頭に入ってこない。

そこでこのプロジェクトマネジメントを自分の大好きな”野球”というフィルターを通し、野球とのアナロジーを見い出しながら”プロジェクトマネジメント”を分解していく。野球というスポーツも、各自がそれぞれの準備や役割を正しく行う事で”試合に勝つ”というプロジェクトを遂行していると捉え置き換えれば少しは頭に入りやすいし、知識として定着するはずである。

苦手な食べ物を好きな食べ物と一緒に食べるように…
難解な用語を身近なものに置き換えることで覚えるように…

#9.調達マネジメント

<計画プロセス群>
9.1:調達マネジメントの計画

<実行プロセス群>

9.2:調達の実行

<監視・コントロールプロセス群>
9.3:調達のコントロール

調達マネジメントは「作業の実行に必要なプロダクト、サービス、所産をプロジェクト・チーム外部より購入または取得するプロセス」と定義される。

平たくいえば”自分たちに足りないものを外部から補充してくる”ためのプロセスである。これは野球的な視点で切り取ると草野球でメンバーが足りない場合によくあてがわれがちである「ライト(RightFileder)」という存在にアナロジーを見出すことができる。

我らが日本人が世界に誇るスーパースター・イチローが出現するまでは、”ライパチ(ライトで打順は8番)”と呼ばれ、スタメンオーダーも中で最も替えが効きやすい存在であったライト。

プロジェクトマネジメントの学習的にいえばこの”外から調達する(=週末だけ駆り出される)”というニュアンスにおいてライトの右に出るポジションはないと確信している。

9.1:調達マネジメントの計画【計画プロセス】

プロジェクト調達の意思決定を文書化して、取り組み方を明確にし、納入候補を特定するプロセス。物品及びサービスは母体組織の他部門や組織外部から調達されるが、調達に関連する役割と責任の規定は調達マネジメントの計画初期段階で行われる。

また、調達マネジメント計画書の作成においては「内外製分析」と併せて以下の他マネジメント領域のプロセスと統合して行う必要がある。
「3.5:スケジュールの作成(スケジュールマネジメント)」
「6.2:アクティビティ資源の見積もり(資源マネジメント)」

契約タイプについて
資源調達を実行するにあたり納入業者に対して契約を締結する必要がある。その契約タイプには複数あり、リスク負担の担い手も契約タイプごとに異なるために注意が必要。

◎定額契約:リスク負担は「売り手
定義されたプロダクト、サービス、もしくは所産に一定の総額を定める契約。要求事項がよく定義されていて、スコープに著しい変更が予測されない場合に使用される契約タイプ。一括請負契約であり、成果物の完成責任がある。

◎コストプラス定額フィー
:リスク負担は「買い手
引き受けた作業にかかった許容される全コストの償還
・プロジェクト当初コスト見積もりに一定比率をかけた定額フィー
を受け取る
ことが可能。

◎コストプラスインセンティブフィー
:リスク負担は「買い手&売り手
引き受けた作業にかかった許容される全コストの償還
・パフォーマンス目標を達成した場合のインセンティブフィー(事前FIX)
を受け取る
ことが可能。最終コストが当初見積もりより上下した場合は双方が事前に決めた分配方式に応じて差額を負担・調整する。

◎タイム&マテリアル契約:リスク負担は「買い手
実費償還と定額契約の両方の側面を複合させた契約タイプ。実際の作業でかかった費用を買い手が支払う。正確な作業範囲記述書を短期間でまとめることが難しい時の「要因補強」や「専門家の調達」「外部からの支援」にこの手法をとる場合が多い。

例えば、駆り出された草野球で「来週以降もずっときてくれるよな?(=定額契約)」という要求を呑んでしまうと以降はチームに所属し、勝利という”成果物”への完成責任の一翼を担うことになるという意味で連れ出された方(=売り手)のリスク負担が大きくなる。

一方、「今週は助かったよ!ありがとう!」で終われば、実費償還契約である”コストプラス定額フィー”や”タイム&マテリアル契約”となり、今週だけという期間に限定されることになり連れ出された側(=売り手)のリスクは少なくなる。

<9.1:調達マネジメントの計画(主なアウトプット)>

◎調達マネジメント計画書
国際/国内競争入札、地域入札などが行われるべきかどうかを文書化したもの。外部からの資源調達の場合には資金調達の源と利用可能性をプロジェクト・スケジュールに整合させる必要がある。

