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クリスマス・マサカーの謎 ~IARCとCERO、時々規制と~

クリスマスマサカー(Chrismas Massacre)の販売媒体とその規制について気になったのでいろいろ書いていきます。

参考までにレーティングについて触れたnote 



概要

 クリスマスマサカーの概要から、みんな大好き「PUPPET COMBO」が開発したDL専用ゲームでクリスマスパーティーでのけ者にされたラリー君がマサカーするゲームです。以上


ラリー君だよ

このゲームは2021年にsteamで発売、2023年にコンシューマーではPlayStationのみで発売されました。理由は独占契約とかそんなのではなく、NintendoとXboxはストアの審査で弾かれたそうです。このゲームは「IARC+12」のレーティングがされておりCEROでいうところの「B」相当です。コンテンツディスクリプター(根拠表現)は"ホラー"と"軽い暴力"となっています。

はい気づいた方も居るでしょう。ニンテンドウーeショップでは「IARC18+」が配信禁止です。じゃあなんでクリスマスマサカーは配信されないんでしょうか?


ゲームの内容

そういえば具体的なゲーム内容に触れていなかったのでここで説明します。

 主人公ラリーを操作してエリア内の人間を全員殺すゲームです。全滅させるまでの時間と攻撃すると得られるスコアに応じてラン評価が得られる(ランクじゃなくランです)。なお死体に追撃すると追加でスコアが得られます。

ストーリーは薄味でクリスマスツリーの指令を受けて殺しに行くという内容。ちなみに最初のステージでは明らかに子供のラリーを操作して上級生を刺殺、終盤ステージでは標的の学生を火炎放射器で炙ったりします。

指令を下すクリスマスツリー

うん。絶対に"軽い暴力"じゃすまないねw

軽い?


PS版の規制について

 国内で買えるPS版ではなんと日本語と規制が入っております。steam版は買ってないから不明

・標的の人間の肌が緑色
・欠損表現なし
・欠損させた(攻撃した)死体の消失

気になる人は海外版のYouTubeとか見てね

確認できる範囲でこれくらい。血と肉片は普通に出ます。IARCレーティングなのにわざわざ規制版を配信しているということです。つまり「CERO取得のためでもなく、自発的に規制版を作成した」ということです。

「CEROがあるから規制が…」は良く聞くフレーズですが、実際はCERO関係なく規制が入るときは入るという現実です。Dying LIghtでも似たようなことありましたね。事実として開発者(販売者)が販売地域に向けて表現を変更する場合があるということですね。

クレジットにローカライズチームが表記されていたので、彼らが日本語や規制内容を担当したと考えられます。

標的は肌が緑色


ニンテンドーeショップの謎(そして少しMS)

 話は少し戻ってなぜニンテンドーeショップには並ばないのか。これは想像ですが開発の「PUPPET COMBO」の以前のやらかしが原因かなと思います。

同社は以前に「殺しの館」というゲームをニンテンドーeショップにて配信しており、その後に配信停止を食らっている。これは当初は「IARC16+」として配信開始されたが後に「IARC18+」と区分変更になった為だと考えられる。

一連の詳細は両者から公式な発表がないため実際の原因はわからないが、もしかすると区分詐称をすると何らかのペナルティがあるのかもしれない。

ところがどっこい「殺しの館」は「新殺しの館」と名称を変更して「IARC16+」で配信されてるんですよ。なので余計にクリスマスマサカーの謎が深まる。

 MicrosoftはWindows版では発売しているがXbox版の配信がされていない。コンシューマーでのみ認めていないということですね。こちらも良く分からない。

 両者のようにIARCの区分に関係なく配信が出来ないパターンを考えると、コンシューマーでの配信ではレーティング以外にも何らかのチェック体制があるのだろうと思う。


長所と短所が同居するIARC

 IARCは自己申告制となっていて、発売後に内容とその区分に齟齬があると報告があった場合は再レーティングとなっている。故に無料かつお手軽となっています。

「報告があった場合」が重要で、DL数が少なかったり遊んだプレイヤーが住む地域に片寄りがあった場合にはまともに機能しないんじゃないかと思ったりします。

 「殺しの館」を例に挙げると、2020年にPCで発売されており1年後にコンシューマーで配信された際に区分変更となっています。つまり1年間スルーだったが、目に触れる人口が増えたおかげで「あれ、これまずくね?」となったわけです。これ以外にも突然配信停止して区分変更後に再配信のゲームは以外と有ります。日本が主というわけではないみたいです。

IARCはあくまで複数の国で作成した機械的な評価基準なので、厳密に各国の規制基準と一致するわけではない。

・未成年が酒場やカジノに入る表現は日本だと特に制限ないけど、一部の地域では18+相当
・アメリカでは乳首は17+だが日本はNG
・現地国の革命等の描写があると発売禁止
・特定の属性を持つ人物を操作できると発売禁止


こんな感じで開発した国じゃオーケーだけど発売した国だとダメな表現は、従来は発売国の審査機関で修正されたり弾かれたりしていたが、IARCの登場で一旦発売されてから判明のパターンになった。

単純に発売までのハードルが下がった分、表現に関する責任は上がったということ。当然、再審査になるとストアから一度消えるので売り上げは減るし、悪気が有ろうが無かろうが「評価詐称」の実績が残る。

 ちなみに独自の審査機関が存在して、尚且つその機関がIARCに加盟してないのにその基準を採用してる日本は結構異質だったりします。

画像はイメージです



さいごに

 パブリッシャ不要だから洋ゲー出まくりと思いきや、やはり現地でのトラブル回避のために販売国の文化や道徳心にある程度精通した人物の協力が必要だよねとなった。

コンシューマーのストアに限っての話しだが、粗雑なゲームの大量登場も正直どうにかして欲しい。今までは「CEROの審査料」という壁でシャットアウトされていた有象無象がストアを占拠している。なかにはスクリーンショット詐欺やまともなゲームの体を成していない物も。Steamでは見馴れた光景だがあっちは返金制度が有るし、評価コメントも見れて救いがあるからね。

 クリスマス・マサカーは普通に面白いので暇な人は買って欲しい。3D版のホットラインマイアミとでも言うのが一番近いかも知れない。ランS取得には倒す順番とその方法、タイムを取るかスコアを取るかの判断これらをほんの十数秒で行わなければならない。そのため一回のプレイ時間も短いのも良い。いちいちSEと悲鳴がやかましいのが欠点。

なにより怪しい翻訳がいい味だしてるんだこれが

みんなもマサカーしようぜ

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