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ビジネスにおいて「哲学」の教養が最強な理由

今、ビジネスにおいて教養が非常に重要視されています。

その中でも特に「哲学」の持つ役割が、個人や企業の間で、ビジネスにおける重要な武器として必要とされています。

ビルゲイツやウォーレンバフェットなどの世界のエリートたちも、必要な教養の基礎として「哲学」の重要性を語っています。

加えて、Google、Amazon、Facebook、Twitterなどを始め、世界のトップ企業はこぞって哲学者を採用しています。こうした哲学者はCEOと並ぶ、CPO(最高哲学責任者)として経営者として採用されているのです。

多くの人のにとって哲学とは、「どうでもいいことを難しく考えるあんまり社会には役に立たない雑学」とか、「"教養"の中でも実社会では全く役に立たないからその意味で真の教養」などと「実利のないもの」として、考えられていると思います。

しかし、それは全くの誤解です。

「哲学」は、歴史的にも全ての学問の基礎であり、身の回りの気づかない事象に対して「疑問」として浮かび上がらせる、問題を見出す根源的な役割を持っています。

具体的に言えば、哲学のキーポイントは問題解決能力の根源的基礎になる「問題発見能力」です。

ここまでお話しすれば、なんとなく「ビジネスに役立つ」というイメージが理解できる方も多いと思います。

このnoteでは、ビジネス視点で、哲学のおける重要な役割とともに哲学をどのようにビジネスに用いていけるのかをやさしくご紹介していきます。哲学を今よりもっと身近なものに感じ、哲学を自身の武器として使いこなせるよう体系的に理解できるようになります。

1.哲学が鍛える「批判力」

まず、哲学におけるの重要な能力をご紹介します。それはタイトルの通り「批判力」です。

「批判」というと、「"批判"が殺到した」とか「"批判"されたくない」とかネガティブな意味で使われ、そのようなイメージを持っているかもしれません。しかし、ここではそうではない意味として使います。

Googleではこう出てきます。

批判:《名》良い所、悪い所をはっきり見分け、評価・判定すること。

つまり、良いか悪いかよく考え、問題を吟味して、結論を出すという意味です。

では、この批判力が実際にどのように必要となるのかを考えていきます。

一例として、デカルトの哲学をご紹介します。

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デカルトは「我思う、故に我あり」という言葉が非常に有名です。まず、彼は、「自分の見ているこの世界は全くの幻想なのではないか。今見ている目の前の世界は夢なのではないか。"現実"ではないのではないか」と考えます。

まず、この「システムを無批判に受け入れず、当然と思うことにも疑問のスポットライトを当てる」という力は簡単にできるものではありません。現代の社会では、自分が体験したことに何らかの課題を発見し、それを解決する方法を「ビジネス」として創出します。

起業家として成功する多くの方々は、この「課題発見の能力」が非常に長けているのです。その意味では、ビジネス本の名著「イシューから始めよ」の"イシューの発見"もこの哲学の「批判力」が必要になるということです。

「批判力」をもっと具体的に考えてみましょう。

「課題発見の能力」と言っても哲学における課題発見とビジネスにおける課題発見は全く違いことのように感じます。「我思う、故に我あり」の批判精神が必要なのは理解していただけたと思いますが、この『「我思う、故に我あり」というコテコテの哲学の問題』と『ビジネス』のつながりはまだ曖昧なままですよね。

課題発見の能力には、今まで目をつけていなかった視点を持つ能力が必要です。それには先ほども言ったように、「当然のことにも疑問のスポットライトを当てる」ということが必要です。

しかし、「当然のこと」は見えなくなります。これは、温泉の源泉に行った時の体験と似ています。初めは、非常に強い硫黄の匂いを感じますが、時間が経つにつれてどんどんその匂いは無くなっていきます。これは私たちが匂いに慣れていき、この匂いを「当然のもの」として見えなくするのです。

つまり、哲学が、その「当然すぎて見えないもの」を私たちが認識できるように表に出してくれます。その経験をする中で、意外と難しい「当然と思うものに自然と批判の視点を当てること」ができるようになるのです。

「仕事ができる人」と「仕事ができない人」の差は、同じものを見たときの情報取得量の差であり、いかに多様な視点で物事を捉え考え、批判しているかがポイントです。

「仕事ができる人」に必要な日常における多様な視点を哲学が与えてくれるのです。これは「質問力」という言葉にも集約できます。「良い質問」ができる人は仕事ができるという相関関係は皆さんも理解するところだと思います。質問力がある人は、多様な概念と視点を持っています。その点で課題に対する哲学的アプローチを持っているわけです。

