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「通常」というくくりが排除を生んでいる

 2019年の3月24日、東京大学バリアフリー教育開発研究センター主催のシンポジウム「インクルーシブ教育の新段階」が開催されました。

 基調講演をお引き受けしたのですが、元校長の私の話ではなく「みんなの学校」をつくった子どもの声を聞こうと、2名の卒業生にも登壇してもらいました。そのうちの一人は、映画にも登場する「セイシロウ」です。文科省のリーダーや大学教授のなかで、彼は集中を切らすことなく自分から自分らしく自分の言葉で語りました。

「通級や支援学級・支援学校の選択肢は必要だ」との意見を聞いた彼は、「それは間違っています。選択しなくてもいいみんなの居場所をつくればいいのです」と発言しました。
「通常」とか「普通」というくくりが、通常ではない人のくくりをつくってしまっているのだとも言いました。

 彼は、小学校1年生から3年生までを特別支援学級で過ごし、4年生で「みんなの学校」に転校してきた子どもです。
「実際に僕が行っていた転校前の学校は印象が悪かったんですけど、その体験があるから自分が学べました。だから学校がどうにかするんじゃなくて、学校のみんなでどうにかしましょうよ、というのが今の学校に必要なのです」との彼の言葉でシンポジウムは締めくくられました。

次回は10月2日(月)公開予定です。

初出:『教職研修』2019年7月号、10頁。一部文面を変更のうえ、掲載しています。


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