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そこにいた。

 はじめましての方もそうではない方もこんにちは。アイトピア通りで”きゅう“という障害福祉施設の所長をしています、北村誠悟と申します。

 先日、震災前の石巻の風景写真展を観に行きました。
 震災前の私は、利府町と仙台市に住んでいた時期が長いです。亡くなった祖母が営んでいた湊の北村商店が、いわゆる「おばあちゃんち」でした。そこに住み始めたのは私が高校2年生のとき。そこから2年間しか住んでいません。その後、石巻を離れてからは、あまり石巻に来ていませんでした。

 写真展には、私が知っているはずの、生まれてから、震災前まで、そこにいたはずの風景の写真が多くありました。しかし、どうも記憶がないのです。写真を見てもピンとこないのです。

 ふるさとを大切にしていないわけではないと思います。しかし、大切にしてきたわけでもありませんでした。言ってしまえば、震災前は何も気にかけていなかったのだと思います。

 今、ここにいて、目に見える景色が、何ヶ月、何年とずっと同じなことはありません。きゅうのあるアイトピア通りも、建物がなくなったり、新しいお店ができたり、日々、ゆるやかに変わっています。

 ふとした瞬間に自分が歩く、足元を見ることがあります。下を向いて歩くのです。いつもと変わらない道があります。そして、周りを見渡してみます。少し、ゆっくりと歩きます。いつもと変わらない風景があります。けど、この道を、風景を覚えていれるなら、覚えておこうと思うのです。そこにいた。という栞を日常に挟むように、何気ない時を忘れないようにしようと思うのです。

2023.11
きゅう所長の雑記 おれのがヤバイ

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