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学校づくりのスパイス~異分野の知に学べ~

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学校のリーダーシップ開発に20年以上携わってきた武井敦史氏が、学校の「当たり前」を疑ってみる手立てとなる本を毎回一冊取り上げ、そこに含まれる考え方から現代の学校づくりへのヒントを…
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2023年7月の記事一覧

#56 新たな経済社会の胎動~伊藤穰一『テクノロジーが予測する未来 web3、メタバース、NFTで世界はこうなる』より~|学校づくりのスパイス

 今回は、伊藤穰一『テクノロジーが予測する未来――web3、メタバース、NFTで世界はこうなる』(SBクリエイティブ、2022年)を手がかりに、今後の経済社会を生きていくための教育について考えてみたいと思います。  本書の筆者の伊藤穰一氏はマサチューセッツ工科大学のメディアラボで所長を務めた方です。TEDカンファレンスを紹介するNHKのテレビ番組「スーパープレゼンテーション」のナビゲーターをされていたのでご記憶の方も多いかと思います。 人間味のある経済社会 本書では、「w

#55 感動のバトンをつなげ~魚豊『チ。 地球の運動について』より~|学校づくりのスパイス

 今回は、魚豊氏のコミック『チ。 地球の運動について』(小学館)を取りあげたいと思います。この物語は「C教」(キリスト教のデフォルメ)の教義の核である天動説に異論を唱えた人々が、異端として迫害を受けつつも本や口伝により継承されていく様を描いた作品です。今回のテーマはこの作品を足がかりにして、現在の学校から失われつつある「感動を伝える」という働きについて考えてみます。 人をして命をかけさせるものは何か? 物語の時代設定はコペルニクスが地動説を唱えはじめるよりも少し前の14世紀