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病院の怖い話

中学2年生のときに1週間程入院したことがある。
入院中は何回か採血をした。はっきりと覚えていないがそこそこの頻度だったと思う。

採血は基本的に静脈か動脈かのどちらから取るらしい。動脈から取るときは手首からで静脈から取るときは肘からと相場が決まっているとのこと。
ちなみに動脈(手首)は血を取りやすが痛く、静脈(肘)から取るときは比較的痛くないが血が取りづらいと看護師さんが言っていた。

何度か採血をおこなった翌る日の朝、この日も採血のためにいつもの若い男の看護師さんが来た。
が、その日は加えて若い男の人が2、3人一緒にいた。
話を聞くとこによるとその人たちは研修医とのこと。ドラマとかでよく聞くあの研修医さんかと、当時の僕は思ったと思う(変な日本語だな)

で、その日の採血はその研修医さんがやるとのこと。今考えたら見ず知らずの何処の馬の骨かもわからない若い男に体に針を入れられるなんてと思うが、当時の僕は対して何も思っていなかった。
研修医の若い先生たちも中学生から見たら立派なオトナだし、ちゃんとやってくれるだろうと思っていたのだろう。(タブンネ)

早速血を抜いてもらった。いつもは利き手の反対の左の静脈から血をとっているので、研修医の先生に左の肘に針を刺してもらった。




血が取れませんでした。左肘失敗。

ドンマイドンマイ。オトナだって人間だから失敗することもあるよ。まだ右肘もあるから次こそ成功させよう!失敗は成功の元だ!




右肘からも血が取れませんでした。右肘失敗。

そんな日もあるよ。今日はたまたま疲れたのかもしれない。昨日夜更かししちゃったかな?星座占いが最下位でアンラッキーアイテムが注射器、アンラッキーパーソンが男子中学生だったかもしれない。今日はゆっくり休んでまた明日頑張ろう!




「じゃあ、左手首からいこう」
いつもの看護師から処刑宣告が告げられた。しかも執行人は2ミスのあの研修医。メガネの人の良さそうなあの研修医。
痛いと噂の手首から、あの研修医が血を抜く。しかも失敗したらつぎは反対の手首まで犠牲になる。
僕は恐怖に震えながら左手首に針を刺された。



めちゃくちゃ普通に激痛だった。片方の手首だけでなんとか血が抜けたから助かったものの、本当に痛かった。
もしかしたら大袈裟にいってるかもと思っていたけどそんなことなかった。マジ激痛。よく泣かずに我慢したと思う。偉かったぞ。

その日は合計三箇所に風穴を開けられた。痛すぎて夜まで肩から下を動かすことができなかった。採血をするときの姿勢のままずっと過ごしていた。今まででトップクラスに痛い出来事だったと思う。


先日健康診断で採血検査を受けたことを、注射嫌いの知人に話した時にこの出来事を思い出した。その場でこの話を仕上げて披露したら、とても良い反応をしてくれた。夏場と健康診断の季節になったらこの話をしようと思う。

「僕が体験した病院の怖い話、聞きませんか?」





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