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西城樹里は、振り返る。

2020年6月19日、コラボフェスイベント報酬として【夏服にWIND YOU!】西城樹里が登場した。

wind you、つまり文字通り、涼しげで真っ白なワンピースという夏服に身を包んだ西城樹里のイラストが印象的だ。このカードと共に追加された新規コミュには西城樹里の【いままで】と【これから】が語られていた。

ここではこのコミュと一緒に西城樹里の【いままで】を、西城樹里という人間がどういう人間であるかを、【いままで】と【これから】を繋ぐ【今】を、振り返ってみたいと思った。そういうコミュだった。

当記事ではこれまで登場した西城樹里のコミュについて触れるため、ネタバレなどを考慮しない。また、読み終えるのに10分強はかかる怪文書であることも注意されたし。


0.西城樹里の【いままで】


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【とびっきりジンジャー】のコミュ「クッキー・ココア・ハートエイク」で語られる西城樹里の【いままで】である、バスケットボール選手の時の記憶。

Heartache、つまり心の痛みであるこの記憶は樹里にとって忘れられない挫折の経験だと思われる。同コミュでの、アイドルとなった今でもこの時の事を夢に見るシーンからも、樹里にとって忘れられない経験であった事が伺える。

憶測でしかないが、なんらかの原因で試合に出られなくなった樹里は現役を引退せざるを得なくなったのではないかと思っている。

【ラムネ色の覚悟】のコミュ、「痛みの残り香」で、怪我をしたプロデューサーの処置を施した樹里。

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コミュタイトル「痛みの残り香」からも、会話の内容からも、バスケの話が関わっていると思う。

もし挫折の経験が「痛み」だとするならば、おそらく西城樹里は怪我によりバスケを続けられなくなったのだと推測する。怪我の処置が慣れているのはその『残り香』だ。

プロデューサーが怪我をし、その処置をした事で、思いがけず「痛み」を思い出したのだ。

彼女にとってバスケに馳せる思いはどれほどのものだったのだろうか。

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【曲がり角のランウェイ】のコミュ、「sweet,sweet,Runaway!」では、放課後特に用事もなく帰って掃除でもしようか、という思考とは裏腹に、訳なく体育館に足を運んでしまうシーンがある。

他にも、体育館の、おそらくはバスケットコートを物憂げに見つめる樹里が描写されているコミュもある。

今でもバスケをふと思い出す、そんな描写は少なくない。

彼女にとってバスケとは【私らしさ】を形成するピースの1つで、言い換えれば【私】の一部であったであろう。

余談だが「sweet,sweet,Runaway!」はラナウェイであり、ランウェイ(Runway)ではない。Runawayは逃げるという意味で、おそらくは挫折という苦手経験、ひいてはバスケから(プロデューサーからの電話をきっかけに)アイドルの世界に逃げる、という意味ではないかと思っている。そういう意味ではアイドルの道は、バスケから過去という思い出から遠ざかるための滑走路、ランウェイだと言える。



1,西城樹里の【らしさ】


バスケを、【私の一部】を失った彼女は。自分を見失ってしまうだろう。

バスケが無い自分に何が残るだろう、自分に何が出来るだろう、自分は何だろう、自分は何になれるだろう、自分らしさってなんだろう。

染めた髪も、ピアスもイヤーカフも、着崩した制服も。

見失った自分を探すために見つけるために、私らしさを、模索した結果なんじゃないかと思っている。

そして道に迷ってしまった彼女は、プロデューサーと出会う。

「バッドガール・ミーツ…」

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共通コミュに限らず、全ての樹里コミュでのプロデューサーの立ち位置というか、役割は、道に迷って立ち止まってしまった樹里の手をとって導き、再び樹里が歩みだすのを助ける事だと思う。

私らしさ、つまり個性を見失っていた樹里に「それも個性だよ」と教えて樹里自身に気付いてもらう。樹里が「アタシらしく」全力で走れるように添え木になる。それがプロデューサーの役割だと思う。

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「ここから、アタシらしく」


だけど樹里には自分らしさがわからない。今は失くしてしまったバスケしか、私らしさがなかった自分には、自分が持っている武器がわからない。アイドルとしてどう進んでいけばいいのか、わからない。どう輝きを見せればいいのか、わからない。

自分らしさって、なんだ。

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他のアイドルみたいに可愛く笑えない、と樹里は言う。プロデューサーは答える。

「樹里は笑顔も可愛いと思うし、いっそのこと笑わないクール系もいい。なんならかっこいいポーズも取ろう。他のアイドルの真似しなくていいよ、樹里のやりたいようにやれば、それが樹里らしさになる」

樹里がどういうアイドルになるか迷っていた時も。

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「スポーティな爽やかアイドルとかいいんじゃないか?樹里は運動神経もいいし、歌って踊れるスーパーアイドルなんかもいい。ちょっと柄の悪いクールアイドルとかも個性が強くていいかもな!」

つまりどれもいける、と。

一見適当言ってそうに見えるが、これは「樹里ならどんな樹里にもなれる可能性がある」ということを樹里自身に気付いてもらうためのプロデューサーの計らいというか、想いみたいなものだと考えている。

樹里には無限の可能性があって、爽やかアイドルもスーパーアイドルもちょっと柄の悪いクールアイドルも、数ある可能性のうちのたった1つでしかない。

樹里が望むようにやれば、それが樹里らしさになって。

樹里が望めば、何にだってなれる無限の可能性がある。

これがコミュタイトルにもなっている「輝きの可能性」だ。

真っ白いキャンバスのようにまだ何も描かれていない。だが何でも描いていける。樹里が好きなように描いたものが、樹里らしさになる。


2,西城樹里の【今】

実は、これら全ては【曲がり角ランウェイ】のコミュ一通りでプロデューサーが樹里に伝えたかった事だ。

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▲樹里が決めていい、と伝えるプロデューサー。

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▲ 輝きの可能性の話。

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▲【樹里らしさ】が出る樹里の私服での撮影。

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▲アイドルとしての自分らしさが今のアタシには無い、どう進めばいいか方向性がわからないと迷う樹里。

