都部京樹

乾いたキャラメルポップコーンが好き。

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  • 王道を逆立ちで歩く

    主に自分の身の回りで起きたことを、この場所にエッセイとして記してます。全12回です。

最近の記事

角砂糖同好会の終焉

食わず嫌いという言葉がある。 人生において一度だって口にしたことがない物を、その味も分からないのに嫌いだと判じて、死ぬまで口にしてなるものかと決め込む態度や人のことだ。 しかしながらそれは、あくまで言葉の上での正しい意味であり、世間で比喩されるような食わず嫌いの正しい実態とは異なるのではないだろうか。 大抵の場合。 そう言われるような人は人生で一度は”それ”を口にしていて、舌に合わなかったという懐古の印象を引き摺り、勝手に心の中でそう決め込んでいるだけなのである。

    • 罵倒ならパルムの後で

      人間を形作るのは言葉である。 口にした言葉が、引用された語彙が、選び取った単語が、その人の感性の姿形を彫刻していく。 これは経験則として、悪口や汚言を日常使いする人に”本当は良い人”などと自分の認識を改めるようなことを感じたことはないし、人を傷付けようという意志を少しでも帯びさせた言葉や喋り方には拭えない澱みがあるように思う。普遍的な優しさを欠くような、そんな澱み。 優しい人が好きだ。 優しい言葉を使う人が好きだ。 数多くの混沌が蔓延る発火寸前のこんな世界でも、凪いだ海

      • 自分の名前なんか大嫌い

        昨晩。自分の名前を見直す機会があり、徒然とそのことを考えていたのだが、これは珍しいことらしい。 自分の名前が好きか嫌いかを問うとしよう。 僕は即答でYESを示すけれど、大抵の人は挨拶に困り、客観的な眼差しを孕む良い悪いの理由を口にし始める。 古風で嫌、響きが良い、地味で恥ずかしい、字面が格好いい。 僕としてはお前の意見とその意味を聞いてるんだと言いたくもなるが、しかしながら、意見はともかく名前そのものに本来は意味なんてない。 名前に意味を与えるのは他者であり、感情で

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        3本