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なぜ高学歴社会と経済発展が結びつかないのだろうか

先日、なぜPISAランキングが上位の日本経済が30年も停滞しているのか、の仮説を書きました。

「高い学力」と経済が結びついていないんでは、という仮説です。

では、この高学歴偏差値社会を「勝ち抜いた」人たちは、いったい何をしているのでしょうか。今日のテーマはこれです。

学歴と経済がなぜ結びつかないのかの仮説

同じように学歴と経済について書いたQuaraの回答がなかなか面白いなと思いました。

日本経済がここまで停滞してしまったのは、みんなが目指す「私立高校→東大卒」の人の進路が安定した「資格職」や「会社員」になっていってしまうから、という話です。

本質的問題の核心に迫った鋭い質問だと思います。
教育格差と言うより、日本全体の凋落=日本とその他先進国との国力格差が進んだ元凶です。数十年で一気に広まった一見典型的なエリート街道は、実は日本の価値を創造する本当のエリートは創造しないのです。つまり教育落差の証左です。

この回答を読むと、停滞が始まったのがちょうど私の世代です。で、この回答によると、「エリート街道」には起業家も、研究者も少ないというのです。以下は有名企業の社長の学歴です。

ソフトバンクグループ 孫正義:久留米大附設高校→UCバークレー
キーエンス 滝崎 武光:兵庫県立尼崎工業高校
ソニー 盛田昭夫:愛知県立旭丘高校→第八高等学校(名大教養学部)→大阪帝大理学部物理学科
ソニー 井深大:兵庫県立神戸高校→第一早稲田高等学院→早稲田大理工学部
ファーストリテイリング 柳井正:山口県立宇部高校→早稲田大政治経済学部経済学科
中外製薬 上野十蔵:鹿児島県薩摩郡隈之城郷出身、東京高等商業学校(一橋大)卒業
日本電産 永守重信:京都市立洛陽工業高校→職業訓練大学校
「太陽よりも熱い男」
信越化学工業創業者 小坂順造:長野県立長野高校→東京高等商業学校

以上、日本のクリエイティブな成功者を見てきましたが、
必ずしも都会の私立学校→東大出の成功者の経歴は多くないですよね。
いやそれどころかゼロです。

以来、高偏差値の大学や高校こそ名門と盲目的に捉える偏差値信仰が広まっていったのです。これが主に1980年代、1990年代以降のことです。

https://core.ac.uk/download/pdf/147574743.pdf

あれ?なんだか見事に受験偏差値が始まった受験生の世代と、日本の凋落=失われた30年がモロかぶりしてますよね。でもこれは一切偶然ではないと思います。

受験戦争の結果、みんながなりたがるのは「安定したサラリーマン」または「資格職」なので、会社を作る人(起業家や研究者)がいない。だから、社会が伸びないーーそう言われてみると、私の周囲にも起業家や研究者は少なかった気がします。

みんなが会社員になりたがる不思議な国


80年、90年というと、まさに私が学生だった時代が被るのですが、実際に早稲田大学の同級生を見ていても、多くが就職活動で会社員か資格職、安定を狙って銀行や証券会社に就職していきました。

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