この通り、出会ったばかりのコミュの内容を反芻、繰り返していて、実は展開は全く同じだ。

自分がわからなくて、そのせいでどう進めばいいかわからなくて。プロデューサーがどう進んでもいいんだよ、と伝える。

樹里が望めば、何にだってなれる。

その可能性は西城樹里と出会った時から、メタ的な言い方をすればシャニマスがリリースした時から。

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【曲がり角ランウェイ】の思い出アピールの名前が【この先標識無し】である。これは、「こう進めばいい」という標識がない、曲がり角の先がどうなっているかわからない。道が無い。

だからこそ、どんな風にだって進んでいける。

そういう意味だと思う。

西城樹里の【今】とは、道なき道を、自分らしく進むための努力をしていることだ。

【曲がり角ランウェイ】が実装されたのはシャニマスリリースから1年と3ヶ月後の事。最初のコミュの内容を反芻している、【いままで】を振り返っている、と気付いた時はマジで震えた。


3,西城樹里の【これから】


どんな方向性の樹里だって樹里だ。だから、樹里の私服はもちろん、何を着てたって、メイドフリフリ可愛い系の樹里だって、大人っぽく綺麗な樹里だって、家庭的に料理する樹里だって、樹里は樹里だ。

数ある樹里の可能性のうちの1つだ。

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タイプというか、方向性が違うのは彼女が彼女なりに進んでいるからだと思う。

西城樹里の【これから】とは、彼女らしい、もしくは彼女の全く新しい一面を垣間見る事が出来るような。そういう道の進み方だ。


4,西城樹里と【白のワンピース】


西城樹里は寮に住んでいて、そこから学校に通い283プロダクションに通っている。つまり持っている服、何着かの私服を着回している。(描写されているコミュもある)

【いままで】、彼女の私服といえばボーイッシュ系でクールな物が大半を占めていた。

そんな西城樹里が様々な経験を経て、『それも私らしい』と思えるようになって、真っ白のワンピースに袖を通すようになった。

そんな成長を、【いままで】の西城樹里を振り返る事で感じた。

大きく話題になったロングヘアの西城樹里も同じだ。

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髪を伸ばすなんて自分らしくない。そう言っていた樹里が、「それも私らしいかも」と自分の可能性を新しく広げたにすぎない。

可愛らしい白のワンピースも、ロングヘアの私も、いいかもしれない。その可能性に手を伸ばした樹里の成長を今回のカードで感じた。


5,西城樹里との【これまで】


この【夏服にWIND YOU!】のコミュを読み返していて最初に気付いたのは、

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この「アタシたちには今しかない」というセリフだ。

ここで、「ああ【曲がり角ランウェイ】に『アタシジャストナウ』ってタイトルのコミュあったなあ」と思い出に返った。

ここで「あれ?もしかしてまだ気付いてないだけで【いままで】のコミュのパーツ落ちてる?」という疑心に駆られて、慌てて【いままで】のカードとコミュを振り返った。

こじつけがましいかもしれないが、過去のコミュの内容を反芻しているのでは?と思えるパーツがあったので、紹介していく。

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▲【誰か為シンパシー】内の「オマモリ・オモイヤリ」で過去に一緒にお参りしている。セリフ途中まで完成一致。


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▲【とびっきりジンジャー】の『伝えてジンジャー』コミュ。日頃の感謝の気持ちを伝える、というシーン。


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▲【曲がり角ランウェイ】のコミュ『甘酸リフレクション』にて、昔のバスケ時代の思い出を語るシーン。

また、「ソーダ」とカード【ラムネ色の覚悟】で重要なファクターとなるラムネ……など、拾いきれてないパーツがもしかしてあるかもしれない。

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ただ、このコミュで大事なのは、こじつけかこじつけでないかや、どれだけ一致しているかなどでは無いと感じる。

例えば「ああ、前にも樹里とこんなやりとりしたかもしれないな」「似た話を前にもしたかもしれない」と感じるパーツを節々に散らせ、樹里との【いままで】に思いを馳せる。

その「振り返る」行為に重きを置いているのではないかと思う。

【いままで】を振り返る事で、【今】やるべき事、【これから】進むべき道を確認し、成長を実感する事こそがこのコミュで、この新規カードですることではないかと思った。

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前に進むために、たまに振り返ることは、悪いことでは無いと思う。


6,西城樹里との【これから】

今回追加された樹里のイラスト、コミュを見て思いたったので勢いで本記事を書き進めた。クソデカ感情に飲まれ、解説ともポエムとも言えないラインで、大変気持ち悪い文章であること、本記事を最後まで読んで頂いたことに、謝意を申し上げる。

西城樹里の【いままで】を振り返ることで、彼女の【これから】が楽しみになる助けに少しでもなれたら嬉しいと思います。(敬語)

最後に、オタク特有の『推しのキャラソン』に聞こえる病気を発症しているので、西城樹里のキャラソンを紹介します。

SUPER BEAVER「らしさ」
https://youtu.be/wol-XHb1VhM

「自分らしさってなんだ?」
「僕は僕らしく、そして君は君らしく、って。
はじめから探すようなものでは無いんだと思うんだ」

それでは失礼します、またどこかでお会いしましょう。




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