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学校づくりのスパイス~異分野の知に学べ~

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学校のリーダーシップ開発に20年以上携わってきた武井敦史氏が、学校の「当たり前」を疑ってみる手立てとなる本を毎回一冊取り上げ、そこに含まれる考え方から現代の学校づくりへのヒントを…
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2022年4月の記事一覧

#26 まじめに遊びを考えよう~ 為末大『「遊ぶ」が勝ち』より~|学校づくりのスパイス

 2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一昨年度は多くの自治体で休業期間が短縮されたり、ステイホームの影響で登校や、屋外での活動に制約がかかったりといった事態生じました。  子どもの日常が解体されたときにまず話題になったのは学習の遅れです。教育関係者が「夏休みのような長期休業がなくなるのは残念だけど、児童・生徒の学習は犠牲にできない」と考えても無理はありません。  けれどもその一方で、「遊び」の喪失についてはとかく見落とされがちです。子どもの成長にとっては、

#25「捨てる技術」の時代~ 羽生善治『大局観 自分と闘って負けない心』より~|学校づくりのスパイス

 新型コロナウイルスの猛威が学校現場にも大きな陰を落とそうとしています。この原稿を書いている2020年4月上旬の時点では影響がどの程度長引くか見通しが立っていませんが、学習指導要領に定める授業時数を年度内に消化することができない学校も少なからず生じるはずです。  そうした局面での学校の課題は、大状況を俯瞰して現場レベルで活動を取捨選択して再組織化することで、児童・生徒に対する教育的効果を最大化することです。今回はこうした大局をつかむ知の働きについて、将棋の棋士の羽生善治氏に