生きること。信じること。
「ラーゲリより愛を込めて」
マラソン大会で月曜が振替休日となったため、母と映画を観に行くことになり、真っ先に思い浮かんだのがこの映画だった。
テレビのCMで流れていた予告編を観て興味を持ち、金スマだったかな…それで映画の内容について知り、公開前から観たいとは思っていた。
受験生だし、今映画は無理かなと思っていたところに母が「映画でも観に行く?」と誘ってくれたので心置きなく観に行くことを決意した。
個人的に今まで観てきた映画のTOP3には入るので、記録としても残しておく。
※思っていたより長くなりました
読みにくくて申し訳ない
簡潔に書くのは難しい…
重い背景とストーリー
主に1945年の第二次世界大戦の終戦直前から戦後の話。
主人公は二宮和也さん演じる山本幡男。
妻と4人の子供の6人家族で満州にて暮らしていたが、ソ連が日ソ中立条約を破り、満州へ侵攻。
山本は「必ず日本で落ち会おう。」と妻と約束をして、家族と離れ離れになってしまう。
北川景子さん演じる妻のモジミは、4人の子を連れて日本へと帰国する。
その間、山本たち満州に居た日本人兵はソ連軍により拉致され、シベリアへと抑留されていた。
極寒の地・シベリアで彼らは寒さと飢えに耐えながら、過酷な環境下で労働させられる。
いつダモイ(帰国)の日が来るのか、家族に会うことを心待ちにしながら希望を持って生きる山本たち。
そして、日本でただただ山本の帰国を待ち、希望を持ち続ける家族の様子が代わり替わりに描かれる。
豪華なキャスト陣
※ネタバレをしたつもりはないが、もしかしたらネタバレととれるところがあるかもしれないのでここからご注意を
主演がニノというだけでもう豪華なのだが、この映画は他のキャスト陣も主演級の俳優さんたちである。
まず、山本の妻・モジミを北川景子さん。
そして共にシベリアで山本と時を過ごす兵士たち。
戦争中、山本と同じく一等兵だった
松田研三→松坂桃李さん
山本の同郷の先輩である原幸彦→安田顕さん
かつて軍曹だった相沢光男→桐谷健太さん
足が不自由で日本軍の兵士ではない青年、新谷健男→中島健人さん
誰を主人公にしても物語が作れるほど一人一人に物語があり、家族がいる。
全員の演技に圧倒された。
特に安田顕さんはいつもと違って驚いた。
勝手なイメージかもしれないが、僕は彼をコメディー作品でしか観たことがないため、面白い人という印象しかない。
原のことを喋るとネタバレになりそうなので辞めておく。ただ野球のシーンは良かった…
松坂さんはシンケンレッドとしてしか知らないので、何だか嬉しかった笑
彼の何かが憑依しているようにも見える演技は観る人の心を鷲掴みにしてしまうと思う。
戦時中に友人を亡くし、怯えて戦闘から逃げ、臆病者と言われたことで心に傷をかかえた松田。
劇中の序盤では傍観者のようになっているが、彼の後半からの変化は目覚しいものである。
ケンティー演じる新谷は、山本が「シンちゃん」と呼んで可愛がっていて、みんなからも愛されるムードメーカーのようなキャラだ。
ケンティーはクールなイメージしか無かったが、元気ハツラツな青年が意外にもピッタリとフィットしていた。
足が不自由な人の演技は大変だと思うが、不自然ではない動きをしていて、素直に凄いと思った。
ちなみに僕はこの映画の中で一番シンちゃんが好きです笑
そして、最初はあまり好きになれないかもしれない相沢さん。
元々軍曹だったプライドから他の日本人兵をこき使い、一等兵であった山本・松田を見下し、「一等兵」と呼ぶ、あまり人当たりの良くない男。
目力の強さからだろうか、桐谷さんはこういう役が似合う。
彼の感情を爆発させた時の表情や声は涙を誘った。
僕は最初は相沢が嫌いだったが、終わりに近づくにつれて好きになっていった。
北川さんはモジミがずっと日本にいて、山本はシベリア。役でもほぼ会わない夫のことを想い続けるのは難しかったのではないか。
親として子供の前ではいつも通りに接しようとして居間を飛び出して彼女が泣き崩れるシーンがあるのだが、あそこは号泣必至だろう。
そして何より山本さん。
抑留された日からダモイの日を待ち続け、希望を持ち続けた男。
山本のお陰で何人の人が救われただろうか。
松田も、相沢も、原も。
山本の芯のある優しさに触れて希望を持った。
そんな人を演じられるのはニノしかいないのでは、と思うほどピッタリ。
ドンピシャ。
病に倒れてからの山本は観ていて苦しかったが、それほどニノの演技が凄いということだろう。
希望、そして生きる。
この映画は本当に全世界の人に観て欲しい。
今苦しい人、希望を持てない人、生きる意味を見いだせない人…
誰でも観る価値はあると思う。
受験生である僕にも刺さった。
この映画にはいろんな側面があると思う。
それは人によって感じ方は違うかもしれない。
僕が感じたことは主にこの3点だ。
・戦争の恐怖、生命の尊さ
・希望を持つことの大切さと難しさ
・家族の存在の大きさ
本作の舞台はシベリアの強制収容所(ラーゲリ)なので劇中でロシア人兵はかなりむごいことをしている。
序盤は観ているのがとても苦しかった。
ロシア人兵のみならず、満州建国の際か、捕虜を捉えて相沢が殺すように命令されるシーンなど日本人兵がむごいことをしているところも描かれている。
戦争の重さというのは間違いなく観た後に感じるだろう。
僕の心に残っているのは、山本が病に倒れて家族に会えないかもしれないときに放った言葉だ。
「戦争って酷いもんですよね」
台詞だけ聞くとありきたりに思えるかもしれない。
ただ、あのシーンで山本が言うことであんなにも重みを持つ言葉になるのだ。
文章では伝えられないものとはこういうことなのか。
今調べたのだが、これはニノがこんな台詞を言いたいと加えたものだと知り、鳥肌がたっている。
ニノ、恐るべし。
劇中には「希望」「生きる」という言葉が何度も出てくる。
ここで1つ、皆さんに問いたい。
あなたは最愛の人、家族、友人、恋人などをなくした時に希望を持って生きることができるだろうか。
多くの人が難しいと考えるのではないだろうか。
それでも、彼らは希望を持たなければいけなかった。
生きなければいけなかった。
家族を亡くした経験がある方はより一層、登場人物に感情移入するかもしれない。
結び
気がついたら2000字を超えていた。
読もうと思ってくださった方には申し訳ない。
相変わらず簡潔に要約して文章を作ることが苦手だ。
ただ、この作品の感想に関しては要約は要らないのかもしれない。
それほど、思ったことが多く、受け取ったものが大きかった。
ちなみに、僕が今まで観た映画で一番泣いた。
泣くポイントが多すぎる。
これは友達とワイワイ行くのにはオススメしない笑
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