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元相方がプロレスのレフェリーデビューしたから見に行った。

本日、菊池レフェリーがデビューします。

四方向に丁寧にお辞儀をし、上下黒の衣装で少し緊張しているような面持ちのレフェリー。僕にはワクワクしているようにも見えた。

菊池伴実。男の名前では聴いたことのない、
ともみという名前。

この男と僕は約2年前にお笑いコンビを組んでいた。

コンビ名はあかね。

二人とも根明であると言うことからつけたということにしているが、本当は適当につけた。

約3年ほどコンビをしていたが、ネット番組に一度出たくらいで鳴かず飛ばずだった。

それなりにお客さんはいたし、二人で楽しくやっていた。

ただ楽しいだけではだめだったし、2人ともさぼりグセがあった。

M-1でも一回戦で敗退し、吉本のランキングシステムからも2ランク落ちて、口にはしないもののメンタル的にはかなり落ちていた。

コンビ解散

他にも要因はあったが結果がついてこず、楽観的な僕らでも、終わりは見えていた。

僕から、解散する?というと、

お笑いでの結果が、自分の心を動かさなくなった。ということ、ともみにいわれた。




話は4年ほど前に遡る。


みんなにゴンちゃんと組んだ方がいいって言われるんだよね〜


まるで小学生の男の子が告白をするかのように、

一瞬戸惑ったがコンビを組みたいということだと理解し、コンビを組んだ。

今までネタを考えたことのなかった、二人が組むことが不安だったが、そこに二人で取り組むことにした。

前のコンビのネタを知っていたし、仲も良かったのでともみがどんなボケをするかはわかっていた。

コンビを組みネタ合わせをしていても、一度説明するとほぼできるようになるともみは凄かったし

動きのキレ、コミカルな動作、飛び抜けて明るい性格が僕はとても好きだった。

一度ある先輩に、言われたことがある。

みんな、ともみみたいな明るいボケ、ポジティブな芸風に憧れるんだよな。普通そうなれないんだけどな。

本当にそうだと思った。昔僕もこんなに無邪気で明るかったなぁ。そう思えるようなやつだった。

誰もが思うTHE芸人

そんな奴が辞めると言ったら止める事はできなかった。

その時からプロレスが好きで、その仕事を今後したい。

そんなことを言って去年あたりにプロレス団体に就職したことを聞いた。

そしてデビュー戦を見にきてほしいということを言われた。



試合が始まった。

試合はタッグマッチで、男が4人それにプラスレフェリー。


もちろん僕は、戦っている男4人ではなく、そのプラスに注目してしまった。

やはり、動きはキレがあり他のレフェリーと比べるのはナンセンスだとは思うが一味違うなと贔屓目で思ってしまった。


この前まで、僕の横で披露していたそれ。今はリングの中で中心としてではなくプラスで表現をしている。

もったいないなと少し思いながらも、表情にでるワクワク感。

それは僕と漫才している時と同じだった。

いや、それより輝いていたのかもしれない。


前日にともみから電話が来た。

初レフェリー、緊張する?

と僕が聞くと、

お笑いやってる時の緊張と比べるとほぼないみたいだなぁ〜!人前に出て人を笑わすってすごいことだよ!もうできないなぁ〜!


いや、おれはまだそれをやってるから!なんて思いつつ、こいつは本当にプロレスの試合を楽しみにしているだけなんだなと思った。

それでいい。お前はそれでいい。

どこに行ってもやはりともみはともみだなと思った。


試合10分すぎ。

何度もツーカウントで止める、キレのあるレフェリーの動きの最後に

3カウントのマットを叩いた。


それが僕らの最後であったし始まりであった。

絵も言われぬ気持ちはエモいで、表現できなかった。

新しい環境で頑張るところを見せられてまぁ僕も…


そんなよくある話。












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