四月十六日 春の五行歌

芥子の花畑を労働者の群れがゆく
けぶった春の陽光に、狐の影が寂しく過ぎる
ひとり、お地蔵様の腹掛けを
風もないこの世の果てのどん詰まり
はたり、声なく揺らす菜の花の囁き

藤の花の一房を
働き蜂の兄弟が
羽の千切るまで弄うから
さのかたの花の知る歌は
ブブブ、ブブブのこれっきり

おさなごのはかなげな喃語をことほぎに
おや、おや、おやと
神さんがあそびよる
さよならのゆりかごの影をよびしろに
ゆら、ゆら、ゆら、と
たましいが遊びよる

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