人間はなぜ決心ばかりして実行できないのか?それは、人間が新たな挑戦を避けるように進化してきたからだ。もし原始時代の人が新しいことに挑戦しようとしてジャングルの奥地に入ったりトラに飛びかかったりしたら、大ケガをするか死んでしまったことだろう。無謀な挑戦などせずに、隠れて待っていたほうが生き残れる確率は高い。おとぎ話とは違って、勇者はお姫様と結ばれるどころか、DNAを後世に残すことすら難しくなる。現在生きている僕たちは、したたかな臆病者の子孫なのだ。
この用心深い遺伝子は生存に欠かせないものだったが、現代においては劣等なもの、すなわちクルージとして残った。昔は挑戦が命を脅かしていたが、今はそうではない。YouTubeやブログ、新たなプラットフォームに挑戦して失敗したとしても、死ぬことはない。それにもかかわらず、僕たちの臆病なクルージとなまけ者の脳は「そんな無駄なことはしないで、ポテチでも食べなよ」と命令を下す。
ただし、今日の社会で何もせずにいれば、自由を奪われてしまう。自分の人生をコントロールできず、お金と時間に縛られて生きていくしかない。挑戦と革新が優先事項となった今、臆病なクルージは自己啓発をはばむ大きな障害物になる。人間を貧しく生きる順理者にしてしまう、致命的なウイルスだ。