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自分から、自分らしく、自分の言葉で語る 

 校長の責任は、自校のすべての子どもが安心して学び合う事実をつくることです。

 私は、子どもが安心して学んでいることを確かめる手段として、すべての子どもが「自分から自分らしく自分の言葉で語る」姿を大切にしていました。人前で話すことが苦手な子が、6年間の学びを通して、卒業時にはみんなの前で自分の言葉で語る姿を見せるのです。
 
 言葉を獲得していない子は、「あー」と語ります。周りのみんなは(〇〇さんは何を伝えているんだろう)と、せいいっぱい想像します。
「緘黙(かんもく)」と診断されている子は、画用紙を何枚もつないで絵の具で自分の言葉を書いて語ります。
 5年間、みんなの前に立てなかった一人の子は、6年生のラストチャンスにみんなの前に立って、一言「みんなありがとう」と語ったのです。
 ノー原稿は当たり前です。その時その時の自分の考えを自分の言葉で伝えることがどれだけ尊いのかを、それぞれが体得するのです。
 
 一人ひとり違っていてあたりまえということを日常の学びのなかで、ぶれないで子どもに感じさせる。そのためには大人の姿が大事だということを子どもたちは教えてくれました。
 自分から自分らしく自分の言葉で語る子どもの事実は、すべての子どもの「安心」を生み出します。

次回は5月1日(月)更新予定です。

初出:『教職研修』2019年2月号、10頁。一部文面を変更のうえ掲載しています。


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