菊さま、顔が変わる

 菊さまの顔が変わることにお気づきだろうか。
 和泉さんといる時と、他の人といる時とでは顔が違うのだ。和泉さんといる時は、とにかく可愛い。しかもエロい。
 しかし、他の人といる時は、その可愛さとエロさは引っ込めているのだ。しかもそれは計算ではなく自然なのだ。恋をすると綺麗になるというが、まさにそういうこと。恋をすると、可愛くなる、綺麗になるということを菊さまが証明してくれたのだ。
 三浦翔平という俳優さんのすごさを見せつけられてしまった。
 それからもう一つ、菊さまのことで気づいたことがある。私の勝手な思い込みかもしれないが、菊さまは肌を見せない。旅館で酔っ払った時も浴衣の下にズボンを履いていたし、スーツの時も着崩すということがなく、きちんとネクタイを締めている。これはわざと? たまたま?私の考えすぎ?わからない。
 でも、私は「和泉さんにしか見せないのね」などと思ってニヤリとしてしまう。もちろんこれは全くの想像。
 それで思い出すのは、徳川家光が愛した小姓堀田正盛だ。彼は家光が亡くなったその夜に、後を追って殉死している。しかし腹を切るその時、「我が肌は上様だけのもの」と、肩脱(かたぬ)ぎしなかったという。家光と出逢った十五歳のその日から、ずっと他の人に肌を見せなかったのだ。だから介錯(かいしゃく)した武士も、まわりにいた人も、誰一人として素肌を見ていないのである。なんという純愛。
 菊さまの和泉さんに対する恋もまさに純愛。
 肌だけでなく、菊さまは本当の心の内をなかなか他人に見せない。他の人に対しては優しいけどクールで、一定の距離を保っているように思える。
まあ、公安だから当然なのかもしれないが。
 菊さまの肌も、あの可愛い笑顔もエロい表情も、和泉さんしか見ていないところがきゅんきゅんする。本当にもう、ありがとうとしか言いようがない。
 今まで菊さまにさんざん辛い思いをさせたのだから、罪滅ぼしもかねてめちゃくちゃ可愛がってあげてくださいね、和泉さん!

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