売り手市場は終わった。

「売り手市場」という言葉が叫ばれて久しいですが、コロナウイルスの影響で今年は状況が例年と比べるとやや異なりそうです。

2020年3月末時点の、21年卒大学生・大学院生の内々定率は20.5%となっており、前年同月比で7.8pt増となっています。
過去最高だった昨年を更に上回る数字となり、今年も引き続き就活の早期化が予想されていました。
ところが、新型コロナウイルスの影響により、社会情勢は一変しました。


▼民間調査会社の帝国データバンクによると、3月時点で業績への『マイナスの影響がある』とみた企業は80・3%を占めた。


▼厚生労働省が発表した3月の有効求人倍率は1.39倍。3年半ぶりに1.4倍を割り込む。併せて厚労省は雇用情勢判断に「求人が減少」という表現を使い、ITバブル崩壊後の平成13年9月以来、約18年半ぶりに3カ月連続で下方修正。


▼日経平均は3/9に1050円99銭安(下げ幅歴代20位)、3/13に1128円58銭安(同13位)と急落し、その大きさはバブル経済で相場が大きく崩れ始めた1990年の月次の動きに匹敵。過去最高値を更新し続けていた米国ダウ平均株価も1週間での下落率が17%となり、リーマンショックが起こった2008年の10月以来最大となる等影響は甚大。


▼OPECの減産合意が崩れ、市場初めて原油先物の取引価格がマイナスを記録。大手五大商社等幅広い企業の業績への悪影響の懸念。


冒頭で示した、過去最高の内定率は実はこの情勢の影響を受けていません。
なぜならインターンシップを中心とした早期選考の動きが顕著で、優秀な学生は3月の解禁前に内定を獲得していたからです。
ところがコロナショックにより、3月以降に就活始めた学生の動きは封じ込められました。

4月末時点で全国の主要企業13000社に取ったアンケートでは、約2割の企業が採用数を「減らす」と回答しています。
残りの8割の企業は昨年と同程度か増やすと回答しており、一見影響は軽微なようですがコロナショックの影響が長引いている現状では、さらに悪化し兼ねません。


「就職氷河期」


かつての就活の厳しさを示したワードですが、本格的に氷河の時代が訪れる日も遠くないかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?