◎調達戦略
内外製分析が完了し、外部調達が決定した後に定められる。プロジェクト達成方法、法的拘束力のある合意のタイプ、調達フェーズを通して調達がどのように進められるべきかを定めることが目的となる。

◎入札文書
納入候補からプロポーザル(提案)を募集するために用いる文書類のこと。
”価格”基準で資源購入を考慮:応札、入札、見積り
”価格以外”の基準技術力や技術的な取組みを考慮:プロポーザル
何を基準に資源獲得するかによって呼び方が異なる。具体的な調達文書には情報提供依頼書、見積依頼書、提案依頼書(RFP)などがある。

◎調達作業範囲記述書
スコープ・ベースライン(スコープ記述書/WBS/WBS辞書)に基づいて作成され、当該契約に含めるスコープの部分だけを定義し、納入候補者が成果物を供給する能力があるかどうかを判断できるように調達項目に関わる事項を詳細に文書化したもの。

◎発注先選定基準
納入者が購入側組織のニーズをどの程度よく満たしているかに関する数値スコア、カラーコード、または記述で表され、全ての提案を加重評価スコアでランク付けして交渉順序を確立するための重み付け体系の一部。

◎内外製決定
特定の作業をプロジェクト・チーム内で達成するか外部業者から購入するのかを決定する。

◎独自コスト見積もり
納入者から提示された回答のベンチマークとして使うために調達組織が独自見積もりを作成したり、外部見積もり専門業者にコスト見積もりを作成させたりする。

計画プロセス群のアウトプット(全部で9つ)を見渡してみても、プロジェクト成功のために外部の力を調達するには多くの”準備”が必要になることがわかる。

これはプロ野球シーズン中に自軍選手の不調や故障により低下した戦力をなるべくタイムラグ無く補充するために”外国人選手を調達してくる”時の編成部の準備にアナロジーを感じるし、そこをイメージすると理解が進む。

9.2:調達の実行【実行プロセス】

納入候補から回答を得て、納入者を選定し、契約を締結するプロセス。

<9.2:調達の実行(主なアウトプット)>

◎選定済み納入者
プロポーザルや入札評価の結果に基づいて、競争力があると判断された候補者のこと。複雑で高額かつリスクが高い調達の最終承認は納入者決定に先立ち経営側の承認が必要。

◎合意書
契約とは、納入者には特定のプロダクト、サービス、あるいは所産の提供を義務付け、購入者には納入者に支払義務を負わせる相互に拘束力を持つ合意のこと。これを文書化して正式に取り交わしたものを合意書とする。

9.3:調達のコントロール【監視・コントロールプロセス】

調達先との関係をマネジメントし、契約上のパフォーマンスを監視し、適切な変更と是正を行さらに契約を集結するプロセス。

<9.3:調達のコントロール(主なアウトプット)>

◎終結済み調達
購入者は権限を持つ調達管理者を介して、契約が完了したことを正式書面により納入者へ通知して終結させる。すべての成果物は期限通りに納入され、技術的要求事項と品質要求事項を満たしており未解決クレームや未払い請求書のなくすべての最終支払いが済んでいる必要がある。

◎作業パフォーマンス情報
受領した成果物、達成された技術的パフォーマンス、実コストと受諾コストを実施された作業の調達作業範囲記述書における予算と比較することにより納入者がどう実施しているかに関する情報を報告する。

◎変更要求
要求されているものの未解決の変更には、購入者からの指示や納入者がとった行動で相手側が契約についての解釈上の変更とみなすものがある。但しその場合、双方でその解釈や認識に齟齬がないのかを合意しておく必要がある。

”調達マネジメント的”プレイヤー

調達マネジメント領域を勉強してきたが、印象的なキーワードは”外部調達”だ。プロ野球において外部調達といえば、助っ人外国人選手の存在である。

チームが”試合で勝利を収める”というプロジェクトにおいて現有戦力だけでは力不足の場合も多くその場合、助っ人外国人選手を【外部調達】して既存戦力の底上げや穴埋めという活用をする。

近年印象的な”外部調達”の事例としてはレオニス・マーティン(千葉ロッテマリーンズ)である。メジャーリーグでバリバリ活躍していた高い攻撃力と守備力は、優勝に必要な穴を埋めるには最適な”ピース”となった。

レオニス・マーティン(千葉ロッテマリーンズ)



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