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学校づくりのスパイス~異分野の知に学べ~

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学校のリーダーシップ開発に20年以上携わってきた武井敦史氏が、学校の「当たり前」を疑ってみる手立てとなる本を毎回一冊取り上げ、そこに含まれる考え方から現代の学校づくりへのヒントを… もっと読む
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2022年8月の記事一覧

#34 動物で何が悪い⁉~ 栗原康『死してなお踊れ 一遍上人伝』より~|学校づくりのスパイス

 今回はアナーキズムの研究者、栗原康氏の『死してなお踊れ――一遍上人伝』(河出書房新社、2017年)を取り上げます。「わたしはセックスが好きだ」で始まるこの本は、空想の赴くままに古事を描いてみせた歴史小説でも史実を客観的に綴つづったノンフィクションでもありません。同書は史実を手がかりに、筆者自ら一遍上人の世界に可能なかぎり入り込んでみて、主観的な世界からその生涯を描き出そうとした独特のスタイルの作品です。 躍動する仏教 仏教というと、どこか静的なイメージがあります。座禅や瞑

#33 学校と地域を「発酵」させよう~ 小倉ヒラク『発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ』より~|学校づくりのスパイス

 「社会に開かれた教育課程」に表現されているように、学校の学びと地域社会との関係が強まりつつあります。けれども一口に「地域」といっても、その意味するところは千差万別です。私たちは「地域」なるものをどのように捉え、教育活動のなかで活かしていけばよいのでしょうか? 今回はこの点について、「発酵デザイナー」の小倉ヒラク氏の『発酵文化人類学――微生物から見た社会のカタチ』(木楽舎、2017年)を手かがりに考えてみたいと思います。 「制限」がはぐくむ創造性 この本は「発酵」という肉眼