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「男は妻の所得が上がると苦痛?」

いわゆる上昇婚/同類婚/下方婚忌避の話題では、「男性が妻の所得が上がることを嫌がる」という主張がなされることがある。最近、これについてのデータを提供する論文が一本出ている。

Syrda, J. (2019). Spousal Relative Income and Male Psychological Distress. Personality and Social Psychology Bulletin. https://doi.org/10.1177/0146167219883611

この論文では、基本的には男性は妻の所得が少なすぎても多すぎても圧迫を感じ、もっとも圧迫感が少ないのは妻の所得が夫の所得の40%の時である、という結果を出している。

ただし、これは「男が下方婚を忌避し主夫になりたがらない」ということを意味しない。論文ではabstractの半分を割いて以下のように続けている。

Interestingly, the relationship between wife’s relative income and husband’s psychological distress is not found among couples where wives outearned husbands at the beginning of their marriage pointing to importance of marital selection.
(興味深いことに、結婚当初から妻が夫より稼いでいたカップルでは、妻の所得が高まることで夫が心理的圧迫を感じることはなかった。このことは、配偶者選択の重要性を示している)

シンプルに言えば、「所得を伸ばしたい女性は、最初から所得の低い旦那を選べば問題ない」と説いているのである。

私が現在執筆しているnoteマガジン「21世紀の女性の仕事、結婚、出産 ~生き方を選ぶ私の選択~」では、バリキャリを目指す女性にとっては「内助の功」を提供してくれる(得てして高収入ではない)夫を選ぶことが重要と説いている。今回の論文は、その裏付けとなるデータを提供してくれていると言えるだろう。論文がgigazine、twitterと転載される中で「importance of marital selection」の部分がすぽーんと抜け落ちてしまっているのは残念である。

女性の男性に対する好みを聞いていくと、単純に所得が高い男性を好むほか、性格面でも自信がある男性尊敬できる男性といった、いわば「そりゃこういう男はプライド高いだろうな」という男性を選好する傾向にある。

バリキャリ女性の「なんで男はプライド高いのか」という嘆きは、かなりのところ「プライドを高い男を選択的に好きになっている」というセレクションバイアスによるところが大きいのではないか、というのが私見である。



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