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インプットされた不安とどう戦えば自由に生きられるのか?
「子供を産むのが不安」
「将来が不安で転職できない」
ーーなどなど、私に寄せられる相談には「不安」という言葉がよく出てきます。
終身雇用の人が多く、比較的平和で安定した社会なのになぜ不安なのでしょうか。
なぜこんなに不安という人が多いのか
いくつか理由が言われています。
災害が非常に多いこと(この2ヶ月でも地震が2回、大雨が1回)、意味不明な事件が多いこと(猟銃を使った事件)、日本人が「不安遺伝子」を持っていることなど(https://www.niigatashi-ishikai.or.jp/citizen/cranial/cranial-memo/202210282130.html)です。
私は、いつも書いている通り、人生の初期に「不安」をインプットされる人が多いことも、原因にあると思います。
家庭でもこの「恐怖煽り系」が定番となっています。
頑張って勉強しないと怖いことになるよ
病気になったら破綻するよ
若くなくなると結婚できないよ
会社を辞めたら行きていけないよ
最初から、恐怖でコントロールされてるのです。
それからマーケティングにおける「不安モデル」が日本に来るとつくづく多いなと思います。
不安マーケティングに囲まれて生きる人々
ちょっと買い物していると、「お化粧水使ってますか? え、使っていないの。50代でお肌ボロボロになってもいいんですか」とか、「あなたが今使っている製品はあまり良くないですよ。少し高いですが、長い目で見たら、こちらをお使いになるべきですよ」とか、「えっ、保険に入ってないんですか。万が一何かあったらどうするの? 将来に備えた方がいいんじゃないですか」とか、まあどこでも色々言われます。
マーケティング的には多分「正しい」のですが、消費者がこれに対抗する方法は、学校で「批判的思考」として教えないとなりません。
私の長男が国際バカロレアの高校で「広告によってインプットされる不安」を学んでいましたが、これは一生使える学びです。モデルとなったのは、「極端に痩せたモデルを使った広告」の結果、アメリカのティーネイジャーたちが病んでしまったという話です。
ところが、日本でこの「批判的思考」、掛け声だけで、実質的にはほとんど教えられておらず、むしろ「先生の言うことは絶対だ」となっている学校が多いことに驚きます。これでどうやって不安ビジネスと戦えるでしょうか?
橘玲氏はこう書いていました。
世の中には他人の不安をネタに商売している人がたくさんいる。恐怖に怯える人は、そこから逃れるために喜んで金を払うからだ。
不景気の日本で急成長を続ける業種の一つは間違いなく不安産業だ。この有望市場に参入する業者も、保険会社、不動産会社、健康産業からマルチ商法、新興宗教まで多種多様だ。
最近では政府まで「老後にお金を貯めておかないと、あなたの老後は誰も面倒を見ません」と言い出しました。
どうやって不安と戦う?
こうやって、親に、先生に、社会に、不安をインプットされるわけなのですが、自由に生きるためには、どこかでこの不安と戦う必要が出てきます。
私は不安ビジネスの典型である保険会社に入ったくらいなので、元来、保守的で、不安が強いタイプです。だから、各種保険に入り、「自動車は絶対に運転しない」と決め(交通事故の現場にいたので、本当に事故が怖いと思いました)、絶対に転勤がない一般職になり、育った場所である東京にしがみつくことを選んだのです。
子供なんて絶対怖くて産めません。
起業なんてとんでもない。
ところが、周りが言う通りに「将来に備え」ようとすると、今度はお金がいくらあっても足りないことに気づきました。生命保険に入り、損害保険の「積立型」に入り(社員なので入ってくれと頼まれる)、デパートの販売部員の言う通りに高い基礎化粧品をラインで揃え、友達と「会員限定バーゲン」に行って、服を買おうとすると、あっという間にクレジットカードの残高が足りなくなるのです。さらに奨学金と会社からの「内定者向けローン」があるのですから、当然です。
今思うと本当にアホだったとしか思えないのですが、私なりに「将来に備えて」「不安をなくそうと」していたのですよね。でも今思うと全く真逆なことをして、いよいよ不安は強くなるばかりでした。
何より、借金を返すために、「合わない仕事を一生やらなければならない」のです。
何も考えずに生きていたら、いつの間にか「高度消費社会」のカモになっていたのでした。
そして「お金が足りない」と水商売をやる人もいるのですが、不安を増やす行動にしか見えません。
(似たような話が漫画「闇金ウシジマくん」の1巻OL編に出てきます。ものすごく後味が悪いので、あまりおすすめはしませんが、実に日本社会をよく表した漫画だと思います)
少しずつ、他人を疑うしかない
こんなふうに不安でがんじがらめになっている人はどうするか。
結局は周囲の言うことを疑い、リスクを取ることしかないと思います。
とは言っても、いきなり会社辞めて海外移住します! とかいう極端なやり方ではなく、少しずつ、免疫をつけていくのがいいです。
例えばそれは、周りの人が「正しい」という何かを、少しずつ疑うことです。「みんなこう言ってるけれど、自分はこう思う」と思考することです。
これが批判的思考です。詳しくは、この本に書いてます。
別に周りと喧嘩したり、説得しなくてもいいし、間違ってても構わないのです。こうすることでしか、「不安マーケティング」から抜け出すことはできないです。
もし周囲が「正しい」とか「間違っている」とか言って、あなたをコントロールしようとしたら、「あなたの基準でジャッジしないでくれ」と離れる強さを少しずつ身につけていくことです。この思考のトレーニングには、外国出身者と付き合うことが非常に有効です。彼らの身につけてきた「常識」はあなたの周囲の「常識」とはまるで違うはずだから。
ときに外国人から「別の常識」を押し付けられ「はて常識とは?」となっていくことでしょう。
こうして自由を取り戻していくと、だんだん「インプットされた不安」とも戦えるようになると思います。
それではまた。
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