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『超多忙な教師たちを救う 学校改革の極意――努力の前に、仕組みを変える。』

免許更新制、全国学力テスト、授業時数の増加、学校評価やいじめアンケートの集計……などなど、学校には上から膨大な仕事が次々と降りてきて、変えられない部分が多くあります。

しかし、昨年に廃止が進んだ認め印のように、昭和の頃から当たり前となってきた学校の「仕組み」のなかに、多忙を生み出しているものはないでしょうか。

本書の著者である西留安雄先生に、多忙な学校の現状を変えていくために必要なことをうかがいました。

西留安雄(にしどめ・やすお)
 元東京都東村山市立大岱(おんた)小学校長。大岱小学校在職中、指導困難校だった同校を、授業と校務の一体改革で都内でもトップクラスの学力に引き上げた。その経験を活かし、北海道から沖縄まで全国各地を飛び回り、授業アドバイザー等として学力向上や校務改革の指導にあたっている。

西留写真1

これまで国や各自治体で、色々な政策や施策が打たれてきたと思いますが、それでも学校の多忙はなくなっていないのはなぜでしょうか。

学級の人数を減らすとか、事務員の数を増やすとか、教師やサポートの数を増やすとか、そうしたことを外からいくらやっても、残念ながら学校の多忙感はこれからも続くと思います。

私が日本全国を回ってわかったのは、学校の仕組みはどこも同じだということです。

年度末に年度末評価を行ったり、年度初めに何度も会議を開いたり、そこで多忙感が生まれている。こうした古い学校の仕組みが残り続ける限り、多忙感はなくならないと思います。

だから、校長は「人」に頼った学校経営をするのではなく、多忙を生まない「仕組み」をつくってほしいのです。その「人」がいなくなっても、異動しても、「仕組み」さえあればその後も学校は動きます。

転勤してきたばかりの学校というのは、マイナス面がよく見えます。そのとき怖がらずに、「こうしたらどうかな」と言っていく。そして、それを受け入れる学校文化の土壌というものをつくっていく。それが校長の仕事だと思います。

そのやり方がわからないというときは、私たちがもがいて形にしてきた仕組みやノウハウを活用してほしいです。

その筆頭が「直後プラン」という手法で、その都度その都度、ショートショートでサイクルを回すんですね。

立ったまま話し合って改善策まで出し、次年度の計画案を作成してしまう。そうすると年度末や年度初めの会議がいらなくなるんです。

本書『超多忙な教師たちを救う 学校改革の極意』では、そういった様々な仕組みを紹介しているので、ぜひ参考にしてほしいです。

また、学校は多忙と言いながらも、やらなければいけない仕事は基本的に決まっています。それを洗いざらい全部出してみて、いるものかいらないものか整理してみることが大切です。

そのときに必要な視点は、「学校の都合だけでやっていないか」ということです。

たとえば、行事のたびに出していたプリント。もらった保護者はそのたびに見ないといけません。保護者の気持ちを考えていないということなんですね。

それを、毎月の学校だよりに一気に載せてしまうわけです。学校の負担は減りますし、保護者も何回もプリントをもらうより1枚ですみます。こういうことが地味なんですけど、なかなか実行されないんですね。

学校の中にいる人間にしか、学校内部の改革はできません。学校の中の人間が、自分たちで仕組みを変えていかければいけない。そして、それを永久に追い求めていくという姿勢が大切なんです。

多忙感は学校自身が生み出したものだと私は受け取ったし、厳しいですけど、外からお手伝いが増えても変わらないと思います。

学校自身、教員自身が新しい物を受け入れて、新しい仕組みをつくらなければいけない。このことを意識することが、多忙な日本の学校の現状を変えていくために必要なことではないでしょうか。

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本書は、「PDCAをやめる」「◯◯委員会をなくす」など、多忙を生み出してきた学校の「仕組み」を根本から変える方法を紹介していますので、ぜひ取り組みやすいものから挑戦してみてください。

多忙な学校を改革したい、教師が子どもと向き合える学校にしたいと思っている、校長先生・教頭先生の助けになることを願っています。

【本書の内容】
はじめに――多忙を生まない「仕組み」をつくる
■序章 「多忙」な学校は、校務と授業の両輪で変える
■1章 「多忙」な学校の現状と改革のポイント
■2章 「多忙」を生まない学校システムの極意
■3章 「多忙」を生まずに授業改善する極意
■4章 「多忙」を生まない学校行事の極意
■5章 トラブルを生まない学校運営の極意
おわりに――覚悟と責任を持って学校を変える
巻末資料「進化型smile授業スタンダード32」(抜粋)

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