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学校づくりのスパイス~異分野の知に学べ~

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学校のリーダーシップ開発に20年以上携わってきた武井敦史氏が、学校の「当たり前」を疑ってみる手立てとなる本を毎回一冊取り上げ、そこに含まれる考え方から現代の学校づくりへのヒントを…
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2021年6月の記事一覧

#6 もう一つの「働き方改革」~三島邦弘『計画と無計画のあいだ』より~|学校づくりのスパイス

 今回は現在議論真っ盛りの「働き方改革」について取り上げます。といっても、教員の勤務時間の是正や教員配置の改善について話そうというのではありません。現在の学校の「働き方改革」の方向とはある意味真逆のやり方で出版社(ミシマ社)を立ち上げ、継続させてきた『計画と無計画のあいだ――「自由が丘のほがらかな出版社」の話』(河出書房新社、2011年)を手がかりに、学校の仕事を労働の「意味」という視点から考えてみたいと思います。 三島邦弘『計画と無計画のあいだ――「自由が丘のほがらかな出

#5 下手な報酬は組織の創造性を蝕む~ ダニエル・ピンク『モチベーション3.0』より~|学校づくりのスパイス

 今回取り上げるのはダニエル・ピンク氏の『モチベーション3.0――持続する「やる気!」をいかに引き出すか』(大前研一訳、講談社、2010年)です。著者のダニエル・ピンク氏はクリントン政権下でゴア副大統領の主席スピーチライターを務め、現在はビジネス書の執筆をはじめ多方面で活躍している方です。今回はこの本をもとに、とくに教職員の動機づけのあり方について考えてみたいと思います。 人は何によって動くか 本書が主題としているのは、「人を何によって動かすべきか」という、学校を含む組織を