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ラーメン屋で交わされる1000円札とは

先日とある場所に遠出をした。その日行きたかった目的地を訪れ十分に楽しんだのち、駅前にあったラーメン屋でお昼ご飯を食べることにした。

正直、その地域でお昼を食べるとしたら地の魚を使った料理を食べたいところだが(私は魚を食べるのが好きだし、その地域は海に近い場所であった)、その日は色々とあってお店を探す労力はなかった。そんなこともあり、目的地に行く途中で見かけたラーメン屋で食べようと思ったのだ。

そのお店というのはどうやら地域で展開しているラーメン屋らしく、なるほど初めて見るお店ではあった。適当に決めたお店ではあったが、見た感じ結構美味しそう。胃の中に入ってしまえば大抵のものは美味しく感じてしまう残念な味覚の持ち主の私でも美味しそうと期待を膨らませるラーメン。

食券製であることに気づかず勝手に席についてしまう恥ずかしい凡ミスを犯したり、ゆず塩味の繊細な感じのメニューを頼んだにも関わらずニンニクをマシマシで注文するなどのトラブルに遭いながらも、なんとか料理が届き食事にありつけることができた。そしてラーメンは美味い。が、今回はラーメンの味はどうでもいいので割愛します。(長々と前振りごめんね)

本日の本題:ラーメン屋で交わされた1000円札

話が変わるが、私はお店の店員さんには比較的寛容な態度で接していると自負している。ちょっとした不手際やミスなど特に気にせず、「お願いします」や「ありがとうございます」をきちんというよう心がけている。(これは普段の生活からそう)
私は大学生の頃にお店でレジ打ちや接客といったバイトをしていた。もちろんお客さんと接する仕事なので、精神誠意きちんと丁寧に行なっていた。
しかし、横柄な客に対してニコニコと頭を下げへりくだるほどの会社への忠誠心や熱意はなかった。そういうことをされたすごく嫌だし、仕事だって全部完璧にこなせるわけではない。
だから、店員さんの気持ちはわかっているはず。だから店員さんに対しては寛容なのだ。

そして私がその日訪れたラーメン屋には2人の店員がいた。1人は大学生くらいの男の子、もう1人は男の子よりは少し年上くらいのこれまた若い女性。2人とも丁寧に接客してくれたし、食券を買わずに席についた私にもきちんと説明してくれた。

そのうち女性の方の店員さんは結構フランクな人だった。常連さんと思われる方に雑談みたいな感じで話しかけていた。「最近うちに来なかったけど、よそのお店に浮気してたんでしょ」的なことを話していた。セリフだけ見たらスナックとかキャバクラとかの会話っぽい。(行ったことないからわかんないけど)
「ラーメン屋でしかもチェーン店なのにこんな感じなんだ。この辺は田舎っぽいからそういう雰囲気なんだな」と私は思った。別にそれくらいはいいだろうし、親しみがあってまた来ようと思うかもしれない。

そんなことを考えながら麺をすすっていると、こんどは僕の背中の方(入口側)から、おっちゃんの声がした。何をいっているかは聞き取りづらかったが、店員さんの返答的にまたパチンコにいってきたのか、今日はなんと勝った的な会話をしていた。
ラーメン食ってる俺の背中を跨いで会話すんなよと思っていたら、おっちゃんが女性の店員さんに「飲み物おごってやるよ」と言い出した。

もしかしたら私が知らないだけで、その女性の店員さんは有名な看板娘だったのかもしれない。働いてると色んな男が差し入れをしてくれる魔性の看板娘だったのだろうか。少なくともラーメン屋のみならず飲食店でそんな場面に出くわしたことは今までで一度もない。

店員さんは「ありがとう」といったのち、僕のテーブルまで近いてきて「すみません」と言ってきた。
何事かと顔を上げると、私の真横で1000円札が交わされた。(ここ!今日のタイトルの回収‼️)
パチンコに勝ったおっちゃんとおそらく看板娘だと推測される店員(断定するとあとで面倒なことになるかもしれないから)による1000円の受け渡しが私の真横で行われた。

正直、今後はこの店には行かないだろうと思う。別に憤慨するほどのことでもないし(エラーと四球が絡んで逆転負けされる方がよっぽど憤慨する)、別にそれが日常かもしれない。が、受け入れきれなかったのも事実。
初めてのことすぎて自分の中で消化しきれなかったのかもしれない。これが田舎の良さと言われたら、私は田舎が好きでないのかもしれない。

美味しいラーメンではあったのは間違いない。でも私も人間だし、美味しいだけで生きてるわけではない。こんなちっぽけなことでもぐだぐだ言ってしまうのもまた人間だから(ほんとうかな?)

「ご馳走様」と言い残して店を出た。エラーが絡んで逆転負けをくらって憤慨するのは約8時間後のことだが、それはまた別の話。



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