ちりつもを理由に別れを切り出す人

もし結婚していたら、この同じ問題に直面した時に、離婚の選択をしたのだろうか。
僕にぶつかってこずに、そのままに離れていく選択をとったのだろうか。
きっと違うと思うのだ。
僕だって相手の意見が変わったこと、例えば君の実家の田舎地方に引っ越してもいいと言っていたのに、突然それを嫌がる。
まあそれについてはいいよ、疑問を感じたら僕はそこについてちゃんと質問する。どうしてなのか。君の思い描く幸せはどんなものなのか、それを知りたくなって聞いたりもした。
しかし、相手は僕のそういう言い分の変化について、深く聞いてこなかった。意見がコロコロ変わる人だという認識を持って、別れる選択をした。
自分にとって都合の悪い人間とは生きていけない、面倒を避けて、楽に既製品を探すことを選択したのだ。

でも僕は思う。
そんなんじゃ、いつまで経ってもどこかで破局を迎えると。
その人の好きな面が変わっていないなら、嫌な一面を見たとて、まずはそこに異議を唱えてぶつかりにいくか、自分の中で消化するしかないと思う。
それなのに、一部の嫌な面が見えた途端に冷めるというのは、僕には理解できない。結局、僕の何が好きだったのか、依然聞いたけれど、人を好きになるのは、いつも何となく、らしい。だから思い出す初心も、戻れる初心もないのだと思った。

都合の悪い相手になったら、他を探す、それはつまり結局のところ、僕が目的なのではなく、結婚という目的があって、その実現のツールでしかないのだいういことを痛く感じる。
それに、それは僕から見るととても相手にとって失礼だし不誠実に思える。
何となく好きになられて、何となく嫌になられて離れていく、自然災害に巻き込まれたみたいだ。

そして今回も、結局のところ、ちりつもで気持ちが冷めてしまったとのことだった。
僕はこのちりつもというものを理由にしている人のことを尊重できない。
ちりつも、つまりこれまでにも問題だと感じていたのであれば、それを解決しようとしてほしいのだ。自分の中で消化することが出来る人はすればいいし、できないならば相手に直接伝えて改善を願うべきなんじゃないか。
ちりつもなんて、積もらせている人からしたら、積もらせていることすら気付けていない場合が多いのだから、相手にそれを指摘して欲しいと思うのは傲慢だろうか。僕自身がそうやって接してきたからこそ、そう思ってしまう。
偏に、僕や僕の仲の良い人達は、自分の中で消化したり、解釈を変えてみたり、相手のことを異なる視点から捉えたりすることが、きっと極めて得意なのだと思った。
例えば、僕は一生懸命に何かを頑張っている人が好き、と伝えたのに、相手はそれを真っ向から、私は頑張れないから、と言ってきた。
僕がそういう人が好きだと言っているのに、それを一刀両断してくるのも驚きだし、多少はがっかりもした。
それでもそういう人の生き方もあるんだな、とか、自分にはないものを持っているんだな、とか自分の中で解釈、納得などをして相手を尊重しようとしていた。
また、相手が以前付き合っていた人の話を不躾にも話してきたときは、かなり苦しい思いをしたが、ちゃんとその気持ちを伝えたし、その事件だけで相手を見限ることをしなかった。

捉え方を変える、そういうことが正直僕にとってはとても自然なことで、嫌なことがあったら、それから逃げるよりも、それをどう捉え直すかということが優先度としてまず先にあるから故の、思考順序なのかもしれない。
それは、今まで挑戦をしてきたり、嫌なことでもその先の未来を見据えて辛い時間を乗り越えてきたからこそ、なせる思考であり、且つ、様々な知見を求めているからこそ、幅広い考え方を持てるようになってるのだと思う。

つまるところ、本をちゃんと読む人はそういう能力が高いと感じる。
自分の思考や、感性の中だけで、ずっと生きている人には、きっと想像ができない世界の見え方なのかもしれない。
結局、僕があげた塩狩峠も読んではくれなかったしね。

そういう人は、自分で自己消化する力がない。
そして相手に意見をちゃんと説明するとか、問題を解決しようとする意志がない、もしくは能力がない、想像力がない人は、きっと自分も知らない間に、不満を募らせ、その不満を消化する術も分からず、気付いた時には既に気持ちは折れてしまって、取り返しがつかないところまでいっているのだと想像される。

それが、相手にしてみればちりつもなんだろう。
でもそれは、君が問題を解決しようとしなかったり、それを自己消化することができないから起こる現象であって、チリなんて誰しも積もらせるに決まっているのだから、ちりつもはそれを感じる人側の問題であることが多いと思うのだ。
それは僕にちりつもの感覚が一切ないからなのかもしれない。
きっと、ちりつもの感覚を僕自身が感じたときに初めて理解できるのかもしれないが、今感じれないのは事実なので、今の意見として書いておく。

自分が付き合っている人に対して、オープンに意見を言わずに、都合が悪くなったらいなくなるのは、とても悲しいことだ。


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