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学校づくりのスパイス~異分野の知に学べ~

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学校のリーダーシップ開発に20年以上携わってきた武井敦史氏が、学校の「当たり前」を疑ってみる手立てとなる本を毎回一冊取り上げ、そこに含まれる考え方から現代の学校づくりへのヒントを…
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2022年1月の記事一覧

#20 学校組織の「余力」を考える~長谷川英祐『働かないアリに意義がある』より~|学校づくりのスパイス

 イソップ童話を持ち出すまでもなく、アリにはいつもせわしなく動いているイメージがありますが、実際には働きアリの7割は休んでいて1割は一生働かないといいます。  このことを知っている人もいるかとは思いますが、では、「いったい何のためにそのようになっているのか」と問われてきちんと答えられる人は少ないのではないでしょうか?  この謎に迫っているのが進化生物学者である長谷川英祐氏による本書、『働かないアリに意義がある』(山と溪谷社、2021年)です。今回は本書を手がかりに学校組織

#19 なぜ避ける「お金」の話~ ヤニス・バルファキス『父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』より~|学校づくりのスパイス

 おおよそ学校関係者はお金の話をするのが好きではありません。学校教諭だけでなく、管理職でも指導主事でも、そして大学教員でも教育を語るときにお金の話を持ち出すことについては躊躇する人が多いのではないでしょうか?  けれども一方で長い人生ではお金の問題を避けては通ることができないのもまた事実です。  今回は教育とお金の問題について、ギリシャの経済危機時に財務大臣を務めたヤニス・バルファキス氏の『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』(ダイヤモ