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学校づくりのスパイス~異分野の知に学べ~

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学校のリーダーシップ開発に20年以上携わってきた武井敦史氏が、学校の「当たり前」を疑ってみる手立てとなる本を毎回一冊取り上げ、そこに含まれる考え方から現代の学校づくりへのヒントを…
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#ユヴァル・ノア・ハラリ

#22「禁断の問い」に向き合うとき~ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス』より~|学校づくりのスパイス

 今回取り上げる著作はユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス――テクノロジーとサピエンスの未来』(河出書房新社、2018年)です。以前取り上げた同氏の『サピエンス全史』は人類の過去を扱った作品ですが、今回は歴史学的な理解を基盤に人間の未来を描いてみせた刺激的な作品です。  タイトルを見て「ホモ・デウス」って何だ?と思った人も多いと思いますが、これは氏の造語で、神格化された人間のことです。氏は今後「人は神を目指すようになる」と予見します。なぜそのように考えられるのでしょうか? 

#10「エビデンス」の功罪~ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』より~|学校づくりのスパイス

 今回は2016年の発売以来大ベストセラーとなり、ビジネス書大賞にも選ばれたユヴァル・ノア・ハラリ著『サピエンス全史』(河出書房新社、2016年)を取り上げます。上下巻併せて600ページ近い大著ですが、今回はとくにこの本の鍵概念である「フィクション」にヒントを得て教育におけるエビデンスについて考えてみようと思います。 ヒトを人たらしめるのは「フィクション」の力 本書はその書名のとおり人類の歴史を俯瞰して描いたものですが、その前半はホモ・サピエンスによる人類の統一劇のシナリオ