秋臣、偽物の息子にゲイの苦悩を語る
「お父さん、起きて」
縁側のガラス戸から朝日が射し込んでいる。重たい瞼をやっと開けると、叶人が顔を覗き込んでいた。完全に覚醒していない秋臣は一瞬この状況がわからずうろたえてしまった。
この家での芝居の第一幕が無事に終わった安堵で泥のように眠っていたようだ。
「ああ、おはよう。眠れた?」
「朝ごはん作ったからおばあちゃんと一緒に食べようよ」
「え? 凪君が朝ごはんを作ったの?」
最後まで言わせず、叶人は人差し指を唇に当てた。
「智夏だよ」
「あ、ごめんごめん」
壁の時計