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いつも

 石巻中央アイトピア通りのショップ「珈琲豆と手しごとのモノ kyuu」の外には白い小さな看板があるだけで、ガラス張りの玄関の向こうにはコーヒーや雑貨があるものの、無人です。『なんだか入りにくいなぁ』と思われるかもしれませんが、お気軽に、どうぞお入りください。奥のアトリエからは賑やかな話し声、笑い声が聞こえ、少し待って頂ければ、お客様を迎える明るい声も聞こえてくるはずです。
 ここに揃うモノはすべて、障がいのある人がつくりあげたものです。ショップの奥と2階のアトリエでものづくりをしています。

 日々、障がいや心の病のある人が、ここで過ごし、働いています。元気な時も、そうではない時もあります。
 サポートをするスタッフは、時には明るく、時にはゆっくりと、時には語りかけるように、一人ひとりの様子を丁寧に伺い、歓待するということを忘れずに挨拶をしています。
 相手への『ようこそ』という気持ちは目に見えないですが、不思議と確かに伝わり、拡がっていくようです。皆、それぞれのペースで気持ちの良い挨拶を交わしています。

 挨拶から、一日が始まります。その一日は劇的なものでは決してなく、粛々、淡々と続いていくようなものです。もしかしたら、退屈な時もあるかもしれません。
 でも、私たちは、その日常が愛おしいものであることを知っています。災害にコロナ禍…あたりまえの日常があたりまえではなくなることはいつ、誰でも、あり得ます。でも、どんな立場や状況でも、障がいや病があっても、いつも誰もがあたりまえに生活する権利があるはず。私たちはそれを忘れません。

 新しい年も、何気ない挨拶をいつものように大切に交わしていきながら、かけがえのない日常を大切に過ごしていければと思います。

2022.1

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