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JUDYで考える女性のしあわせ。

久しぶりの更新になりました。気付いたら2月一回も更新してなかったんですね...。2月もそれなりにときめき研究していたんですが、更新する間もなく過ぎ去ってしまいました。
世は空前のコロナパニックですが、雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ、こんな時だからこそ ときめき研究していきたいと思います!そう!ときめくことって免疫力向上に効果あるらしく(ほんとに)。自分の好きなものにどっぷりつかりながら、ウイルスを撃退しましょう!そうしましょう!

そんなわけで、見てきましたこの映画。「JUDY 虹の彼方へ」。
アカデミー賞主演女優賞をレニー・ゼルウィガーが獲ったことでも話題になりました。「オズの魔法使い」のドロシー役で一斉を風靡したジュディ・ガーランドのその後の、実話を元にした伝記映画です。47才でこの世を去ったジュディの、最期を過ごしたロンドン公演の前後を描いたこの作品。

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すみません、懺悔すると、不勉強で臨んだ自分を悔やみました。家に帰ってからジュディについていろいろ調べて、改めてこの作品の凄さがわかりました。でも、不勉強で観たとしても、いろいろ考えさせられる、すんごいエネルギーの作品でした。


映画評や予告などで、最後の数分間を見逃すな!みたいな煽りって、ミュージシャンの伝記映画でいくと、ボヘミアン・ラプソディとかロケットマンとかでやってる手法で、私、「どーせ、そういう感じでライブ感出してきてんしょ?」と斜に構えてたんですが、それを差し引いても、すごい。圧巻のレニーのパフォーマンスで魅せてくれます。帰り道、「Over the Rainbow」の無限ループに陥ります。
それくらい、どんな思いであの曲をジュディが歌っていたのか、考えては胸に迫るものがある そんな本作なんです。

時は1930年代。ハリウッド黄金時代と呼ばれるこの時代に、大抜擢を受けた子役がジュディ・ガーランド。17才で舞台女優として、名作「オズの魔法使い」のドロシー役に選ばれた彼女の過ごした青春を振り返るところから物語はスタートします。夢と希望に溢れたハリウッドに魅了され、胸ときめかせる彼女ですが、待ち受けるのは過酷な日々...。金儲けのために必死になる大人たちに、言葉巧みに操られ、文字通り馬車馬のように扱われる、機械みたいな子役時代。
時は過ぎて47才になった彼女は、前の夫との間に迎えた3人の子供との時間がなによりの生きがいに。でも、幼少期の境遇からくる重度のストレスで、不眠、薬漬け、アルコール中毒に蝕まれるジュディ。そんな生活のせいで、度重なる遅刻などから信頼がなくなってしまい仕事が減り、とうとう起死回生のチャンス!と挑んだのが、5週間にわたるロンドン公演なのでした、というあらすじ。

と、まとめてしまえばこんな塩梅なのですが、帰ってから調べると、映画で描かれていないリアルの方が、作り物かと思うくらい過酷な話だったんす...。
まず、彼女のお父さんは性的マイノリティ、お母さんもなかなかな破天荒っぷりなピアニスト。子役時代は仕事が忙し過ぎて、事務所から覚せい剤を投与されながら舞台に立たされていたそうな...。当時のハリウッドの子役って目がランランとした写真が多いんだけど、これ完全にキマっている状態だったからなどと言われています...。激動の時代だったとは言えやることがハンパないぜ、ハンパなさすぎるぜハリウッド。それ以来、ジュディは睡眠薬が手放せない生活に。大人になってからは、神経症も発症して、さらにはドラッグとアルコールを覚えてしまい、さらにさらに生涯に4回の離婚を経験。二人目の夫との間に授かったのが、アメリカの大スター、ライザ・ミネリ(すみません、ミーハーだもんで、彼女の初見はSATCの映画です笑)。三人目の夫との間にふたりの子供を授かってます。彼女がオズのドロシー役で歌ってたのが「Over the Rainbow」で、自身もLGBTにすごく理解があったので(バイセクシャルだったとも言われてます)、LGBT運動の象徴をレインボーフラッグにしたとか(これも知らなかった)。先日、レディ・ガガとブラッドリー・クーパーでリメイクしていた「アリー/スター誕生」の、もともとの作品「スタア誕生」で主役演じたのもジュディなんですよね。その後、無断欠勤とか遅刻とかなんしかスキャンダルまみれで業界から干されていくという...。

映画で描かれている時代でいくと、もうすでにアメリカでは業界から見放されていて、大事な二人の子供の親権も取られちゃいそうで、どうしよう、もう活路は、まだかろうじて人気があるロンドンで仕事して稼ぐしかない!と挑んだ、そんなロンドン公演なんですよね。
映画ではここまで詳細描かれてないので、ちょっと予習してから行くと、彼女がどんな思いでこの舞台に立っていたかという覚悟がさらに伝わるかも。

