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I.G.P.(I.G.T.) Barbagia バルバジア

この記事では、イタリアのI.G.P.(I.G.T.) Barbagia バルバジアについて解説しています。

I.G.P.(I.G.T.)とは

2010年5月より施行されているイタリアの新しいワインの法律により管理されている品質分類。
分類としては、地理的表示付きワインのひとつで、フランスの『Vin de Pays』ドイツの『Landwein』と同じ分類となる。
I.G.P.を日本語に翻訳すると『地理的表示保護』となる。

ラベル表記の際には、I.G.P.(I.G.T.)名とブドウ品種など他の記載が伴う場合がある。
ブドウ品種名の表示には、ブドウの使用量の規定などがある。
単一品種名の表記の場合、基本的には使用量の85%以上を使用すると記載できる。
ただしI.G.P.(I.G.T.)によって詳細の規定が異なり、生産は許可されているが品種表示は不可指定されている品種などもある。

I.G.P.(I.G.T.)の主なルールとしては
・生産地に起因する品質や名声、特徴がある。
・指定された産地内で栽培されたブドウを85%以上使用する。
・生産は指定された産地内で行う。
・原料はヴィティス・ヴィニフェラ種とその交配品種を使用する。

D.O.P.(D.O.C.G./D.O.C.)と比較すると大きめの生産地域と制限の少ない生産規制を特徴としている。

I.G.P.(I.G.T.) Barbagiaとは

イタリア共和国のサルディーニャ州の本島内陸部に位置するI.G.P.

1995年10月12日に承認されたI.G.P.(当時はI.G.T.)
最終更新は2014年3月7日(2020年6月現在)

生産地域
 2 ha (2015)
生産量
92 hl / 1,020 cases (2016)

『I.G.P. Barbagia』 名称の由来

Barbagia(バルバジア)とは、古代ギリシャ語『Βαρβαρία (吃音)』に由来する言葉で、現在では蛮族/山賊の土地と言う意味をもつ。
なぜ、吃音から野蛮人の土地という意味になったのか。それはこの地域のサルディーニャ語の独特の発音と、この地域の人々が古代ローマ人に『latrones mastrucati(ラトロネスマストルカティ)=羊毛の粗い衣服を着た泥棒』と侮辱的な呼び方をされていた事に起因する。
ただし、元々この岩だらけの地域に人々が定住するきっかけとなったのは、島の外からの侵入者やローマの支配などから先住民が逃げてたどり着いた内陸地であったため。
蛮族と言う表現もあるが、それは植民地的支配への抵抗の意味もあったのではないでしょうか。

『I.G.P. Barbagia』 の生産地域

サルディーニャ本島 内陸部の山岳地帯
生産地域として指定されているコミューンは、Gallura(ガッルーラ)からGennargentu(ジェンナルジェンツ)山塊沿いに位置している。

Provincia di Nuoro(ヌーオロ県)に含まれる以下の15のコミューンFonni、Gavoi、Lodine、Mamoiada、Nuoro、Oliena、Ollolai、Olzai、Oniferi、Orani、Orgosolo、Orotelli、Orune、Ottana、Sarule

かなり険しい山岳地帯でヨーロッパでも最も人口の少ない土地の1つとなっている。そのため昔からの文化や自然がしっかりと残っている。

Fonniは標高1,000mというサルディーニャ島で最も高い位置にあるコミューン。

『I.G.P. Barbagia』 地域の文化

山岳地帯の内陸部であるため、独自文化が残っている。
現在でも、サルディーニャ語のさらに方言にあたる地方語が、日常で多く話されている。

Orgosolo(オルゴソロ)にある町中の壁画も有名。

この地域の経済は主に農業、羊の飼育、観光である。

『I.G.P. Barbagia』 として生産可能なワインの種類と生産に関する規程

生産可能なワインの種類
Still wine(普通のワイン)白赤ロゼ
Frizzante(弱発泡性ワイン)白赤ロゼ
Novello(新酒)赤のみ

最低アルコール度数
スティル白 10%
スティルロゼ 11%
スティル赤 10.5%
ノヴェッロ 赤11%
フリッツァンテ 10.5%

熟成に関する規定
熟成(aging)に関する詳細の規定はない

使用できるブドウについて
サルデーニャ州で栽培、ワインへの使用が許可されているブドウ品種を使用可能。
生産には地域内のブドウを85%以上使用すること。
非芳香性のブドウのみブレンドできる。

下記の品種は単一表記が出来ない
 Cannonau、Carignano、Girò、Malvasia、Monica、Moscato、Nasco、Nuragus、Semidano、Vermentino、Vernaccia


『I.G.P. Barbagia』 で使用可能なブドウ品種リスト

I.G.P. Barbagiaで使用が許可されている品種は、サルディーニャ州での栽培に適した品種として登録されている全品種にあたる。

黒ブドウ
Aglianico, Albaranzeuli, Aleatico, Alicante, Alicante Bouschet, Ancellotta, Barbera, Barbera Sarda, Biancolella, Bombino, Bovale Grande, Bovale, Cabernet Franc, Cabernet Sauvignon, Caddiu, Cagnulari, Calabrese (Nero d'Avola), Canaiolo Nero, Cannonau, Caricagiola, Carignano, Croatina, Dolcetto, Gaglioppo, Girò, Greco nero, Malbech, Malvasia, Marzemino, Merlot, Monica, Montepulciano, Nebbiolo, Nieddera, Nieddu Mannu, Pascale, Pinot Nero, Primitivo, Refosco dal Peduncolo rosso, Sangiovese, Syrah, Teroldego, Tocai rosso.

白ブドウ
Albaranzeuli, Ansonica, Arneis, Arvesiniadu,Chardonnay, Clairette,Cortese, Falanghina, Fiano, Forastera, Garganega,
Greco, Malvasia bianca di Candia, Malvasia di Sardegna, Malvasia Istriana, Manzoni Bianco, Moscato Bianco, Muller Thurgau, Nasco, Nuragus, Pinot Bianco, Retagliado Bianco, Riesling, Riesling italico, Sauvignon, Semidano, Sylvaner Verde, Tocai Friulano, Torbato, Trebbiano romagnolo, Trebbiano Toscano, Verdicchio Bianco, Verduzzo Friulano, Vermentino, Vernaccia di Oristano, Vernaccia di San Gimignano.

ロゼブドウ
Traminer Aromatico

グリ(灰色)ブドウ
Pinot Grigio

参考サイト

https://en.m.wikipedia.org/wiki/Barbagia

https://www.sardegnaturismo.it/en/places/centre/barbagia

https://italianwinecentral.com/denomination/igp-barbagia/

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