備忘録:心と体の関わり――心因の身体症状、体の病気の精神症状

精神解剖生理学基礎テキスト第3章 解剖生理学は適当に器官を分類してそれに属する器官について説明する形式になっている。そして、そこの器官にまつわる心身症などの記述も書かれている。この心身症などの記述についてここに簡単にまとめておく。

チック症

・ストレス因で催すことがある。
・素早い不随意運動の繰り返し

口腔神経症

・ストレスや人間関係による。
・舌痛症、不定痛、口腔乾燥症、顎関節症
・外見上問題なく、様々な歯科的治療を行っても改善しないときに疑う。

食道神経症

・心身症的な背景因子を有す。
・喉の奥に違和感がある(ヒステリー球)。
・検査しても異常無く、胃食道逆流症や虚血性心疾患、骨格筋に伴う胸痛でもないときに疑う。

胃潰瘍

・ストレスなどで胃粘膜が弱る。
・潰瘍=皮膚や粘膜がただれたり崩れ落ちること。
・胃の出口付近にできると胃酸分泌が亢進される。

十二指腸潰瘍

・ストレスなどによる
・胃酸を含んだ食物が中和されずに小腸に到達
・酸性の食物により潰瘍が形成される。

肛門神経症

・自分の臀部を異常に気にする。
・肛門科の受診が望ましい。

過敏性腸症候群

・ストレスによる
・不安定型、慢性下痢型、分泌型、ガス型
・小腸にも関係しているかもしれない

分類
不安定型……下痢と便秘が複数日間隔で交互に出現
慢性下痢型……少しのストレスでも下痢をする
分泌型……腹痛→粘液排泄
ガス型……お腹にガスがたまる

肝性脳症

肝機能不全のほか、門脈内の血液が肝臓の処理を受けることなく大循環系に流入してしまう門脈体循環シャントや、尿素経路で適切な代謝が行われなくなり血中のアンモニア濃度も高くなる尿素サイクル酵素欠損症などで起こる。

症状は以下の五段階にわかれている。
レベル1: 昼夜逆転・幸福感など
レベル2: 記憶障害・眠気・異常行動、ときに羽ばたき振戦
レベル3: 興奮・強い睡眠・他人の言葉に従えない
レベル4: 痛みには反応する昏睡
レベル5: 痛みに反応しない昏睡

胆道ジスキネジー

・自律神経機能やホルモンの分泌異常による
・胆汁の流れが悪くなる。
・右上腹部痛、発熱など胆石症のような症状
・腫瘍や炎症、結石が確認されない。

神経循環無力症(≒心臓神経症)

・精神的原因
・胸痛、動悸、頻脈、徐脈、心悸亢進、呼吸困難、疲労感など
・器質変化は無い
・心臓神経症は心臓病不安がベースになっていることでパニック症とは区別される。

ICD-10:身体表現性自律神経機能不全の心臓及び心血管系の障害
5つの型にわけられる。
1. 不安神経症型
2. 心気症型
3. 強迫神経症型
4. ヒステリー型
5. 抑うつ神経症型

白衣高血圧

・不安、緊張、苛立ちなどを感じやすい人がなりやすい。
・病院のストレスで条件付けされた高血圧

咽喉頭異常感

・風邪でのどが痛くなるあたり(食道ではない)の違和感
・耳鼻咽喉科の検査を受けても異常が無いもの。

原因
・呼吸器の炎症または過敏症
・甲状腺疾患
・頸椎の変形
・内分泌系や自律神経の障害
・嚥下障害
・仮面うつ、神経症、がん不安など

過換気症候群

・不安、恐怖、疼痛などのきっかけ
・過剰換気でCO2が呼気に多く排泄され血液がアルカリ性に傾く(呼吸性アルカローシス)。
・急に息が苦しくなり、様々な症状が出現する。

過敏性膀胱(心因性膀胱)

・精神的なダメージによる
・尿量の少ない頻尿
・排尿痛や尿路感染はなく検査のうえで正常
・~数週間でよくなることが多い。
・小学生の低学年の頃によくみられる。

月経前緊張症

レニン-アンジオテンシン系、セロトニン、卵巣ステロイドホルモンの異常によるものかもしれない。月経前に周期的に疼痛・身体症状・精神症状が出現する。(出現のパターンは多彩である。)

心因性視覚障害

・眼鏡をつかってもよくならない
・視力に変動がある(習い事の時間になると目がかすむなど)
・目や脳に異常はない
・小学校高学年の女子に多い

メニエール病

・過労やストレスも一因かもしれない。
・回転性めまいと難聴、耳鳴りが同時に起こり、同時に軽くなる。
・数十分~数時間、持続する。

味覚障害

・心因性
・亜鉛不足

アトピー性皮膚炎

有名なアレルギー性疾患である。精神的ストレスで誘発されることもあるし、治りが遅くなることもある。

致死性家族性不眠症

・変異プリオンたんぱく質遺伝子をもつ家系に症状が出現(日本人には稀、イタリア系に多く見られる。)
・高体温、発汗、頻脈などで発症
・記憶力低下、不眠症、夜間興奮
・中枢神経の変性→不随意運動、認知症
・発症から一年以内に昏睡に至ることが多い。


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