そしてこの、疑問を生むための哲学的アプローチ・疑問を解決するための哲学的アプローチも哲学が鍛えてくれるもう一つの重要な能力になります。

2.「答えのない問い」に立ち向かう哲学的論理思考

前章では、哲学の批判力が与えるビジネスの影響についてお話ししました。この章では、哲学で身につく能力として、答えのない問いへの論理的なアプローチについてお話しします。

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前に紹介しました「イシューから始めよ」などにも問題発見能力が非常に重要であることは様々な面で言われており、理解しやすいと思います。しかし、問題発見能力のトレーニングはどのように行えばいいのでしょうか。そのヒントこそ哲学に隠されています。

では、前章の続きとして、哲学的アプローチについて考えてみます。

タイトルにある「答えのない問い」への論理的なアプローチをここでは2つの意味で紹介します。

(A)答えのない問いに対し、どのように答えを出していくのか。

(B)答えが見つかっていない問いをどのように創出するのか。

まず前者(A)についてです。

これは、ビジネスにおいても何においても同じだと思いますが、(A)の答えは、「仮説を検証していく」ことで解決します。言うまでもなく「PDCA」サイクルの話になります。

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答えのでない問いは、自らで仮説をたて、それを様々な方法で考察し、実際に修正していき、「究極の真理」と呼ばれる本当の答えに少しでも近づくというプロセスは哲学において当然のものとして論理が進められます。

この能力は思った以上に難しいものなので、哲学の理解は、方法論だけを語るビジネス本よりも、より実践的でより高意義なものになることは間違いありません。

次に(B)についてです。

この「答えが見つかっていない問いを創出する」ために必要なスキルは、当然のことに対して問いを開始し、「問いに問いを重ねる」と言う姿勢です。

例えば、「会社の新商品の売り上げの成績が悪い」という問題があります。

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まず、問題に対して客観的に向きあいます。この問題が単に思い込みではないのか?と問うわけですね。そして、ふとこう考えます。「会社の新商品の売り上げが上司の想定している数字よりも小さいんだ」。そして「上司の想定する数字はどのようだったんだろう」と上司が推定していた数字を確認します。その後、「この上司が推定した数字より小さくなったのは上司の推定とどこで乖離が生まれたのか」を考え、この問題の本質により具体的に迫ります。「広告はうまくいっているけど、購入率が非常に悪い」と理解して、解離していた数字を改善するために、購入率に絞った修正をいくつか考案し、改善していきます。

まずはここまでです。この問題に対して、あくまで客観的に捉え、問題の本質に迫ろうとします。おそらく、多くの人は、「どのようにしたら売り上げが上げられるか」という点で漠然と考えてしまいます。問いを重ねることで、問題の本質を正しく認識し、より具体的な解決策を考え出せるのです。

そしてもう一つ大事なポイントがあります。それは、前提が間違っているかもしれないという可能性ももう一度考えることです。「会社の新商品の売り上げが上司の想定している数字よりも小さい」の「上司の想定」は正しかったのか?ということです。

この場合、色々と手遅れになるかもしれませんが、この次からは、具体的に上司に対して意見や立案のイメージが掴めるようになるでしょう。前提を疑い、少しでも本質に近づこうという姿勢は哲学を学ぶことによって非常に鍛えられる能力です。

3.あとがき 哲学が市場価値を上げる

以上のように、批判力と問題発見能力と解決能力を哲学が鍛えることをご説明しました。

哲学は、日常の常識に関して疑問を持つ能力が必要であり、それゆえに、熟考し再考する非常に自由で制限のない発想をする習慣がつきます。「自由で制限のない発想」とはおそらく私たちが一番苦手なジャンルなのではないでしょうか。

特にこの現在、2020年付近は、社会がテクノロジーやグローバルによって日本も一気に変わろうとしている世の中で、価値観も揺らぎ始め、自信を持った自由なビジネスや生き方が必要な時代です。多くの一流企業や個人が哲学に一つのヒントを求めているように、ぜひ皆さんもこの機会にビジネスやライフスタイルの武器として哲学を学んでみてはいかがでしょうか。

その学び始めにお勧めするのが、近代哲学の祖とも言われるカントです。カントの「純粋理性批判」は難書と言われていますが、問題発見と問題解決の全てを高密度に詰め込んだ永久の名著です。新たな視点と哲学的論理思考を鍛える最強の教養を非常にやさしく解説しておりますのでぜひお読みください。

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