しかしながら、そんな背景を知らなかった私でも、とにかく悲しいわけです。
自分の名声とか富とかを子役時代に得ちゃって落ちぶれたと評価される彼女の存在を、そんなの抜きにして、存在を求めてくれて、認めてくれるのがおそらく子供だったんですよね。でも経済的にそばに置いておくことができなくて、現実問題 止むを得ず元夫に預けなきゃいけないこととか。
毎度舞台に立つけど、明日はこれ以上のステージができないかもしれないっていう恐怖とか。失敗したらどうしようとか。
他人のこと信じてみたいけど、また裏切られたらどうしようとか。
もうね、とにかく最初から最後まで自信がなくて、愛に飢えてて、人間の弱いところ全部丸出しでむき出しなのがジュディなんです。それがすごく悲しくて寂しくて、感情そのままで生きてて、ある意味羨ましくも思えるんです。うそ、壮絶すぎて自分だったら生きていけないかもしれない涙。

4人目の夫となるミッキーとのロマンスも、ときめき研究の研究材料としては興味深いです笑。
これね、ミッキーとジュディっておそらく10個くらい年離れてるんじゃないかしら(追記:調べたらひとまわり12才違ってた。やるなぁジュディ姉。でもあんな奔放に生きてる女性、モテるだろうなとか思ってしまう)。
これくらいの年の差の、笑顔のかわいい男の子が、NYからロンドンまでサプラーイズっつって登場するシーンがあるのですが、恐らくあれ、世の女子がみんな好きなやつです。萌えです。きゅんです。そんな彼のこと信じたいし、幸せだしで、この幸せがずっと続くことを約束したいから結婚しちゃうんです。残された限りある余生を、どうにか一緒にいたいしね。
でもねわかるのよ、観てるこっち。こんな感じで結婚しちゃったらやばいぞーって。ぜってーうまくいかねーぞーーーって。でもね結婚しちゃって、んで離婚しちまうんです。想定内なんす、全部。でもね、ジュディはどんな瞬間も一生懸命なんです。

その感じを、レニーが熱演。
もうね、え、本人ですか?と見紛うほどの怪演。お歌のシーン全部本人の歌唱なんですけどすごいです。歌ももちろんうまいんですけど、思いがのってて鬼気迫るものがあって、とにかく感情にもんのすごい訴えかけてくる、魂の歌なんです。いやぁすごい。レニーって完全にブリジットジョーンズの日記のラブコメのイメージしかなかったけど(古い)、この、退廃的な名女優の人生を、本当に脆く儚く、でも美しく生き抜いてくれてます。
そんな壮絶の人生を一生懸命生きてる彼女を、「あぁ誰か彼女を救ってあげてほしい」って、観ている人全員が思っている中、彼女が最後のステージで、観客との間に生まれる愛を感じたくて歌った歌が、「Over the Raibow」なんですね。

この歌の歌詞、みなさま ちゃんと見たことありますでしょうか?これがね、また、泣かせてくるんです。

オーバー ザ レインボー(虹の彼方に)
虹の彼方 どこか遠く
空がとても青くて
そこでは どんなに大きな夢も 必ず叶うらしい

これを!!富も!名声も!!!子供も!!!!!旦那さんも!!!!!!仕事も!!!!!!全てなくなってしまったジュディに歌わせる!悲しさ!!!!!!それでも!前を向いて生きてかなきゃって思ってるジュディの!強さ!!!!!!!!!!!に、(ぜえはあ)もうですねぇ。私の涙腺ダムが崩壊いたしました。
あぁ、悲しいけど、最後に彼女が夢のために立ち続けてきた舞台で、お客様と心を通わせた奇跡の夜。魔法みたいに虹がかかって、それでもその先を信じて歩いて行こうと思った奇跡のステージ。その感動のシーンは、もう本当に思い出しただけでも、涙ちょちょ切れです。

私は今のところ子ナシ夫婦なので、 彼女の子供に対する本当の気持ちは共感の仕様がありません。
でも、仕事については 自分の仕事はなんのために、とか、誰の役に立ってて誰と心を通わせるか、みたいなことは ものすごく大事にしている(つもりな)ので、そういう意味では彼女のこの生き様は、「おいおいジュディやりすぎだぞう」と思う瞬間もやっぱりあったけど笑、それでもなんだか応援したいし、共感してしまうなぁというのが、正直な感想なのでございます。そう思うと、女性の幸せの形って本当にさまざまだなぁって思ってしまいました。
家族、仕事、恋人...女性っていろんなことにモチベートされるけど、自分が何に生かされているかって認識することはすごく大切だなぁと。そして愛って、大事だね。愛されるって大事だね。不安がないって、こんなにも人を穏やかにさせるんですね。あと、不安なときに酒に逃げちゃだめだね。うん。反省する。←

てな感じで、観る人によって彼女の、どの顔に自分を投影できるのかが変わるであろうこの作品。お世辞抜きで最後のステージのシーンは圧巻です。女性として人として、自分の生き方って何を大事にしたかったんだっけって、そんなことを感じさせる本作。ぜひ劇場に足を運んで見てみてください。

それでは本日も、長文乱文にお付き合いいただきましてありがとうございました。また更新します〜!