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校長の「責任」はたった一つ

 校長の「仕事」は山ほどあります。これでもか、これでもかと押し寄せてくる課題や湧きだす難題など、次から次へと仕事が目の前に迫ってくるのが今の学校現場です。

 ところが、少し見方を変えてみると、校長の「責任」はたった一つです。それは「自校のすべての子どもの学習権を保障すること」です。貧困家庭の子どもであろうと、重度の「障害」があると診断されている子どもであろうと、すぐに暴力をふるってしまう子どもであろうと、自校のすべての子どもが誰一人排除されることなく安心して育つ事実をつくることが、校長の担う責任です。
 一人の子どもが学校に来ることができない原因やきっかけは、担任にあったり家庭にあったりでしょうが、その子が自校で学べていない事実の「責任」は校長にしかないのです。「育つ」目的のために「育てる」手段があるのです。

 働き方改革の前に、「目的」と「手段」が混同されていないかを見直してみませんか。すべての子どもが育つ事実をつくるために必要な手段は何なのかを全教職員で真摯に対話してみると、案外、これまでの多くの仕事を断捨離することにつながるものです。

 すべての子どもの学習権を保障することが、校長の担うたった一つの責任です。

次回は8月1日(月)更新予定です。

初出:木村泰子「木村泰子のみんなに伝えたい「ことば」」『教職研修』2018年6月号、10頁。


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